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保護者の居ぬ間に
第479話
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グラちゃんが出て来て社務所の食堂に通してくれたので、場所を移して相談会再開。
お茶まで出してもらってしまった。
「お前ら、他国出身の冒険者だろ」
「はい」
「継ぐ家もなく、村では食べていけない、だから冒険者になった。そんな感じか?」
「はい」
貧しい村によくある事だとアー君がため息をつく。
「ここまで生き延びたし実力はあると思う、けどなぁ、ここ刀国だし、仕事は他にもあるぞ?」
「そんな、だって、俺らはよそ者だし」
「学歴どころか身分も平民です」
「後ろ盾もない、何も、持ってないんです」
ぎゅっと唇を結んで泣きそうな大人達、泣かせているのがうちの子な罪悪感が酷い。
「何も? 冒険者として培った実力と実績があるだろ」
「神薙様から加護借りれるって凄いんだぞ」
『すごいのよ』
彼らの自己評価の低さの原因は他国と刀国の冒険者の扱いの差かな。
他国ではそれこそ無法者扱いな所だってあるけど、刀国は子供から老体、邪神や神様、その上司まで冒険者登録してるんだよね。
冒険者を馬鹿にした瞬間、神前で命乞いして来いと国民から袋叩きに合うらしいです。
僕が転生するずっと前、騎士様を冒険者と思って広場で大勢の前でバカにした貴族が、女神様の怒りと邪神の怒りを同時に買って、広場がそれはそれは凄惨な事件現場になった事があるらしい。
それ以来、冒険者を馬鹿にする人間が現れたら神の耳に届く前に人間が私刑を行い、神前に突き出すようになったとか。一番平和な解決方法がこれだったみたい。
平和ってなんだろう。
「他国出身の元冒険者でも王宮で重役についてるぞ? あと学歴が欲しいなら今から学園に通えばいいだろ、ギルドか教会に申請すれば手続き方法教えてくれるぞ」
「でもそんな金」
「学費も食堂も無料、暮らす場所がないなら寮もある」
詐欺のように都合のいい話だけど本当だからなぁ。
『アー君いっぱい稼いだもんね』
「最近は受け取ってくれなくて、宝物庫にこっそり素材詰めたら怒られた」
「文官がまた増えたって泣いてたな」
少し前は女神様に奉納という建前で教会に押し付けていたけどそちらも断られるようになり、ならば他国に流出だ!とドラグーン王国に嫁いだかぐやに大量に送ったら、うちの姫に物騒なもん送って来るなとラウルさんから苦情が来ました。
獣人の国にいるルカに送れば、「出来れば食料を送って欲しい」とお礼の手紙の最後にあって、希望通りに食材を送ったら、生で食べようとした獣人さんが口にして歯が欠ける事件が起きたらしい。
他国への流出が難しいと判断し、また国に押し付けて文官組が徹夜……無限ループしてるね。
「まぁ学歴なくても働ける所はあるけどな」
『人手足りないって言ってたもんね』
「領民絶賛募集中」
ああマシュー君の所か。
「冒険者なら多少文字も読めるし、体力もあるだろうから特に問題ない」
『コモドドラゴンいっぱい』
「あそこで採れるお茶好き」
お米にお茶、チーズ、あと他にも何か始めたって言ってたなぁ。
アカーシャと仲がいい分、仕事が容赦なく回されているイメージ。
「レイア様にも奉納するからな、仕事は丁寧でないと困るけど」
『高級おちゃー』
「悪いことしたら食われるのは刀国のどこにいても一緒だしな!」
何せその辺を邪神一家が歩いているからね~。
マシュー君の所にはナーガがいるし、魔王様の所から派遣された魔物さんもいる。
「実力あるなら騎士団って手もあるけど、あそこはさすがに学歴が必要なんだよな」
「そうなんだ」
黙って聞いてたけど思わず口に出してツッコミを入れてしまった。
「書類仕事が敵だって刀雲が言ってた」
『残業のげーいんなのよ』
「刀雲って俺のとーちゃん?」
『そーよ』
「筋肉ムキムキで、母上を片腕で抱っこ出来るんだぜ!」
