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刀国学園
第68話
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魔王城から帰って来たら、神薙さんが庭でぼーっと突っ立っていた。
騎士様が特に気にする様子もないので、どこか悪かったりするわけではなさそうだけど。
「ああ、あれは――」
「神薙様、ご飯お持ちしました!」
「ホカホカです!」
「うん」
「ただのご飯待ち」
木製のおひつを抱えて庭に駆け込んできた子供達に、パッと神薙さんが振り向き目を輝かせながら小さく頷いた。
子供が一人で抱えられるサイズなんてあったっけ? もしかしてドリちゃん特製?
おひつを抱えた子が十数人、他にもおかずやお味噌汁を持った子など。
「衛兵の台所でナギ様の食事を作っていたのですよ、あそこは大人数分の調理が可能ですから」
引率は副官さんがしてくれたのか、夕食で労う人の一人だね。
「そうなんだ……ってちょっと待ったぁぁ!」
おひつの蓋を開け、そのまま食べようとした神薙さんにストップをかけた。
「ドリアンお願い」
細かい指示をしなくとも、すぐに動いてくれたドリアンが神薙さんの足元に布を敷き、食事を並べられるよう机を取り出し、座布団も設置してくれた。
ドリアンに常備してもらっているピクニックセットなんだ、子供達や騎士様がいつでもどこでも食べたがってもいいようにね!
「心の籠った料理なんですから、腰を落ち着けて食べましょうね」
「ん」
「さぁ皆料理を並べてくれるかな」
「はい!」
机の上に所狭しと料理が並べられる。
お茶がないな。
「飲み物は何にしますか?」
「玉露!」
舌肥えて来たなぁ。
ドリアンがささっと適温で用意してくれたけどね、これもギレンの貢ぎ物です。
箸を上手に使って食事を進める神薙さんが「美味しい」と呟くと、子供達が一斉にホッと息を吐いた。
「喰われるかと思ったー」
「ご飯作るの初めて、楽しかったね」
「神薙様に料理を食べて貰えるなんて名誉……帰って自慢しなきゃ」
「しかも手作り料理」
「はぁー気が抜けたら腹減った」
どうやら数人だけどドンの一族の子が混ざっているようだ。
「ドリアン用意出来た?」
「ハイ」
「みんな簡単だけどお昼用意したから、このドリアンから受け取ってね、竹の筒に水分も入っているから好きな場所で食べていいよ」
わっと歓声が上がり、子供達がドリアンからおにぎりセットを受け取る。
竹は竹林に幾らでもあるから量産してみました。
子供達にも好きな味を入れて持たせてあるけれど、初めて見た日にアー君が大はしゃぎし過ぎて熱出したんだよね~。
「か、神薙様と一緒に食べてもいいですか?」
「おい流石に不敬……」
「いいよ」
「嗚呼死んでもいい」
さすがドンの一族、子供の頃から筋金入り。
気を利かせたドリアンが机を数台置いてくれたので、子供達が顔を見合わせてわらわらと寄ってきた。
「あ、いいなぁ」
「お前ら風呂に入ってたのか」
「すっげぇ広かった」
「うん、泳げた」
お風呂に入っていた子達が、城下には出回ってない甚平を着てほこほこになって戻ってきた。
満足いただけたようで何より。
「君達もおいで、皆で食べよう」
人数が多いので簡単なものになってしまって申し訳なかったけど、子供達には満足して貰えたみたい。
ついでに言うと騎士様と春日さんもちゃっかりお昼の席に座っており、神薙さんも騎士様とお昼食べれて嬉しそうだったなぁ。
食べ終わった子供達は騎士様と釣りを楽しんだり、僕と一緒に神薙さんのおやつを作ったり、もふもふズと戯れたりなどして午後を過ごし、時間になったら春日さんがお土産を持たせて学校に送っていった。
お土産と言っても一人用おひつと竹の水筒だけどね、子供達にはおにぎりに続き大好評だったからまぁいいか。
起きた猪の子は背中にこうちゃんと雪ちゃんを乗せ、のっそりと動いたと思ったら縁側に移動してまた眠ってしまった。うん、野生向いてないよ君。
騎士様が特に気にする様子もないので、どこか悪かったりするわけではなさそうだけど。
「ああ、あれは――」
「神薙様、ご飯お持ちしました!」
「ホカホカです!」
「うん」
「ただのご飯待ち」
木製のおひつを抱えて庭に駆け込んできた子供達に、パッと神薙さんが振り向き目を輝かせながら小さく頷いた。
子供が一人で抱えられるサイズなんてあったっけ? もしかしてドリちゃん特製?
