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権力とは使う為にある

第215話

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 その後の赤ちゃんですが、女神様が検索した結果、なんと!

 獣人の赤ちゃんでした!

「耳も尻尾もないから、人間として生きていけると思ったのかもな。親は――奴隷」
「獣人の奴隷って禁止されていませんでしたっけ?」
「禁忌中の禁忌だな、見つかったら最後、主様が国ごと滅ぼしに行く、不在の場合は私とか使徒とかだな、でも無くならねぇんだよ」

 未然に防がれているとは言え、誘拐未遂があちこちで起きているようだしね。
 実害起きる前になんとかしないと……でもそうか、この子の親はまだ国内にいる可能性が高いのかもしれない。

『獣人なのにお耳も尻尾もないのね、アー君と逆?』
『そうだな、俺は獣人じゃないはずなんだよな、父上の血に獅皇殿が混ざったと言うか、この世界でしか起きないでたらめな現象の結晶というか……だが見た目は完全に獣人、俺はなんだ?』
『アー君!』
『ん?』
『アー君はアー君なの! 僕のおとーとよ!』
『そうか』
『ん!』

 今日はいつもの獣言語に戻っちゃったなぁ、またお喋りしてほしい。
 刀雲は朝夕の挨拶に呼んでもらえるように必死だ。今朝だって……。

「シャムス~、ほ~らパパって呼んでごらん」
『ぱぱ』
「俺の名前でもいいぞ~」
『とーうん、褐色肌がエロイのよ』
「呼んでくれないならこうだぞ~」
『きゃーくすぐったいのよー』
「ほーらこしょこしょ~」
『きゃー』

 戯れる二人は僕の癒しです。
 たまに他の子供達も参加したり、もふもふズが乱入する事もある。
 我が家の平和な光景の一つです。

「ところで女神様」
「おう?」
「ここでスルメ食べながらのんびりしてていいんですか?」
「いいだろ、やっと謹慎期間終わったんだから」
「いえ、そうではなく、ここであの子の親を救出すれば、騎士様からの評価うなぎ登りなんじゃないかなーって思ったんです」
「!」

 この女神、今気付きおった。
 でも手が無意識にビール缶開けてるし。

「これを、これを飲んだら、行く」

 絶対に行かないやつだ。

「純米大吟醸」
「!」
「白梅酒―純米―」
「!!」
「王剣 純米吟醸 神」
「まじで!?」
「以上のお酒の味を知りたければ、分かりますよね?」
「分かる! すぐ助けに行ってくる」
「もし晴れて親御さんを見つけられた場合、お裾分けを貰えるように神薙さんに交渉してあげます」
「ひょー!」

 奇声を上げつつ女神様が消えた。
 もちろんビール缶とスルメも一緒に。

 さて、女神様だけでは心許ない、どうしようか。

「母上任せよ! 私がな、すっごい魔法使って女神を出し抜く! だからおやつサービス!」

 キラキラと瞳を輝かせながら提案してきたアー君、対価が可愛すぎる。

「無茶しない?」
「する!」
「するの!?」
「魔力枯渇必須だからドリちゃんに助けて貰うから大丈夫!」

 そう言えばドリちゃんって騎士様の魔改造受けて、魔力が無限になってるんだっけ。
 しかもすでに触手を伸ばしてスタンバイ済み。

「いっくぞー」
『アー君頑張って』
Searchサーチ!」

 延ばされた触手をきゅっと握ったアー君が呪文を唱えた次の瞬間、刀国の空を覆う巨大な魔法陣が出現した。

 立太子の儀式の時のあの魔法陣、アー君だったのか。
 女神様……言わなかったのはわざと? うーん、どっちにしろお酒は無しで。
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