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ダンジョン

第365話

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 薄く切ったパンに好きな具材を挟むサンドイッチ。
 シャムス達が大人しく屋台を諦めるとは思っていなかったので、どっさり用意しましたよ~。

 丘にシートを敷いて子供達ともふもふズを呼び寄せ、ちょっと早いおやつの時間です。
 一日三食プラスおやつ二回、それでも太らない我が子達の体が神秘。

 イブは油断すると食べ過ぎて太ってしまうらしい、でもシャムス達のお誘いは断れないし、美味しいものは食べたいので、その分運動量を増やしたようだ。
 忍者修業はその延長みたい。

『きょーのおやつはなんだろなー』
「俺には分かる、チーズがあると!」
「デザートはプリンで、あるよな?」

 おやつを出す前から三人がそわそわしていて動きにくい。

「まーま」
「はやくー」
「まだかなー」

 シャムスはともかく、アー君と雷ちゃんの精神が幼児退行起こしているような。
 いや幼児だけど。

「母様の邪魔をしない」

 まとわりつく三人をアカーシャが引き離した隙に、作ってきたサンドイッチを取り出す。
 エビフライ、コロッケ、メンチカツなど揚げ物を挟んだものから、野菜やハムを使った定番、スモークサーモンとチーズを挟んだもの、果物ぎっちりフルーツサンドもあるよ。

 飲み物はオニオンスープと紅茶、果汁100%のオレンジジュース。
 もふもふズの分もあるので好きなだけ食べてね~。

「シャムスあーん」
『あーん』
「シャムスずるい、俺も俺も」
「我も我も」
「アカーシャごめんね、ありがとー」
「大丈夫だよ母様」

 うちの子で一番上は三匹だけど中身がワンコ、子守りはしてくれるけどご飯を食べさせるのはちょっと無理。
 四男のルカは他国で、しかも土地に縛られているので滅多に会えない。

 実質、アカーシャが長男のようなポジションなんだよね。
 生まれてすぐお嫁に行っちゃったけど、戻ってきてくれて本当に助かっている。

 ギレンもアカーシャに会う為に色々差し入れを持ってきてくれるのがありがたい、賄賂だろうが貢物だろうが奉納品だろうが、うちの子のお腹が膨れるならば問題ない。

「シャムスこの小さいサンドは自分で食べれる?」
『んふー!』
「次はアー君だね、どれがいい?」
「焼いてあるの! チーズ入り!」

 休日はアカーシャが一緒にいてくれることが多いので、幼児三人もその日はアカーシャに甘え倒す勢いだ。
 僕はちょっとだけ楽、な訳がない。
 いつもは遠慮している三匹がここぞと甘えてくるからね。

「雷ちゃんは何にする?」
「んーイチゴ入り」
「はいあーん」
「あー」

 ……神薙さんがいない、おやつなのに寄って来ないとは、もしやダンジョンに入ったのかな?
 もしやルール違反者が出たら食べる気だろうか。

 気になって視線を上げたらもふもふズに混ざって、麦な魔物がサンドイッチを食べていた。
 多分色々な人が僕らを見ているだろう、でも幸いと言うかもふもふ壁のお陰で周囲は見えない。

「イブいる? 食べてるー?」
「はーい」

 近くにはいるようだ、ただもふもふズに埋もれているのか姿は見えない。

「アカーシャ様ぁぁ~」
「ダメです、今日は遠慮する日ですよ」
「うおーん」
「静かに食べろ」

 っご。と鈍い音がして佐助が静かになった。
 才蔵のツッコミスキルが上がっている気がする。
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