自慢話に火がついてしまい、その後しばらくシャムスとアー君の刀雲自慢は止まらなかった。
僕は今日、裏の畑に辿り着く事は出来るのだろうか。
お茶まで出してもらってしまった。
「お前ら、他国出身の冒険者だろ」
「はい」
「継ぐ家もなく、村では食べていけない、だから冒険者になった。そんな感じか?」
「はい」
貧しい村によくある事だとアー君がため息をつく。
「ここまで生き延びたし実力はあると思う、けどなぁ、ここ刀国だし、仕事は他にもあるぞ?」
「そんな、だって、俺らはよそ者だし」
「学歴どころか身分も平民です」
「後ろ盾もない、何も、持ってないんです」
ぎゅっと唇を結んで泣きそうな大人達、泣かせているのがうちの子な罪悪感が酷い。
「何も? 冒険者として培った実力と実績があるだろ」
「神薙様から加護借りれるって凄いんだぞ」
『すごいのよ』
彼らの自己評価の低さの原因は他国と刀国の冒険者の扱いの差かな。
他国ではそれこそ無法者扱いな所だってあるけど、刀国は子供から老体、邪神や神様、その上司まで冒険者登録してるんだよね。
冒険者を馬鹿にした瞬間、神前で命乞いして来いと国民から袋叩きに合うらしいです。
僕が転生するずっと前、騎士様を冒険者と思って広場で大勢の前でバカにした貴族が、女神様の怒りと邪神の怒りを同時に買って、広場がそれはそれは凄惨な事件現場になった事があるらしい。
それ以来、冒険者を馬鹿にする人間が現れたら神の耳に届く前に人間が私刑を行い、神前に突き出すようになったとか。一番平和な解決方法がこれだったみたい。
平和ってなんだろう。
「他国出身の元冒険者でも王宮で重役についてるぞ? あと学歴が欲しいなら今から学園に通えばいいだろ、ギルドか教会に申請すれば手続き方法教えてくれるぞ」
「でもそんな金」
「学費も食堂も無料、暮らす場所がないなら寮もある」
詐欺のように都合のいい話だけど本当だからなぁ。
『アー君いっぱい稼いだもんね』
「最近は受け取ってくれなくて、宝物庫にこっそり素材詰めたら怒られた」
「文官がまた増えたって泣いてたな」
少し前は女神様に奉納という建前で教会に押し付けていたけどそちらも断られるようになり、ならば他国に流出だ!とドラグーン王国に嫁いだかぐやに大量に送ったら、うちの姫に物騒なもん送って来るなとラウルさんから苦情が来ました。
獣人の国にいるルカに送れば、「出来れば食料を送って欲しい」とお礼の手紙の最後にあって、希望通りに食材を送ったら、生で食べようとした獣人さんが口にして歯が欠ける事件が起きたらしい。
他国への流出が難しいと判断し、また国に押し付けて文官組が徹夜……無限ループしてるね。
「まぁ学歴なくても働ける所はあるけどな」
『人手足りないって言ってたもんね』
「領民絶賛募集中」
ああマシュー君の所か。
「冒険者なら多少文字も読めるし、体力もあるだろうから特に問題ない」
『コモドドラゴンいっぱい』
「あそこで採れるお茶好き」
お米にお茶、チーズ、あと他にも何か始めたって言ってたなぁ。
アカーシャと仲がいい分、仕事が容赦なく回されているイメージ。
「レイア様にも奉納するからな、仕事は丁寧でないと困るけど」
『高級おちゃー』
「悪いことしたら食われるのは刀国のどこにいても一緒だしな!」
何せその辺を邪神一家が歩いているからね~。
マシュー君の所にはナーガがいるし、魔王様の所から派遣された魔物さんもいる。
「実力あるなら騎士団って手もあるけど、あそこはさすがに学歴が必要なんだよな」
「そうなんだ」
黙って聞いてたけど思わず口に出してツッコミを入れてしまった。
「書類仕事が敵だって刀雲が言ってた」
『残業のげーいんなのよ』
「刀雲って俺のとーちゃん?」
『そーよ』
「筋肉ムキムキで、母上を片腕で抱っこ出来るんだぜ!」
自慢話に火がついてしまい、その後しばらくシャムスとアー君の刀雲自慢は止まらなかった。
僕は今日、裏の畑に辿り着く事は出来るのだろうか。
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