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貴族になろう
第171話
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久々にやってきました女神様の白い空間。
謹慎中で暇なのだろう、炬燵の上や周囲には蜜柑と湯呑と一升瓶。の他に、ゲーム機から始まり漫画本や小説が山積みだった。
それをそっとどかして座る場所を確保した僕は、懐かしい蜜柑を食べながら久々に女神様の会話に応じていた。
多分あれだな、ゲームの攻略に行き詰って暇潰しに僕を呼んだんだな。
だらだらと喋る女神様に適当に頷きながら蜜柑を頬張っていたら、突然ブランはどうしているかと聞かれたんだ。
ベル君とラブラブで家族みんなに生暖かく見守られていると言ったら、ふにゃりと初めて見る安心したような笑みを浮かべた。
「この世界でアルビノってめっちゃ珍しいしさ~、ブランは最高の受けになる素質があったから絶対に保護したかったんだよね~、いやぁ女神の加護も役に立つもんだな。」
残念な事に発言内容はいつも通りだった。
「でも初恋の相手が王子様で、すでに婚約者ありって言うのが素直に祝福できません」
最もその婚約も破棄を企んでいるようだけどね。
「あーあれな、あの婚約は王命で結ばれたらしいぜ」
「えぇ、ラウルさん酷い!」
「やめろ、その勘違いはやめろ、アイツに察知されたら私が終わる」
割と本気で止められた。
「王命発動したのはラウルの前任者」
「詳しく」
「いや、私もあの王子の両親が教会で国王を呪ってたから知っているだけで、これ以上の情報は知らねぇって」
「報酬は騎士様が型抜きしたクッキー!」
「ちょっと待て、今調べる」
迷わずタブレットを取り出し画面を操作し始めた。
その間に紅茶を入れたポットをアイテムボックスから取り出してお茶の用意をする。夢の中なのになぜ現実のアイテムが取り出せるのか、そんな細かい事を考えてはいけない。
「えーっとなになに、どうもこの婚約は王妃の母国との縁を強化するための婚約として産まれる前から決められていたみてぇだな。女が生まれやすい家系っぽい、その血筋を取り入れて国力強化したかったのか?」
「男でも産める世界で、女性と結婚する意味は?」
「特にねぇな。あ、でも世界改変前の影響が残っている可能性はあるのか? まぁテンプレの一端みたいなもんだろ」
「なるほど」
色んなパターンがありすぎて把握できていないんですね。
「女が少ない世界だからこそ、女を娶るのはステータスの一つ、という風習はあってもおかしくねぇな。あと王道パターンとしてこの王女が転生者とか!」
「うぇぇ、そんなのありなんですか?」
「いや、乙女ゲームの世界に転生とかよくあるだろ?」
「ないですから。そもそもここ、乙女ゲームの世界じゃないでしょう」
「まぁな、どちらかと言うとR指定のBLゲーム舞台としては使ってる」
「……騎士様の世界をそんな設定として使って大丈夫ですか?」
「バレなきゃ、まぁ、うん」
黒に近いグレーか。
欲望に忠実過ぎる女神もどうなんだろうか。
「でも国同士で決めた婚約を破棄して大丈夫なんでしょうか?」
「国の名前も中身も、国王すら変わったからな、どうにでもなるだろ」
しかも国王ラウルさんだしなぁ。
「あ、続きあった。婚約破棄をラウルが承認したっぽい、しかも書類発行済み」
「仕事早い」
「フェデリコに恩売ってもっと働かせる気なんだろうな」
「ラウルさんに頼りにされていると喜ぶより、横暴だとブーイングする姿が目に浮かびます」
「日常茶飯事だから誰も気にしねぇよ」
パパさん……。
「でも自称聖女とか、自称婚約者とか出たりして……波乱の予感!」
「嬉しそうですね」
「私の大事な娯楽だ」
