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第十一部・スペイン 編

もっかい達って ☆

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 深すぎる淫悦に体が震えたというよりも、生理的な反応だった。

「――香澄、もっかい、……達って」

 香澄が達する姿を見たかったのか、肉竿を締め付けられたかったのか――。
 佑はまた指で秘玉をクリュッと捏ねてきた。

「っっ…………っ、あぁああぁあぁ……っ!! ――――ん、ぐ……っ、ぅ――」

 その途端、香澄は床に額を押しつけ、今までにないほど激しく体を震わせ、大きな喜悦の渦に吸い込まれた。

 直後、脱力した体を、佑がしっかりと支える。
 彼は香澄の腰を支えてずんっずんっと深くまで亀頭を叩き込み、ようやく絶頂を迎えた。

「――ぁあ、………………ぁ、――――あぁ」

 疲れたような、深く満足したような溜め息を漏らし、佑は精を放つ。

 半分意識を飛ばした香澄は、自分の中で佑がビクビクと震え、思う存分白濁を吐き出しているのを感じていた。
 うっすらと開いた目を閉じ――、自分の最奥が佑で満たされる図を想像する。

 思い出したように佑はまた香澄を突き上げ、もう声すら上げられない香澄は、小さく震えて意識を失った。



**



 意識が戻ったのは、全身が温かなお湯に包まれた時だ。

 目を開くとバスルームの内装が映り、香澄は自分が佑に抱かれて風呂に入っていると知る。

 全身にどうにもならない疲労感を覚え、激しい愛交を思い出して赤面する。

「……どうして、こうなったの……」

「……ごめん」

 後ろから気の抜けた笑いが聞こえ、「もう……」と呆れつつ、何だかんだで許してしまう。

「……もー……。お買い物行くんじゃなかったの?」

 形だけ佑を責めてみる声は、少しかすれている。

「ごめん。我慢できなかった」

 謝っているが、その声は反省していない。
 香澄は佑に向かい合って彼の腰を跨ぎ、彼を軽く睨んだ。

「朝からはさすがにダメ」

「……ごめん。でも香澄がほしかった。本音を言えば、三百六十五日、一日中抱きたい。むしろ我慢してる俺を褒めて?」

「もぉお……。仕方ないなぁ」

 呆れて笑った香澄は、濡れた手で佑の頭をよしよしと撫でる。

「佑さんは私の事が好きで堪らないみたいですね?」

 冗談めかして言った香澄に、佑がチュッとキスをする。

「その通りです。本当にすみません」

 愛しさしかない目で香澄を見つめた佑は、堪らないというようにチュッチュッとさらにキスをしてくる。

「はぁあ……」

 溜め息をついた香澄は、脱力して佑に抱きつく。

「……もう。仕方ないなぁ」

 もう一度「仕方ない」を言い、指でクリクリと佑の乳首を弄る。

「買い物、行けそう? もちろん車を使うけど」

「お風呂上がって、うーん……。少し休ませてくれるなら」

「メイクとかする時間もいるだろ? 一時間は置こう」

「うん……。頑張って復活します」

 いつもセックスのあとは腰に力が入らず、フニャフニャになってしまう。

「佑さんは平気なの?」

「いや、むしろスッキリして快調かな?」

「……うう……。体力おばけ」

 恨みがましく睨むと、佑は体を揺らして笑った。
 お湯がチャプチャプと跳ねるのを見て香澄は息をつき、目を閉じて愛しい人の体温を感じる。

「ねぇ、スペインのお土産ってなに? 私、家族や麻衣にお土産買いたい」

「食べ物なら伝統菓子のトゥロン……、ヌガーみたいな物かな。日本人には甘すぎるかもしれないけど」

「ふんふん。海外だとそういうお菓子定番だよね」

「他はやっぱりカカオタンパカのチョコレートが有名だし、スーパーで買えるチップスなら生ハム味やトリュフ味とか」

「あ、そういう面白い味、麻衣なら喜びそう」

 親友の顔を思い浮かべ、香澄は思わずにっこり笑う。

「ガウディの建築物を模した、モザイク柄の雑貨もあるし、オリーブの名産地だから、オリーブ石鹸やハンドクリームとか」

「ふんふん」

 香澄は興味津々で頷く。
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