すべての世界で、キミのことが好き♥~告白相手を間違えた理由

立坂雪花

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✩.*˚第2章 すれ違うふたり

☆結愛

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 私はなんで今、悠真に告白したの?

 えっと、まず、私は陸くんに部活終わったら教室に来てほしいって話をしたよね?

 だから、教室の中にいるのは、陸くんなはずで。

 でも実際にここにいたのは、なぜか悠真。

 うーん。頭が混乱する。

「なんか、告白されるのって嬉しいな」

 優しい目で微笑んでいる悠真。
 あぁ、これ、普段見せない顔……。

「あ、あのね、悠真、悠真じゃなくってね……」

「よろしくな!」

 私の言葉をさえぎるように、彼は言う。
 彼は今、期待に満ちたような顔をしていた。

 誤解を解けない雰囲気。

「付き合う、か……」

 彼はそう言いながら、手を差し出してきた。

「えっ? 何?」
「恋人って、毎日手を繋ぐんじゃないの?」
「そうなの? 映画とかで繋いでいない恋人もいるような、いないような」
「嫌か?」
「……いいよ」

 彼の言葉に流されて、手を繋ぐことに。

 結局、誤解は解けなくて。
 悠真と付き合う流れになっちゃった。


 手を繋いで玄関まで行くと、玄関に人が数人いた。手をこっちからパッと離した。悠真と手を繋ぐのは全然嫌ではなかったけど、なんか人目が気になっちゃって。

 
 うん、本当に手を繋ぐのは嫌な気持ちはなかった。なんだか心がホンワカした。
 
 


 学校からちょっと離れると、再び手を差し出してきたから、再び手を繋ぐ。

 そのまま家まで送ってくれるみたい。

 私と悠真がなぜか、そう、なぜか付き合うことになったのだけれど。

 問題だらけだよね、こんなの。
 私が好きなのは陸くんだし。

 正直、悠真のこと、カッコイイなぁとは思ったりはするんだけど、恋愛対象として見たことは、一度もない。

 あとは、桃音ちゃんが悠真のことを好きってことが気にかかる。

 これ、桃音ちゃんにバレたら絶対怒るよね……。友達じゃなくなってしまうかも知れないし。

 それに、なんか、陸くんにも知られたくないな。

 ってか陸くんに告白したかったのにー!!

 告白が上手くいって、付き合ったら行きたい場所とかも想像していたのに。

 複雑な気持ちになった。
 今から悠真に本当のこと話そうかな?

「あのね、私、実はね、悠真じゃなくて陸……」
「付き合うってワクワクするな!」

 再び彼は私の言葉をさえぎった。
 これ、言えない雰囲気だな。

 今正直に話すと、ウソついたのかとか思われそう。

 小さい頃、彼に小さなウソをついてしまった時があって。その時、彼がものすごく機嫌悪くなっちゃった記憶がある。

 休みの日、悠真に遊ぼうって誘われた。遊べる日だったのになんだか面倒くさくなって、お腹痛いって言っちゃって、断って。

 その日の夜にお母さんの前で悠真が私に「お腹痛いの大丈夫?」って質問してきた。その時に仮病使って遊びを断ったことを知らなかったお母さんが確か「結愛めちゃくちゃ元気だったよ」みたいなこと言っちゃったんだっけな? そう、私がその日お腹痛くなかったってことを彼がいる前で話しちゃったの。

 それから悠真、しばらく機嫌が悪くなっちゃって。キレた時の彼、怖かったなー。

 怖かったことランキングベスト3に入ると思う。あの時からもう、彼にはウソつかない!って心の中で誓った。

 今思えば、あの時、ウソついたの怒るくらいに、お腹が痛いこと、心配してくれてたんだよね。

 あー、でも、言うの怖いよー!
 とりあえず、今はこれだけは言っておこう。

「悠真、付き合ったこと、学校では隠しといてくれない? みんなに絶対言わないでほしいの。お願い!」

 両手を合わせて、頼み込んだ。

「……う、うん」

 ちょっと戸惑いも見えたけれど、素直に聞き入れてくれた。

 

✩.*˚ 

 終業式の日がきた。
 明日から、夏休み!

「夏休み、どっか行かない? もちろん、マロンちゃんも一緒に」

 帰る直前、教室で陸くんに誘われた。
 
 この言い方は、マロンもいるけれど、ふたりでってことだよね? 

