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家族が増えました

第406話

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 アカーシャを奥様と呼ぶ白髪のおじいさんはギレンの屋敷の執事長さん、愛称は『じい』。
 ギレンが仕事で不在な間、アカーシャの身の回りの世話をしたり、勉強を教えてくれたり、魔力操作を教えてくれていた師匠のような存在だとか。

「礼儀作法も教えてもらったよ」
「覚えの良い生徒でしたな」

 最初から出来た訳じゃなかったんだ……アカーシャのあれこれ、努力の結果だったんだね。
 加護を利用して知識チートしている兄弟もいるのに、偉い!

 あれ、でももしかして僕も神々の叡智使えちゃったりするのかな?
 やってみたい、どうやればいいのかな、僕だって妊娠系以外でチート使ってみたい!

「母様聞いてた?」
「ごめーん」

 聞いていませんでした!

「これから城下に行きます」
「へぇ」
「行ってきます。ではなく行きます。だからね」
「っは、強制!」
「母上いってらっしゃい」
『僕らはお留守番、おやつどしよ』

 気付いたら僕はキーちゃん、シャムスはエム、アー君はローの上に乗って鳥居の前にいた。

『あれー?』
「まぁそうだよな、大役に指名した結果を見届けないとなぁ」
「ルド兄さん留守番お願いね」
「ばぅ」

 城下に行くのか、帰り屋台街に寄ってもいいかな。

「あれ、アカーシャ学園はいいの?」
「課外活動という事で申請を提出済みです」
「ありがとう」

 そんな制度もあるのね。
 そして提出したのは執事長さん、仕事の速さが尋常じゃない。

「もしかして僕って親として頼りない?」
「母様に頼りがいがあったらもうそれは母様じゃない気がする」
「そっかー」

 …………あ、否定されてない! むしろ肯定された!

 衝撃を受けている間に移動が終わり、やって参りました城下街!!

「こちらになります」

 お年寄りのはず何だけど、僕より歩くの早いし、姿勢も綺麗、キーちゃんに乗ってなかったら置いていかれて迷子だったと予想出来る。
 それにしてもここどこだろう、いかにもファンタジーっぽい景色が続いている、まるでゲームの世界に入り込んだ気分だね。

「さぁ奥様お入りください」
「ありがとう」

 ほへーと街並みを眺めていたら目的地に着いたようです。

 ……お店?
 ショーウインドーには丸々と太った豚や、謎の肉の塊が吊るされている。

「もしかしてここって」
「肉屋だよ母様」

 手紙一通で刀国に肉屋ができました。
 権力って凄いね。
 露店ではなくお店を構えてしまった所に経済力と行動力を感じます。
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