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リード公爵とニーナ

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リード公爵と1度話がしたい。
話せるかどうかなんて解らないけど、1番状況を知る事が出来るはず!

「お願い、ニナ・スミスが来たと公爵にお取り継ぎ願えませんか。」

追い返されそうになったのを、公爵の執事が来て入れてくれた。

「…突然来て申し訳ありません!私はニナ・スミスではなく、エドワード王太子の婚約者のニーナ・サナスです。嘘をついて申し訳ありませんでした。っ勝手だとは思いますが、公爵に力をお借りしたくて参りました。」

いきなり来て婚約者だなんて信じて貰えないよね。
「ああ、やっぱり。」
「………え?」
「私も君を連れてきた1人だから。だが、うっすらとしか憶えていなかった。年のせいか、視力がいいとは言えないからね。」
「…そうだったのですか。」
そうじゃなきゃ簡単には公爵に会わせて貰えるはずないよね。

「それでは、話を聞こうか。大体予想はつくが。」
「エドワード殿下がハリソン公爵のもとへ向かったのはご存知ですか?」
「…ああ。先ほど城から知らせがきたよ。
1時間程前に公爵邸に着いているらしい。」
「状況は…」
「そこまでは…」

「私、ハリソン公爵邸に状況を確認に行きたいんです。殿下がどうなっているか。忍び込こむにしても、誰かに聞くにしても、この格好では難しいと思いまして、同じ爵位である公爵なら、何か気がつかれない格好など知っているかもと。」

「そんな事をしなくてもいい。相手はこの国と戦争をしようと言っている訳でもない。今のまま民は暮らしていける。」

「ええ。私も確認が終わったら、就職活動をして、1人暮らしというプランをたててます。」
「就職…?」
「はい、脱婚約者、お払い箱、そして心機一転、新しい生活をします!」
「君は…よくこの状況で…」
「よく図太くて強いと言われますが、やりたい事をやるのには必要不可欠です。」

「…どういう事かな?」

「私のせいで殿下は話をしに行く事を決めたかもしれないんです。私の言う事くらいで…そんな訳ないかもしれませんが。」

「君に言われたからだなんて事は絶対にないよ。」

嘘か本当かわからないけれど。
「そう言ってもらえると少し楽になります。」

「殿下の様子を確認してどうする。君には何も出来ない。」

「最初から何か出来るとも思っていません。ただ、このイヤリングを直接返して欲しいと言われました。だから1度会わないと。楽しく暮らすのはその後です。未だ職は見つかっていませんけど。」
「そのイヤリングは殿下が?」
「はい。」
「そうか。…君はおそらく就職はできないね。」
「何故ですか?」
「イヤリングが彼に会いに行く為の口実だからだよ。」

「……」

「普通なら行かない。けど君は会いに行きたい。違うかい?何故パーティーでエドワードが君に気が付かなかったのかは聞きはしないが。」

「……」

「1人暮らしをすれば、君の望む生活は手に入るだろう。けれどそこにエドワードはいない。2度と話す事もない。君が思い描く未来にはエドワードはいないのかな?おそらくあの子の未来には君はいるよ。」


「なぜ今…そんな事を言うのですか?」

「もし本当にハリソン公爵の娘がエドワードを好きなら、『2人が結婚すればいい』と君は言うだろう。それでいいと思っている。けどそれは1人暮らしをしたいからであって、エドワードへの気持ちを本気で考えてみたからではない。」

「そんな事はありえません。私は迷惑してるんです。お互いそうです。結婚だって、ただの仕事のようなものじゃないですか。」

「そう。なら行かないほうがいいし、行く手助けもしない。」

「っ!?どうしてですかっ?」

「手伝う理由がない。」

「…っ」

「わしはエドワードを子供の時から見ているし、生意気に育ってしまって、『昔はかわいかったのに』とよく思う。何があったのか調べに行きたくて仕方がない。けれど君は何のために行く?…そうなると、最初に戻る。イヤリングを返すため。そんな事のために君を公爵のもとへ連れていく事は出来ない。」

理由、口実…

私は国の事も、家族の事も考えずにここに来た。これがエドワードじゃなかったら、ここまでするのかな…。

「私はただ…どうしてるのか知りたいの、
危険なら助け出したい、まだ何かあった訳でもないのに変だけど、そうしたいと思っただけ。」

「やはりイヤリングは口実だとは思わないか?それがあってもなくても、何か力になりたい…だから行くんだろう。」

「…」

「あの卑怯者から、またエドワードを助けてくれる少年は君なのかな?」

「……っ!?」

「何故それを…って顔だね。何となくそう思っただけだよ。ノワールが頑なにエドワードの結婚相手を君にしたがってたしね。」

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