 今、隠しているけれど、悠真と付き合っているし、陸くんと一緒に遊びたいけれど、ふたりっきりは……。

 ちらっと悠真を見ると、こっちをじっとにらんでいた。
 話が聞こえる距離にいて、絶対に話を聞いていた感じ。

 悠真と目が合い、そらせずにいると、こっちに向かってきた。

「帰るぞ!」

 おもいきり悠真が私の手を引っ張る。
 
「やめて、付き合ってるのばれる!」

 他の誰にも聞こえないように、小さな声で私はささやいた。

「じゃあ、陸の誘い、すぐに断ればいいじゃん。嬉しそうな顔して陸のこと見て……」

 すごいヤキモチ。
 悠真は意外に束縛系?

 カバンに荷物をまとめていた桃音ちゃんの方を見ると、彼女は驚いた顔をしてこっちを見ていた。

 クラスのみんなも。
 もちろん陸くんも。

 そして廊下に出る直前に「綾野さん、イケメンばかりと仲良いよね?」「イケメン好きだね」「しっ! 聞こえちゃうよ」なんて
ひそひそ話。

 こんな感じで休みを迎えるなんて……。


✩.*˚


そして、夏休みがやってきた。

 朝、マロンの散歩をしようと、外に出ると家の前に悠真がいた。

「えっ? なんでいるの?」

「体力錬成」

 真顔で答える悠真。
 いつもの散歩の光景に彼がいるのが、少し不思議な気分。

 とりあえず、いつもの散歩コースを歩こうかな?

「夏休み、結愛はいつも何してるの?」
「うーん、部活行ったり、後はのんびりしてるかなぁ」
「じゃあ、どこかに行かね?」
「どこ?」
「いいか? 行くぞ!」
「う、うん……」

 最近、悠真は強引だなぁ。
 今も私の質問無視して。

 彼は、告白した日からキャラが突然変わったかのように本当に積極的。


 でも、なんだろう。
 そういうの、嫌いじゃないかも。

 横に並んでゆっくり歩く。

 悠真、いつの間にか身長、伸びたなぁ。

 私は今、150センチ。頭一個分ぐらい、それ以上高いなぁ。

 小さい頃を思い出す。

 小学生になるかならないかの頃、悠真の方が小さくて、頭を何回もぽんぽんした記憶がある。

 じっと見ていた私の視線に気がついた悠真がこっちを見た。

「どうした?」

「ううん。何でもないよ。悠真、身長伸びたなぁって思って」

「最近特に伸びたわ! 中学入った時、制服ブカブカだったのに最近ぴったりだし」

「そういえば、そうだね! てかね、昔は悠真の方が小さくて、頭のテッペン見えたらぽんぽんしたくなって、してたのになぁ。今はもう見えない」

 背伸びをしてみたけれど、全く頭のてっぺんが見えない。

「こうか?」

 悠真が私の頭を撫でてきた。

 彼は突然予想外なことをしてきて、私はドキッとした。


✩.*˚

 途中、いつもと違う散歩コースを歩いてみた。
 近所で一番広い公園に行ってみる。

 この公園は、遊具もあるし、奥に行くと運動出来る広場やランニングコースもある。

「そういえば、さっき言ってた体力錬成、しないの?」

「あ、あぁ。大丈夫」

 彼は、私とマロンの歩く速さに合わせて歩いている。ゆっくりな感じ。

 本当は走ったりしたいのかなぁ?

 公園の中を歩いていると、見覚えのある人がサッカーボールを蹴っていた。

「あ、陸くんだ!」

 思わず名前を呼んでしまった。私が陸くんの名前を出すたびに悠真が嫌そうな顔をするから、避けていたけれど。横を見ると、やっぱり嫌そうな顔をして、彼は陸くんを見ていた。

「おーい!」

 陸くんが私たちに気がついて、手を振ってきた。私は控えめに振り返す。

 悠真は……手を振らずに無言でズボンのポケットに手を突っ込んでいた。

 陸くんは手を振った後、再びボールを蹴る練習をしていた。

「サッカーしていると、余計にかっこいいな……」

 心の中の言葉を呟いてしまった。
 それに気がついた時にはもう遅かった。

 こっちをにらむと、陸くんの方へ悠真は足早に歩いていく。

 えっ? 何このやばい雰囲気。喧嘩始めたりしないよね?

 怖くなって、マロンを抱っこしてギュッと抱きしめる。

「対決だ!」

 えっ? 何? 喧嘩始めるの?

 私にまで届かない声で何かを話しているふたり。


 まずは、ゴールの場所を決めてるっぽい。

 この広場には木が沢山生えている。木と木の間をゴールにしたらしい。ちなみに木の後ろはネットがあるから、ボールは道路へ飛び出したりしない。

「これで、三分、時間を計って!」

 悠真のスマートフォンを渡される。
 画面はタイムウォッチモード。

「どんな対決するの?」
「僕がゴールを守って、悠真がゴールを狙う。三分間守りきれば、僕の勝ち!」

 陸くんが説明してくれた。

 広場の真ん中でボールを囲むふたり。


 まず、悠真がボールを蹴って、陸くんがボールを奪おうとする……。陸くんが奪ったボールを再び悠真が奪おうとしている。それを繰り返す。

 ふたりがサッカーをしている姿ってなかなか見る機会がなかったけれど、ふたりともとてもキラキラしていてカッコイイ。

 どっちを応援して良いのか分からない。

 陸くん?
 悠真?

