ファクト ~真実~

華ノ月

文字の大きさ
153 / 252
特別編 雨に打たれた鳥たちは光を目指す

12.

しおりを挟む
 下田が下町のような場所を歩き、廃校になったある高校の前で足を止める。

「もう……ここも使われていないんだな……」

 下田がそう呟きながら、廃校のなった高校のグラウンドを柵越しに眺める。

 しばらくそのグラウンドを眺めると、また歩き出した。



 ――――ピンポーン……。

 あるアパートの一室のインターフォンを透が鳴らす。

 ――――ピンポーン……。

 応答がないのでもう一度インターフォンを鳴らす。

「……出ませんね」

 奏がそう口を開く。

「……お~い!連れてきたぜ!」

 そこへ、紅蓮がアパートの管理人を連れて部屋の前にやってくる。そして、管理人に部屋を開けてもらいその部屋に入る。

「……割ときれいに整頓されていますね」

 奏が部屋に入ってそう声を発する。

「あぁ……。まさかとは思うがな……」

 槙が何かを感じ取ったのかそう声を発する。

「とりあえず、手掛かりになりそうなものを探してみよう」

 透の言葉にみんなで下田が何処に行ったのかが分かるものを捜索する。

「……あれ?」

 奏の目に机に開いたままになっているノートが目に入る。

「香菜?」

 そのノートに書かれている名前を見て奏が声を出す。

「どうした?」

 透が奏の傍にやってくる。

「このノートに『香菜、会いに行くよ』って書いてあるんです。もしかして、下田さんは香菜さんに会いに行ったんじゃないでしょうか?」

 奏がそう推測する。

「槙!香菜って人を知っているか?!」

 別の場所で部屋を捜索している槙に透が声を出す。

「香菜?……あぁ……確か磯口の彼女だった人の名前だ」

「だった?」

 別の場所にいた紅蓮もその場にやって来て槙の言葉に疑問を感じたのかその言葉を繰り返す。

「あぁ。例の原発事故で亡くなっている」

「「「!!」」」

 槙の言葉に奏たちの顔が驚愕する。

「じゃあ、その下田と言うか磯口と言うかそいつが犯人の可能性は十分高いというわけだな……」

 紅蓮が苦々しい顔をしながらそう言葉を綴る。

「……という事はこのノートの意味はお墓参りか何かでしょうか?」

 奏がノートを見ながらそう言葉を発する。

「その可能性は高いな……。よし!一旦戻って冴子さんに報告だ!」

 透がそう言葉を発すると、奏たちは署に戻るために車に乗り込み、その場を去って行った。



「……どうやって忍び込むかだな」

 男がコーヒーを啜りながらそう呟く。

 例のターゲットが入っていったホテルの近くに喫茶店を見つけて、そこに入ると男はターゲットとどう接触するかを考えていた。

 ターゲットの泊っているホテルはセキュリティ対策も万全そうだし、ターゲット自身がそれなりの地位の人なのでガードも堅いだろう。

 ただホテルに忍び込んでも、不法侵入者として通報される恐れがある。

(……とりあえず、何か方法を取ってみないとな)

 男が心で呟く。

 そして、ポケットから一枚の写真を取り出す。

(絶対に仇は取ってやるからな……)

 そう心で呟き、その写真をポケットにしまうと男はその喫茶店を出て行った。



「……なんですって?!笹原と同じチームの人が犯人?!」

 冴子が奏たちの報告を聞いて驚いたように声を出す。

「まだ可能性の段階ですが、動機はあります」

「動機?」

 透の言葉に冴子がその言葉を繰り返す。

 そして、下田が元々槙と同級生だったことや部屋のノートに書かれてあったことを話していく。

「……成程ね。確かに動機はあるわね。そして、その場所に行った可能性もある……か……」

 冴子が話を聞いてそう言葉を綴る。

「でもどうしますか?その場所まではかなり距離がありますよ?」

 紅蓮がそう口を開く。

 確かにこの場所からそこへ行こうとするとかなりの時間を要する。もし、ある推測が本当だとすればのんびりとしていられない。

「……そうだわ、あれを使いましょう……」

 冴子がそう言って不気味な笑みを浮かべた。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-

ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。 1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。 わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。 だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。 これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。 希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。 ※アルファポリス限定投稿

日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー

黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた! あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。 さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。 この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。 さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

滝川家の人びと

卯花月影
歴史・時代
勝利のために走るのではない。 生きるために走る者は、 傷を負いながらも、歩みを止めない。 戦国という時代の只中で、 彼らは何を失い、 走り続けたのか。 滝川一益と、その郎党。 これは、勝者の物語ではない。 生き延びた者たちの記録である。

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...