おひつを抱えた子が十数人、他にもおかずやお味噌汁を持った子など。
「衛兵の台所でナギ様の食事を作っていたのですよ、あそこは大人数分の調理が可能ですから」
引率は副官さんがしてくれたのか、夕食で労う人の一人だね。
「そうなんだ……ってちょっと待ったぁぁ!」
おひつの蓋を開け、そのまま食べようとした神薙さんにストップをかけた。
「ドリアンお願い」
細かい指示をしなくとも、すぐに動いてくれたドリアンが神薙さんの足元に布を敷き、食事を並べられるよう机を取り出し、座布団も設置してくれた。
ドリアンに常備してもらっているピクニックセットなんだ、子供達や騎士様がいつでもどこでも食べたがってもいいようにね!
「心の籠った料理なんですから、腰を落ち着けて食べましょうね」
「ん」
「さぁ皆料理を並べてくれるかな」
「はい!」
机の上に所狭しと料理が並べられる。
お茶がないな。
「飲み物は何にしますか?」
「玉露!」
舌肥えて来たなぁ。
ドリアンがささっと適温で用意してくれたけどね、これもギレンの貢ぎ物です。
箸を上手に使って食事を進める神薙さんが「美味しい」と呟くと、子供達が一斉にホッと息を吐いた。
「喰われるかと思ったー」
「ご飯作るの初めて、楽しかったね」
「神薙様に料理を食べて貰えるなんて名誉……帰って自慢しなきゃ」
「しかも手作り料理」
「はぁー気が抜けたら腹減った」
どうやら数人だけどドンの一族の子が混ざっているようだ。
「ドリアン用意出来た?」
「ハイ」
「みんな簡単だけどお昼用意したから、このドリアンから受け取ってね、竹の筒に水分も入っているから好きな場所で食べていいよ」
わっと歓声が上がり、子供達がドリアンからおにぎりセットを受け取る。
竹は竹林に幾らでもあるから量産してみました。
子供達にも好きな味を入れて持たせてあるけれど、初めて見た日にアー君が大はしゃぎし過ぎて熱出したんだよね~。
「か、神薙様と一緒に食べてもいいですか?」
「おい流石に不敬……」
「いいよ」
「嗚呼死んでもいい」
さすがドンの一族、子供の頃から筋金入り。
気を利かせたドリアンが机を数台置いてくれたので、子供達が顔を見合わせてわらわらと寄ってきた。
「あ、いいなぁ」
「お前ら風呂に入ってたのか」
「すっげぇ広かった」
「うん、泳げた」
お風呂に入っていた子達が、城下には出回ってない甚平を着てほこほこになって戻ってきた。
満足いただけたようで何より。
「君達もおいで、皆で食べよう」
人数が多いので簡単なものになってしまって申し訳なかったけど、子供達には満足して貰えたみたい。
ついでに言うと騎士様と春日さんもちゃっかりお昼の席に座っており、神薙さんも騎士様とお昼食べれて嬉しそうだったなぁ。
食べ終わった子供達は騎士様と釣りを楽しんだり、僕と一緒に神薙さんのおやつを作ったり、もふもふズと戯れたりなどして午後を過ごし、時間になったら春日さんがお土産を持たせて学校に送っていった。
お土産と言っても一人用おひつと竹の水筒だけどね、子供達にはおにぎりに続き大好評だったからまぁいいか。
起きた猪の子は背中にこうちゃんと雪ちゃんを乗せ、のっそりと動いたと思ったら縁側に移動してまた眠ってしまった。うん、野生向いてないよ君。
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