 今どっちかっていうと、陸くんが優勢って感じかな? 悠真は少し焦っているようにもみえる。

 残り三十秒……。ふたりとも頑張っている。このままじゃあ、どっちか負けちゃう。押され気味の悠真が負けちゃうのかな?

「悠真、頑張れー!」

 負けそうな悠真を応援した。

 マロンも「ワンワン」って。一緒に応援しているみたい。

 悠真がボールを奪った。
 勢いが増した。

 勢いよく木と木の間にボールが滑り込む。

「わっ!! すごい!」

 私は思わず叫んだ。

 ピピピ……。

 スマートフォンの音が鳴る。
 
 ゴールを決めた瞬間の悠真!
 凄くキラキラしてた。

 私の視線は、悠真を追っていた。


「ふたりとも上手だね! すごくよかったよ!」

 私がそう言うと、陸くんが微笑む。
 悠真が満面の笑みでこっちを見た。

「結愛、ありがとう!」

 しかも悠真からなぜかお礼を言われる。

「えっ? 私、何もしてないよ?」
「結愛のお陰で勝てたんだ!」
「……?」

 悠真がもう一度ニッコリと私を見ながら微笑み、陸くんと話し始める。

 私はマロンと目を合わせて首をかしげた。マロンも真似して首をかしげていた。

 急に対決を始めて、どうなっちゃうのかなと思ったけれど、喧嘩じゃなくて本当に良かった。

 私じゃあ、彼らの喧嘩をとめられないし。
 対決をしているふたりが楽しそうで、羨ましいなとも思った。


 三人でベンチに並んで座る。

 それぞれが持ってきたペットボトルや水筒の飲み物を飲む。私は小さいペットボトルに家でつくったお茶を入れてきて、悠真と陸くんは水筒に何か飲み物を入れてきていた。

 マロン用に持ってきたお水を彼女にあげると、勢いよく飲んでいる。

 気持ちに余裕ができて、天気を感じる。

 今日の天気は“暑い! 時々フワリと吹いてくる風が気持ちイイ”って感じかな?

「夏休み、どこかに行くの?」
 
 陸くんに質問された。

「行かないかな?」
「行かねぇな」

 声が合わさる悠真と私。

 思わず悠真の方を見ると、彼と目が合う。

 彼、さっき散歩する前はどこかに行こうって話をしてたのに、今行かないって言った。私もその時、行く返事したのに、今、行かないって言っちゃったけれど。

「じゃあさ、海の近くに住んでる僕のばあちゃんの家に行かない?」

「俺はいかないかな?」

 すぐに悠真が答える。

「そっか、結愛ちゃんは? 距離とか電車の関係で、多分泊まりかな……出来れば、一週間ぐらい過ごせたらいいなぁって思ってる」

「陸くんのおばあちゃんの家? 海に行ったことがないし、なんか楽しそう!」

「楽しいよ! 水着持ってこれば、海の中にも入れるし、あそこの海は綺麗だよ!」

「行きたいな! お母さんに聞いてみる!」

「本当? 許可貰えるといいね! ばあちゃんも友達連れてきたら喜ぶと思う。ばあちゃん、すごく優しいんだ! 会わせたいなぁ」

「おばあちゃんに会いたい!」

 陸くんと私はふたりで会話が盛り上がる。

「あ、じゃあ、俺も行こうかな……」

 突然意見を変えた悠真。
 陸くんと私は思わず同時に彼を見る。

「お母さん、いいよって言ってくれるかな? 家族以外と泊まりとかしたことないから。凄く心配しそう」

「難しそうだったら、僕も一緒に頼んでみる?」

 陸くんが言いながら首をかしげる。

「いや、俺が一緒に頼む!」

 強い口調で悠真が言う。

 行きたいなぁ!
 お母さんから許可が貰えますように!


