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優しい人生を

第36話

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 ピザを製作中ほとんど喋らなかったタイガ。
 息吹を感じるフィギュアを作るほど手先が器用なタイガが黙々と作った結果、食卓の上には漫画の中でも滅多に見ないような直径30㎝、高さ10㎝以上はありそうな横綱ピザがドドンと数個置かれている。 
 他にも三匹がお肉と一緒に持ち帰ったフルーツ各種を使って作られたデザートピザが数点、お子様ランチならぬお子様ピザも作ってくれたみたい、タイガの器用さがどんどん上がっている。 

「ふぁぁぁ」

 感動に言葉を失っているのはもちろん神薙さん。
 待てをしてもらっている所だけど、皆が揃うまで我慢出来るのだろうか。

 飲み物はコーラ、麦茶、エール、ジュース各種。
 コーラは女神様の一押しで強制的に提供させられた。

「ピザとコーラか、凶悪な組み合わせだぜ、早く食おうぜイツキ!」

 しかもナチュラルに夕食に参加している。

「今お肉を捌いているのでお待ちください、サラダも出ますので食べてくださいね」
「おかんかよ」
「11人の子持ちですから」
「……っ、あれは、エビマヨピザ! イツキちゃん素敵!」
「夕食のリクエストを神託で下すの止めません?」

 味付けを悩んでいた時「海老! マヨ! 海鮮!」と女神様の神託が響いた時は何事かと思った。

「この間地球に行ったらCMで流れてたんだよ、ピエーラのピザ好きでさー、あ~コーラよりエールにしようかな」
「好きにしてください」

 女神様の本日の衣装は女神様衣装ではなくいつものジャージ、本気で飲み食いする気だね。

「おーすげー美味そうだなぁ」
「わっふぅ」
「刀雲、ルークお帰り!」
『とーちゃ!』
「おっと、シャムス、テンション高けぇな!」

 ハイハイで突進してきたシャムスを帰宅した刀雲が難なく受け止め抱き上げる。

『ピザ作ったの! 僕も飾り付けしたのよ! あのね、生地がね、捏ねたらスライムになってね!』
「落ち着け、落ち着け、ちゃんと聞くから」
『あっちのおっきいのはタイガが作ったの、具がね、ぎっちりなのよ!!』

 うんうんとシャムスの話を聞きながら、ドリアンに洗浄魔法を掛けられている。
 まだ埃を落としていなかったようだ。

「これは以前に食べたピザというやつだな」
「あれ獅皇さん珍しい」
『とうしゃまーーー!!』

 シャムスのテンションが振り切れている気がする。
 あんなにはしゃいで大丈夫だろうか、お食事中に寝ないか心配だ。

 ピザには騎士様も春日さんも、レイアさん夫婦も大いにテンションが上がっていた。
 後半はお酒各種が並んでいたり、横綱ピザは9割以上神薙さんの胃に納められてしまったけれど、特殊に失敗したピザもなく皆で楽しめた。

『うふ、ふー』

 当然の結果として、シャムスは食事中に寝落ちしました。
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