ドヤ顔で言われても。
この人が世界の管理者だもんなぁ、どんな穴があっても不思議じゃないか。
謹慎中で暇なのだろう、炬燵の上や周囲には蜜柑と湯呑と一升瓶。の他に、ゲーム機から始まり漫画本や小説が山積みだった。
それをそっとどかして座る場所を確保した僕は、懐かしい蜜柑を食べながら久々に女神様の会話に応じていた。
多分あれだな、ゲームの攻略に行き詰って暇潰しに僕を呼んだんだな。
だらだらと喋る女神様に適当に頷きながら蜜柑を頬張っていたら、突然ブランはどうしているかと聞かれたんだ。
ベル君とラブラブで家族みんなに生暖かく見守られていると言ったら、ふにゃりと初めて見る安心したような笑みを浮かべた。
「この世界でアルビノってめっちゃ珍しいしさ~、ブランは最高の受けになる素質があったから絶対に保護したかったんだよね~、いやぁ女神の加護も役に立つもんだな。」
残念な事に発言内容はいつも通りだった。
「でも初恋の相手が王子様で、すでに婚約者ありって言うのが素直に祝福できません」
最もその婚約も破棄を企んでいるようだけどね。
「あーあれな、あの婚約は王命で結ばれたらしいぜ」
「えぇ、ラウルさん酷い!」
「やめろ、その勘違いはやめろ、アイツに察知されたら私が終わる」
割と本気で止められた。
「王命発動したのはラウルの前任者」
「詳しく」
「いや、私もあの王子の両親が教会で国王を呪ってたから知っているだけで、これ以上の情報は知らねぇって」
「報酬は騎士様が型抜きしたクッキー!」
「ちょっと待て、今調べる」
迷わずタブレットを取り出し画面を操作し始めた。
その間に紅茶を入れたポットをアイテムボックスから取り出してお茶の用意をする。夢の中なのになぜ現実のアイテムが取り出せるのか、そんな細かい事を考えてはいけない。
「えーっとなになに、どうもこの婚約は王妃の母国との縁を強化するための婚約として産まれる前から決められていたみてぇだな。女が生まれやすい家系っぽい、その血筋を取り入れて国力強化したかったのか?」
「男でも産める世界で、女性と結婚する意味は?」
「特にねぇな。あ、でも世界改変前の影響が残っている可能性はあるのか? まぁテンプレの一端みたいなもんだろ」
「なるほど」
色んなパターンがありすぎて把握できていないんですね。
「女が少ない世界だからこそ、女を娶るのはステータスの一つ、という風習はあってもおかしくねぇな。あと王道パターンとしてこの王女が転生者とか!」
「うぇぇ、そんなのありなんですか?」
「いや、乙女ゲームの世界に転生とかよくあるだろ?」
「ないですから。そもそもここ、乙女ゲームの世界じゃないでしょう」
「まぁな、どちらかと言うとR指定のBLゲーム舞台としては使ってる」
「……騎士様の世界をそんな設定として使って大丈夫ですか?」
「バレなきゃ、まぁ、うん」
黒に近いグレーか。
欲望に忠実過ぎる女神もどうなんだろうか。
「でも国同士で決めた婚約を破棄して大丈夫なんでしょうか?」
「国の名前も中身も、国王すら変わったからな、どうにでもなるだろ」
しかも国王ラウルさんだしなぁ。
「あ、続きあった。婚約破棄をラウルが承認したっぽい、しかも書類発行済み」
「仕事早い」
「フェデリコに恩売ってもっと働かせる気なんだろうな」
「ラウルさんに頼りにされていると喜ぶより、横暴だとブーイングする姿が目に浮かびます」
「日常茶飯事だから誰も気にしねぇよ」
パパさん……。
「でも自称聖女とか、自称婚約者とか出たりして……波乱の予感!」
「嬉しそうですね」
「私の大事な娯楽だ」
ドヤ顔で言われても。
この人が世界の管理者だもんなぁ、どんな穴があっても不思議じゃないか。
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