✩.*˚

 家に帰ると、早速お母さんに聞いてみた。

「ねぇ、お友達のおばあちゃんの家に泊まり行きたいんだけど、行ってもいい?」

「え、いつ?」

「まだ決まってないんだけど……期間は一週間ぐらいかな?」

「お友達って、誰?」

「陸くんのおばあちゃん家に行きたいの。桃音ちゃんも誘おうかなって思って。後ね、悠真も行くって!」

 悠真はもちろん、陸くんと桃音ちゃんも家に遊びに来たことがあるからお母さんは知っている。

「うーん……。色々心配だなぁ」

「お願い!」

 人に何かを頼むのは、本当に慣れていなくて、ドキドキする。

「……分かった。いいよ! 陸くんのおばあちゃんに、迷惑かけるんじゃないよ?」

 少し間があったけれど、お母さんから許可をもらった。

「もちろん!」

「あと、気をつけてね!」

 やったー!

 後は、桃音ちゃんにも聞いてみないと!

 

 陸くんといつ行くか相談して、日にちが決まってから桃音ちゃんにLINEを送った。

『八月六日から一週間、陸くんのおばあちゃんの家に泊まり行くんだけど、行く? メンバーは、陸くん、悠真、私です。お家の人に許可貰えるかな?』

『すぐ許可貰えたよ! 行く! 悠真くんも行くんだね! 楽しみ』

 このメールを読んではっとした。

 終業式の日、教室で悠真が私を勢いよく引っ張った時、桃音ちゃんはすごく驚いた顔でこっちを見ていた。

 悠真のことが好きな桃音ちゃん。嫌な光景だったろうなぁ。あれから彼女とは部活で会ったりしていたけれど、悠真の話は一切していない。

 メールで悠真の名前を出してきた桃音ちゃん。なんかこの文章だけでも彼のことが好きなんだなぁって伝わってくる。

 こっそり付き合っている私たち。
 いつか打ち明けないとな。

『よかった! 桃音ちゃんも行けるの嬉しい! 楽しもうね!』
 

 楽しもうねって送ったけれど、楽しめるのかなぁ。なんか、ちょっと不安。


✩.*˚

 陸くんのおばあちゃんの家に行く日が、あっという間にやってきた。

 この日は部屋に貼ってある花のイラストが書いてある月別カレンダーに、他の予定よりも特別な、大きなピンク色の丸印をつけていた。

 だって、とても楽しみだったから。

 今日私は、初めて電車に乗る。
 きちんと乗れるかなって、ドキドキとワクワクが交差する。

 今日のために可愛いワンピースを買った。
 薄いピンク色の半袖ワンピースで、袖とウエストがキュってしている。そして胸元にはレースの黒いリボンがワンポイントで付いている。

 髪の毛も普段、上手く結ぶのが苦手だから下ろしっぱなしだったけど、今日は頑張って、雑誌に載っている可愛い髪型にしてみた。ふたつ縛りの編み込み。難しかったけれど、なんとか仕上がった。

 全身がまとまったら、玄関にある全身鏡を見てくるっと回ってみる。

「はぁ、可愛いって思ってくれるかな? 自信ないなぁ」
 
「誰に?」

 ひとりごとを呟いていたら、後ろから声がした。

「わぁ! お姉ちゃん! いきなりビックリした」
「ふふっ! ごめんごめん。可愛いよ! 大丈夫。」
「本当に? 大丈夫? この髪型、後ろから見たら変だ!とかない? 本当に大丈夫?」
「大丈夫だよ!ってか誰に可愛いっておもわれたいの?」

 お姉ちゃんが興味津々な顔で目を輝かせながら質問をしてくる。

 ――誰に可愛いっておもわれたいんだろう。


 今までは陸くんばかりが頭に浮かんできたのに、今は――。

 頭の中がぐるぐるしかけた時、お姉ちゃんが言った。

「自信ないときの対処法教えてあげるよ」
「何それ、今すぐに教えて欲しい」
「簡単だよ! 背筋をピンッと伸ばして、頭のてっぺんに見えないヒモがあって引っ張られるように……」

「こう?」

 教えられたとおりに鏡をみながらしてみる。なんか、お腹が自然にひっこんで姿勢がよくなった気がする。

「そうそう、そしてね、心の中で強く思うの。今の私は誰よりもキラキラしているって!」

「キラキラキラキラ…私は誰よりもキラキラしている……うーん、難しいなぁ」

「これね、撮影の時やるんだぁ。私、普段本当に自信がなくてね、せめて撮影の時だけでもキラキラしたいなぁって悩んで、考えたのが、これ!」

 お姉ちゃんは中学の頃から、スカウトされて、たまに雑誌のモデルをしている。私から見たお姉ちゃんはいつもキラキラしているけれども。普段は自信がないのかぁ。

 誰にだって、悩みはあるんだね、きっと。

「ありがとう、お姉ちゃん!」
「で、誰に可愛く思われたいの?」
「秘密!」

 今はなんだか、気持ちが中途半端で宙ぶらりん。だから今は、まだ秘密!

