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王城2
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「俺は、貴女に嘘はつきません」
「では答えてくれる。5年の任期を終えずして、何故私は王都へ連れ戻されたの?」
ガスパールの言葉を伝えるだけなら、5年後でもいい。『私の魔力を継ぐ子が欲しい』という理由でもないなら、レナードが私を選ぶ必要性が全く無い。
「無理矢理にでも王都へ連れて帰らなきゃいけない理由があったんでしょ。正直に言って」
「……兄の病を治してほしいんです」
ああ、これで納得出来た。
「番のブレスがなきゃ、私を連れ帰る事が出来ないから、もっともらしく婚約者なんて理由をつけたのね」
「治癒は目的の1つで、俺がリュシルと結婚したい気持ちは変わりません」
「もう嘘は結構。未来の王様を治せるなら、弟の犠牲もやむなしってね。貴方も被害者みたいだから、もう何も言わないわ」
よく考えれば、これは私にとって都合がいいしね。
「王子様を治癒する条件は、このブレスを外す事よ。そうじゃなきゃ、絶対に治さないから」
回復や治癒なんて私より得意な人はいるから、取引にならないかもしれないけどね。っていうか、何でその人達を呼ばずに私が呼ばれたのかも謎だけど。
「ケホケホっ……」
「リュシルっ!?血がっ……」
え……?吐血してる……?どうして……?
「ううっ」
心臓が痛い…息が苦しい……
「リュシル!!」
……ああ、森とこことは時間の流れが違うんだから、当然だよね。体がまだ対応しきれてない。
森にいた時は、森の魔力を取り込み続けてたから何の変化も感じなかっただけ……。
あの森に後1年いたら、私は帰ってきてもすぐ死んでたわね。ガスパールが婚約破棄をしなかったのは、どうせ帰ってきたら死ぬんだから、少しでも夢見させてやろうって親切心だったのかな。
どんどん足に力が入らなくなって、あっという間に目の前が真っ暗になった。
・・・・
「リュシルっ!!……っ急いで医師を」
ドアの前に立つ衛兵に言うが、全く動こうとしない。
「レナード、医師に診てもらっても無駄だ」
そう言う父は、何故か全く焦っていない。
「何故言い切れるんですか。それに、彼女がいなければ兄の病も治せないんですよ」
「4年もあの森にいて、王都で生きていられるのだから、さすが『最強の魔法使い』だ」
生きていられる?
「……どういう事ですか?」
「本来なら、森の番人は1ヶ月……こちらの時の流れで約1年交代だ」
「……」
逢魔が刻の森にかかる霧は、魔力の濃度が異常に濃かった。普通なら、1ヶ月ですら耐えられないって事か?
「……もし彼女が5年の任期を果たしていたら、ここに帰ってきても生きていられなかった。そういう事ですか?」
「そうだ」
最初から、リュシルは死ぬ前提で森の番人を命じられたのか。それを本人は教えられず、祖父との結婚を餌にした。
なのに、兄の命が危険だから呼び戻した。
「……リュシルを連れて部屋に戻ります」
本来、玉座の間では魔法の使用は禁止だが、それを無視してリュシルの邸へ転移した。
リュシルの顔は真っ青で脈も弱い。このまま息が止まってしまうかもしれないと考えると怖い。
俺は、回復や治癒の魔法は使えない。『俺』ではなく、今はもうリュシルしか使えない。この50年の間、誰もそれを修得する事が出来ず、治癒と回復魔法は潰えた。
この状態のリュシルが治癒魔法を使ったら、確実に死んでしまう。
「では答えてくれる。5年の任期を終えずして、何故私は王都へ連れ戻されたの?」
ガスパールの言葉を伝えるだけなら、5年後でもいい。『私の魔力を継ぐ子が欲しい』という理由でもないなら、レナードが私を選ぶ必要性が全く無い。
「無理矢理にでも王都へ連れて帰らなきゃいけない理由があったんでしょ。正直に言って」
「……兄の病を治してほしいんです」
ああ、これで納得出来た。
「番のブレスがなきゃ、私を連れ帰る事が出来ないから、もっともらしく婚約者なんて理由をつけたのね」
「治癒は目的の1つで、俺がリュシルと結婚したい気持ちは変わりません」
「もう嘘は結構。未来の王様を治せるなら、弟の犠牲もやむなしってね。貴方も被害者みたいだから、もう何も言わないわ」
よく考えれば、これは私にとって都合がいいしね。
「王子様を治癒する条件は、このブレスを外す事よ。そうじゃなきゃ、絶対に治さないから」
回復や治癒なんて私より得意な人はいるから、取引にならないかもしれないけどね。っていうか、何でその人達を呼ばずに私が呼ばれたのかも謎だけど。
「ケホケホっ……」
「リュシルっ!?血がっ……」
え……?吐血してる……?どうして……?
「ううっ」
心臓が痛い…息が苦しい……
「リュシル!!」
……ああ、森とこことは時間の流れが違うんだから、当然だよね。体がまだ対応しきれてない。
森にいた時は、森の魔力を取り込み続けてたから何の変化も感じなかっただけ……。
あの森に後1年いたら、私は帰ってきてもすぐ死んでたわね。ガスパールが婚約破棄をしなかったのは、どうせ帰ってきたら死ぬんだから、少しでも夢見させてやろうって親切心だったのかな。
どんどん足に力が入らなくなって、あっという間に目の前が真っ暗になった。
・・・・
「リュシルっ!!……っ急いで医師を」
ドアの前に立つ衛兵に言うが、全く動こうとしない。
「レナード、医師に診てもらっても無駄だ」
そう言う父は、何故か全く焦っていない。
「何故言い切れるんですか。それに、彼女がいなければ兄の病も治せないんですよ」
「4年もあの森にいて、王都で生きていられるのだから、さすが『最強の魔法使い』だ」
生きていられる?
「……どういう事ですか?」
「本来なら、森の番人は1ヶ月……こちらの時の流れで約1年交代だ」
「……」
逢魔が刻の森にかかる霧は、魔力の濃度が異常に濃かった。普通なら、1ヶ月ですら耐えられないって事か?
「……もし彼女が5年の任期を果たしていたら、ここに帰ってきても生きていられなかった。そういう事ですか?」
「そうだ」
最初から、リュシルは死ぬ前提で森の番人を命じられたのか。それを本人は教えられず、祖父との結婚を餌にした。
なのに、兄の命が危険だから呼び戻した。
「……リュシルを連れて部屋に戻ります」
本来、玉座の間では魔法の使用は禁止だが、それを無視してリュシルの邸へ転移した。
リュシルの顔は真っ青で脈も弱い。このまま息が止まってしまうかもしれないと考えると怖い。
俺は、回復や治癒の魔法は使えない。『俺』ではなく、今はもうリュシルしか使えない。この50年の間、誰もそれを修得する事が出来ず、治癒と回復魔法は潰えた。
この状態のリュシルが治癒魔法を使ったら、確実に死んでしまう。
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