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可愛い子には旅をさせよ

第281話

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 さすがに誘われてじゃあ今日!という訳にもいかない、食事は出るらしいけれど神薙さん用のおやつは確実に必要なので一日かけて用意するから、明後日からお泊りに行きます。

 日程が決まった所で神薙さんやイネスにも声をかけた。

「ラーシャこんがり」
「食べないでね」
「おめかしするです、ラーシャ!」
「香油、各種ブラシ、爪とぎ用やすり。毛繕いセットはスタンバイ済みだよ」
「うふふ」

 ラーシャがイネスのどんなワガママにも対応できるようになっている。
 王子スキルと言うよりは執事スキルに近いかなぁ。

「海辺で鉄板料理食べたい」
「じゃあドンにも連絡取っておきますねー」

 あらかじめ連絡しておけば張り切って用意してくれるだろう。
 食材集めるだけでも大変だろうけど、その苦労さえも喜びに変える一族だからいっか。

「副官さんはお休み取れるでしょうか」
「休みは取れたけど、翡翠に泣きつかれて子供達の講師としてあっちに行くみたい」

 課題の経験者ですものね、人選は間違ってない。

 騎士様はどうしようかなぁ、レイアさんも誘ってみようかな。

「イブ、持ち物は決まった?」
「佐助」

 指差した先ではアカーシャに置いて行かれた佐助が池の前で体育座りをしていた。
 今にもキノコが生えそうなぐらいジメジメしている。

 確かにあれは連れて行かないと帰って来るまであのままかもね、じゃあ持ち物に入れておこう、メモメモ。
 運搬は才蔵に任せればいいかな。

「えっと他には」
「神薙様のおやつ」
「鋭意製作中です」
「神薙様の夜食」
「おやつで手一杯なので向こうで用意してもらうよ」
「ブラシ」
「エム、ロー、ルド用のはもう詰めたよ」

 僕の言葉にイブはふるふると頭を横に振った。

「シャムス様とアルジュナ様の、途中で帰って来るかもしれないから」

 可愛い。

 イブちゃん可愛い。

「うんうん、持っていこうね。でもイブはもう僕らの家族なんだから様はいらないんだよ」

 あと出来れば僕の事はママとか母様って呼んで欲しいな。

「家族だけど上司です」
「将来のね、まだ上司じゃないよ~」

 真面目なだけだとラウルさんみたいに苦労するからね、もうちょっと肩の力を抜いてふわっとした感じでいいんだよ。

「海、楽しみです」
「そうだね。あっ、お金細かいのあるかなぁ」

 お土産買いたい。

 ビーチサンダルや帽子はギレンが用意してくれると言っていたから良いとして、あとはイブ用に日焼け止めとか欲しいなぁ、この世界にはあるのだろうか。
 
「釣り……釣り竿!」
「そうだった。持っていこうね」
「生贄」
「いらないね」

 何を釣る気なの。

「知識チートを使って大革命」
「イブ、もしかして女神様と交信出来るの?」

 時々妙な単語使うよね。

「できません、できません、ぎれんをゆーわくしてショタ受けなんて指令も受けてません」

 女神様とは一度話し合う必要があるようだ。
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