「秘密じゃなくなったら、教えてね!」
「うん!」


✩.*˚

 朝、駅前までお父さんの車で送って貰えることになり、今車の三列シートの後ろに乗っている。

 一番先に、悠真の家に迎えに行く。

「おはよう!」
「おぅ」

 朝に弱い悠真は無愛想に返事をすると、真ん中のシートに。

 続いて、桃音ちゃん。私の隣かな?って思っていたけれど、悠真の隣へ。

 積極的だなって思うのと同時に、なんだか心の中がちょっとモヤモヤする。

 最後は陸くんが乗って来た。
 空いている席が私の隣しかないから隣に。

 出発してすぐに、悠真が「俺、後ろがいいんだけど」とか言い出し、ちょっと気まずい雰囲気に。最初から乗れば良いのに。

「すぐに着くよ?」

 とっさにでた私の言葉。

 ちょっとムッとしながら外を眺めている悠真。

 彼、なんだか小さい子供みたい。
 前は何考えているのか、よく分からなかったから、それよりはいいかも。

 すぐ隣には、好きなはずの陸くんがいるのに、窓と椅子の隙間からかすかに見える、悠真の頭ばかりを見ていた。


✩.*˚

 十五分ぐらいの距離なのに、車内の空気が気まずい。

 特に前の二人。最初は桃音ちゃん、悠真の隣で嬉しそうに彼に話しかけていたのに、悠真が冷たく返事をするから、静かになった。斜め後ろから見える桃音ちゃんの横顔がしょんぼりしていた。

 ごめんね! 

 悠真の代わりに私が謝りたい気持ちになる。

 そしてふと頭をよぎる。

 彼は他の人には冷たいんだけど、私にだけは、なんか違うなって。

 駅に着いた。
 車を降りて歩こうとしたら、運転席の窓が開いた。

「結愛!」

 めったに聞くことのない、お父さんの大きな声で私は振り向く。

「気をつけてな!」
「うん、ありがとう」

 お父さんのその言葉が珍しくて、とても貴重な感じがした。

 しばらくその言葉は、お父さんの声のまま、頭の中をこだました。 

 駅の中に入ると切符を買い、改札口を通る。陸くんは慣れているみたいで、私は陸くんの真似をしながらついて行く。

 まだ、時間に余裕があり、桃音ちゃんとトイレへ。

 手を洗い、ふたりは鏡を見る。

「桃音ちゃん、さっきは悠真、ごめんね」

「なんで? なんで結愛が謝るの?」

 私が謝ると、鏡を見ていた桃音ちゃんがきっとした顔でこっちを向いて言う。

「え、なんとなく」

「なんとなくって意味が分からない。結愛の悠真くんじゃないのに、結愛が謝るの変だよ!」

「確かに……」

 桃音ちゃんはひとりでトイレを出ていこうとする。私は急いで後をついて行った。

 ――この旅、どうなるんだろう。本当に。




 電車に乗る。

 四人向かい合わせで座っている。悠真が先に座り、私を隣に誘導してきて、私と悠真、陸くんと桃音ちゃんがそれぞれ隣同士で座ることになった。

 気まずい。

 最初は気まずかったけれど、やがて窓側の桃音ちゃんが外の風景を眺めながらテンションが高くなる。

 悠真も機嫌が良くなり、窓を眺めている。私はほっとした。

 こっそり、目の前の席に座る陸くんを見ると目があい、微笑みあった。

 陸くんのおばあちゃんの家までは一時間ぐらいで着く。

 ほっとしてから電車の空気を感じた。電車の中はすんとした香りがする。それからしばらくして海が見えてくると、初めて見る海にテンションがあがり、ワクワクしてきた。

 晴れている空の青色が海に反射していて、綺麗な色。どこまでも続く水平線。そして、太陽の光でキラキラが揺れている。今すぐにこの景色を描きたいほどに美しい。

 ――後から水彩画の絵を描きたいな!

 この景色を後から写真を参考にしながら描こうと考えて、座りながらスマートフォンで外の景色の写真を撮った。悠真の後ろ姿も景色の端にこっそり添えた。




 駅に着いた。
 木造で、小さな駅。多分築何十年とかたってそう。

 この雰囲気、好き!

 ここも後から描きたいから、写真を撮っておこう!

 駅を出て、海沿いの道をけっこう、十五分くらいかな?歩いた場所に陸くんのおばあちゃんの家があった。

 たどり着くまでの景色や海の香りが全部新鮮で、見とれていたら、あっという間に着いた。

「こんにちは!」

 陸くんを除く私たち三人の声がピッタリと重なり合った。

「こんにちは! いらっしゃい!」

 とても優しそうなふんわりおばあちゃん。目をいっぱい細めた優しい笑顔で私たちを迎えてくれた。

 おばあちゃんの後ろから、黒とグレーのシマシマ模様の可愛い猫ちゃんがひょこっと出てきた。

 猫ちゃんに出会うとマロンが頭に浮かんでくる。今なにしてるのかなぁって。

 ちなみにマロンは今、一緒に大切にしてくれているお姉ちゃんが中心になり、家族が見ていてくれている。だから安心!

