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権力とは使う為にある

第222話

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 女神様の話を聞いていて、攻略者の婚約者が本当に女性かふと疑問に思ったけど、あえて声には出さずに心の片隅においやった。

「それでですね、私が推測する限り、ヒロインの聖女候補の中身が転生者なんじゃないかなーって、ハーレムエンド狙いだけど魔王の存在を邪魔に思ってて、先見が出来るとか言ってそこそこ未来を当てて魔王を悪者に仕立てて物語から追放したんじゃないかって!」

 この人って自分の好きな事ってすっごい語るんだよね。

「つまり女神様」
「おうなんだ?」
「今そう言ったストーリーにはまってるんですね」
「テヘペロ」

 殴りたいなぁ。

「そもそも」
「……あ、ヤベ」
「この子がこんな状態になったのは女神様のせいってことですよね」
「ちがっ、ちがうんだよいつきちゃん」
「そっかぁ」
「反省するから、ゆるして、ごめんなさい、立ち入り禁止とかマジで止めて」
「あはは僕が女神様にそんな事をする権限はありませんよ」

 うふふふふ

「そ、そうだよな!」

 顔を明るく輝かせた女神様甘い。

「ただしばらくの間はお酒もデザート類も納品なし!」
「いやぁあああああああ!」
「鈴、この子の名前は?」
「イブリースです、サタンの別名みたいな感じで……ひぇ」

 決めた、この子が健康優良児になるまで女神様を宴会には呼ばない。

『イブー』
『はい』
『おお通じた!』
『アー君すごいね!』
『ふはははは!』

 女神様の叫びが煩くて良く聞こえなかったけど、今あの坊やが喋った気がする。
 それも共通の言語ではなく、シャムスやアー君と同じ獣語で。

『シャムス、様』
『そーよ、お隣はアー君、僕のおとーと!』
『……ん?』
『アー君様』
『よし間違えた!』

 力強く頷いたと思ったらアー君が騎士様に助けを求めた。

「パパ助けて!」
「はいよ~」
「どうかしたんですか?」
「うん、アー君がイブリースに翻訳スキルを授けたんだけど、翻訳する言語指定を間違えたみたい」

 え、スキル授けるとか出来るの?
 うちの子凄い。

「ステータス弄るのもありだけど、ここは普通に翻訳する言語追加した方が便利かな」
「そっか、そうだな、私もまだまだ頭が固い! そいや!」

 ……もしかして今の『そいや!』でスキル付与したの?
 うちの子天才か!

「イブリース」
「はい」
「おじょー」
「っっ」

 多分シャムスは「お上手」と言いたかったのだろう、ちょっと噛んだそれにアー君と騎士様が床に沈んだ。
 
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