「おじゃまします!」

 おばあちゃん。私のおばあちゃんは、私が小さい頃にお空に行ってしまったらしい。赤ちゃんの時に抱っこしてくれた時の写真が残っている。

 写真の中のおばあちゃんも優しそうだったなぁ。ってふと思い出した。


 陸くんとおばあちゃんが話をしている。陸くんは普段から結構ニコニコ笑ったりしているけれど、なんだかまた違う笑顔。幸せそう!

 ふたりの雰囲気を感じていると、自然に私も笑顔になる。

 ふわっと風が来たから、窓を見た。
 リビングの大きな窓が開いている。

 たまにカーテンが揺れる程の風が流れてくる。
 海の香りも一緒に流れてきて、この家の香りと交わりながらこっちにくる。いい香り!



 お昼ご飯の時間になった。
 おばあちゃんが素麺を準備してくれた。

「おいしー」

 食べていると、悠真が私のお皿にピンク色の素麺を乗せてきた。沢山の白い麺の中に数本だけ混ざっているやつ。

「これ、結愛の……」
「えっ? あぁ、ありがとう!」

 小さい頃、私は悠真と素麺を食べた時、ピンク色の素麺が食べたかったのに、悠真が食べて、泣いたことがある。

 もう泣かないのに。
 まだあの時の記憶、残っているんだなぁ。

 多めに準備してくれたんだけど、みんなお腹すいていて、全部ぺろりと食べた。

 食べた後はのんびり!
 
「海、泳ぎに行く?」

 うちわで自分をあおぎながら、陸くんが言う。
 
「私、みんなが泳いでいるの、見てようかな? 一応水着は持ってきたけれど、私、泳げなくて……」

 みんなに迷惑かけたくないしなぁ。

「ちょっと待ってて?」

 陸くんがリビングを出て、二階へ行く。しばらくすると、大きな浮き輪とボールを持ってきた。

「結愛ちゃん、これ使いな? 今膨らますね! 水の中で僕が結愛ちゃんの浮き輪のヒモを引っ張ってあげる!」

「いや、そこまでしてもらわなくても……」

「気をつかわないでさ、楽しく遊ぼ!」

「……うん。ありがとう」

 陸くんがにぎにぎしてふくらませるタイプの空気入れで、一生懸命浮き輪を膨らましている。

「すごく優しいよね、陸くん。ありがとう!」

 ふたりで見つめ合い微笑みあった。

「俺、やるよ!」

 ぼんやりしながら扇風機の風を全力で浴びていた悠真が、私たちが微笑みあっていた瞬間、突然動き出した。


 おばあちゃんの家の部屋を借り、ドアを閉めて桃音ちゃんと一緒に水着に着替える。閉めきった部屋は空気がもわっとして一気に暑くなる。

「ねぇ、海、凄く綺麗だよね!」

 桃音ちゃんが話しかけてくる。

「ねっ! 初めて海に来たけれど、来れて良かった!」

 私は答える。

「こういう場所で、告白するのって、ロマンチックだよね! 私、海で悠真くんに告白してみようかな!」

「えっ?」

 私は血の気が引き、水着の上に着るパーカーのチャックを途中まで上げた状態で動けなくなった。

「……」

 あぁ、きちんと私たちのことを言わないと!

「あ、あのね!」

 私は桃音ちゃんに伝えようとした。

「海で、ふたりでちょっと遠くに行くから、その時はそっとしておいてね! 結愛も陸くんとふたりきりになりたいでしょ?」

「桃音ちゃ……」

「よし! 頑張ろっと!」

 桃音ちゃんが私の言葉をさえぎり、私は言い出せなかった。実は悠真と付き合っているんだってことを。

 もしも桃音ちゃんが本当に悠真に気持ちを伝えた時、悠真はどんな反応をするんだろう。

 桃音ちゃんの方が、可愛いし、明るいし……。魅力的だし。

 内緒で付き合っているけれども、別れてってすぐに言われちゃうのかな? 

 そもそも、付き合うって何? 
 私たちは本当に付き合っているの?

 心が、痛いよ――。

 私から離れていって、桃音ちゃんの隣に行く悠真を想像するだけで、涙が出そうになる。

 深呼吸して、吸い込む空気と一緒に涙も無理やり心の奥に押し込んだ。



 見下ろせば永遠の海が見える感じの海沿いの道を歩く。

 三人から少し離れて、ゆっくり後ろを歩いた。だんだんと距離がひらく。

 悠真が一瞬後ろを向いて、動きがゆっくりになって、私は追いつく。

 この彼の動きを、私は予想していた。
 だけど今、急になんとなく確認というか、試したくなった。距離がひらいても、近くにいてくれるのかなって。

「ねぇ、悠真……」
「ん?」
「……なんでもない」

 悠真が私の顔を覗き込んで無言で見つめてきた。

 長い階段を下りると、水に触れるようになっている遊べる場所にたどり着く。

 急な階段だったから、滑って落ちたりしないように一段一段、丁寧に下りた。

 近くで見ると更に永遠に奥まで続いて見える海の世界。
 こんなに美しい世界を今日、初めて知った。

 悩みがなさそうな、海。
 絶え間なく押し寄せては消える波。

 私の悩みも、この消える波と一緒に消えていってほしい。呑み込まれてほしい。

 自分の胸にそっと手を当てて、黒い部分を想像で掴んだ。

 そして、それを波がきた瞬間、波の上に落とした。



 海の中に入る準備をする。

「ここ、人いなくていいしょ? 隠れスポットみたいな場所。あっちはめちゃくちゃ混んでるわ」

 陸くんが混んでいる方向を指さし、言った。

 たしかにここには人がいない。
 人ごみ苦手だから、よかった!

 服をその場で脱ぎ、白い水玉ワンピースの水着になった。お姉ちゃんに借りたやつ。

 みんなの服とかをひとつにまとめる。
 履いていたサンダルも置いた。

「結愛ちゃん、おいで!」

 すでに海の中に浮き輪が浮かんでいて、その横に陸くんがいる。

 ドキドキしながら海に片足をいれる。
 初めて感じる海の水。

 ひんやり気持ちが良い。
 もうひとつの足も。

 少しずつ前に進むと、深くなってきて、膝ぐらいまで水の中に入った。

 陸くんの場所に着いて、浮き輪を掴み、輪の中に入る。
 怖くて浮き輪をぎゅっと掴む。

「じゃあ、進むよ!」

 陸くんが浮き輪のヒモを引っ張ってくれて深いところに進んでいく。

「待って! 怖い!」

「わぁ、ごめん!」

 慌てて陸くんは止まる。

 怖かったけれど、だんだん慣れてきて気持ちよくなってきた。水に慣れて、気持ちに余裕が出てきた頃、悠真と桃音ちゃんがいないことに気がついた。



「悠真たち、いないね」

 陸くんも気がついて、ふたりできょろきょろと辺りを見回す。

 もう告白しようとしているのかな?

 ふたりが仲良くしている姿を想像したら心がズキズキしてきた。

 しんどい。

「結愛ちゃん、どうしたの? 大丈夫?」

「うん。大丈夫……」

 大丈夫って言ったけれど、勝手に涙が溢れてくる。

 まだ桃音ちゃんは悠真に告白をしてなくて、もしかしたら告白しないかもしれないのに。

 想像しただけでこんな気持ちになるなんて。

「海、怖かった? とりあえず、上がろう?」

 ゆっくり、ゆっくり陸くんが浮き輪の紐を引っ張ってくれて、戻っていく。

 砂浜にたどり着く。
 どうしよう、涙が止まらない。

「ごめんね、結愛ちゃん。海に慣れていないのに、いきなりすぎたかな? 本当にごめん。泣かないで?」

 陸くんも目がウルっとしている。
 それから、私を優しく抱きしめてきた。

「あのね、違うの。陸くんは悪くないの」

 どうしようもない気持ちになっちゃって、悠真と桃音ちゃんが仲良くしている姿を想像していたら涙が出てきたってことを素直に話した。

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児童書・童話
 私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。  だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。 「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」  優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。  ……これは一体どういう状況なんですか!?  静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん  できるだけ目立たないように過ごしたい  湖宮結衣(こみやゆい)  ×  文武両道な学園の王子様  実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?  氷堂秦斗(ひょうどうかなと)  最初は【仮】のはずだった。 「結衣さん……って呼んでもいい?  だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」 「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」 「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、  今もどうしようもないくらい好きなんだ。」  ……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。

アリアさんの幽閉教室

柚月しずく
児童書・童話
この学校には、ある噂が広まっていた。 「黒い手紙が届いたら、それはアリアさんからの招待状」 招かれた人は、夜の学校に閉じ込められて「恐怖の時間」を過ごすことになる……と。 招待状を受け取った人は、アリアさんから絶対に逃れられないらしい。 『恋の以心伝心ゲーム』 私たちならこんなの楽勝! 夜の学校に閉じ込められた杏樹と星七くん。 アリアさんによって開催されたのは以心伝心ゲーム。 心が通じ合っていれば簡単なはずなのに、なぜかうまくいかなくて……?? 『呪いの人形』 この人形、何度捨てても戻ってくる 体調が悪くなった陽菜は、原因が突然現れた人形のせいではないかと疑いはじめる。 人形の存在が恐ろしくなって捨てることにするが、ソレはまた家に現れた。 陽菜にずっと付き纏う理由とは――。 『恐怖の鬼ごっこ』 アリアさんに招待されたのは、美亜、梨々花、優斗。小さい頃から一緒にいる幼馴染の3人。 突如アリアさんに捕まってはいけない鬼ごっこがはじまるが、美亜が置いて行かれてしまう。 仲良し3人組の幼馴染に一体何があったのか。生き残るのは一体誰――? 『招かれざる人』 新聞部の七緒は、アリアさんの記事を書こうと自ら夜の学校に忍び込む。 アリアさんが見つからず意気消沈する中、代わりに現れたのは同じ新聞部の萌香だった。 強がっていたが、夜の学校に一人でいるのが怖かった七緒はホッと安心する。 しかしそこで待ち受けていたのは、予想しない出来事だった――。 ゾクッと怖くて、ハラハラドキドキ。 最後には、ゾッとするどんでん返しがあなたを待っている。

クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました

藤永ゆいか
児童書・童話
中学2年生になったある日、澄野星奈に許嫁がいることが判明する。 相手は、頭が良くて運動神経抜群のイケメン御曹司で、訳あって現在絶交中の幼なじみ・一之瀬陽向。 さらに、週末限定で星奈は陽向とふたり暮らしをすることになって!? 「俺と許嫁だってこと、絶対誰にも言うなよ」 星奈には、いつも冷たくてそっけない陽向だったが……。 「星奈ちゃんって、ほんと可愛いよね」 「僕、せーちゃんの彼氏に立候補しても良い?」 ある時から星奈は、バスケ部エースの水上虹輝や 帰国子女の秋川想良に甘く迫られるようになり、徐々に陽向にも変化が……? 「星奈は可愛いんだから、もっと自覚しろよ」 「お前のこと、誰にも渡したくない」 クールな幼なじみとの、逆ハーラブストーリー。

笑いの授業

ひろみ透夏
児童書・童話
大好きだった先先が別人のように変わってしまった。 文化祭前夜に突如始まった『笑いの授業』――。 それは身の毛もよだつほどに怖ろしく凄惨な課外授業だった。 伏線となる【神楽坂の章】から急展開する【高城の章】。 追い詰められた《神楽坂先生》が起こした教師としてありえない行動と、その真意とは……。

【完結】またたく星空の下

mazecco
児童書・童話
【第15回絵本・児童書大賞 君とのきずな児童書賞 受賞作】 ※こちらはweb版(改稿前)です※ ※書籍版は『初恋×星空シンバル』と改題し、web版を大幅に改稿したものです※ ◇◇◇冴えない中学一年生の女の子の、部活×恋愛の青春物語◇◇◇ 主人公、海茅は、フルート志望で吹奏楽部に入部したのに、オーディションに落ちてパーカッションになってしまった。しかもコンクールでは地味なシンバルを担当することに。 クラスには馴染めないし、中学生活が全然楽しくない。 そんな中、海茅は一人の女性と一人の男の子と出会う。 シンバルと、絵が好きな男の子に恋に落ちる、小さなキュンとキュッが詰まった物語。

転生妃は後宮学園でのんびりしたい~冷徹皇帝の胃袋掴んだら、なぜか溺愛ルート始まりました!?~

☆ほしい
児童書・童話
平凡な女子高生だった私・茉莉(まり)は、交通事故に遭い、目覚めると中華風異世界・彩雲国の後宮に住む“嫌われ者の妃”・麗霞(れいか)に転生していた! 麗霞は毒婦だと噂され、冷徹非情で有名な若き皇帝・暁からは見向きもされない最悪の状況。面倒な権力争いを避け、前世の知識を活かして、後宮の学園で美味しいお菓子でも作りのんびり過ごしたい…そう思っていたのに、気まぐれに献上した「プリン」が、甘いものに興味がないはずの皇帝の胃袋を掴んでしまった! 「…面白い。明日もこれを作れ」 それをきっかけに、なぜか暁がわからの好感度が急上昇! 嫉妬する他の妃たちからの嫌がらせも、持ち前の雑草魂と現代知識で次々解決! 平穏なスローライフを目指す、転生妃の爽快成り上がり後宮ファンタジー!

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