【R-18・連載版】部長と私の秘め事

臣桜

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二日目の夜の葛藤 編

もっとしてほしい ☆

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「ん……っ」

 体内に異物が入る感覚に私は身を竦め、ギュッと体に力を込める。

「痛い?」

 けれど入れられた所はごく浅い場所で、指の第一関節が埋まっているかどうかというぐらいだ。

 私は呼吸を整えながら首を左右に振り、それを見た涼さんは「少しずつ慣らしていくね」と声を掛け、陰唇に触れては少し指を入れ、また周囲を触って……と繰り返していく。

 彼が手を動かすたびにクチュクチュと濡れた音が立ち、確認しなくても秘所がたっぷり潤っているのが分かる。

 今のままでも気持ちいいけれど、達く事はできない。

 もどかしい、ゆるゆるとした心地よさを与えられ続けて焦れったくなった私は、思わず涼さんの手首を掴んで訴えた。

「……もうちょっと……、して。……大丈夫だから」

「分かった」

 物凄く恥ずかしいし、もしも涼さんが揶揄すれば、カッとなって「やめる!」と言ってしまいそうなぐらい、ギリギリな精神状態だ。

 彼はそれを分かっているのか、決してからかうような事は言わなかった。

 私もまた、昨日からの付き合いだけれど、性的な事を私から「してほしい」と言っても、彼なら不快な事を言わないと信じていた。

「痛んだらすぐ言って」

「ん」

 涼さんは私の唇にチュッとキスをしたあと、蜜孔に慎重に指を埋めてきた。

「ぁっ……、~~~~……っ、ん……っ」

 ジン……と染みるような痛みを感じたけれど、我慢できないぐらい痛い訳じゃない。

 思っていたより痛まないのは、涼さんがこれ以上ないぐらい時間をかけて、たっぷり濡らしてくれているからだろう。

「大丈夫?」

 そう尋ねてきた涼さんをチラッと見ると、この上なく真剣な表情をして心配してくれていた。

 こういう時だからこそ、彼の眼差し、表情を見て理解できる。

 ――この人、信頼していい人だ。

 私は処女で、男性付き合いの初心者だ。

 けれど人が他人を真剣に心配する時の顔つき、目は分かっている。

 家族すら「大丈夫だろ」と言うなか、朱里だけは私の身の上に起こる事を逐一心配してくれていた。

 彼女はあの大きな目でまっすぐ私を見て、心の底を見透かすように見つめてくる。

 涼さんもまた、朱里と似た目をしていた。

 私が気を遣って「大丈夫」と言わないか、強がらないか、本心を探るように目の奥を見つめる、透明感のある目をしている。

「っ~~~~、……ぅ、……う……っ」

 真剣な眼差しで見つめられると、「大切にされている」と感じて泣きたくなってしまう。

 私は周囲から女扱いされない、引き立て役なのに。

 心の奥にしまっておいた〝女〟の部分を痴漢に蹂躙され、「もう〝女〟でいなくてもいい」と、女の幸せなんて求めないようにしていたのに――。

 涼さんは、傷付いた私を両手でそっとすくい、慈愛の籠もった眼差しで見つめ、優しく触れ、大切にしてくれる。

「私にはそんなふうにしてもらう価値はないの」と反抗しようとしても、とても真面目な顔で「君には価値がある」と言って、私の心の奥底にある本心に手を延ばそうとしてくる。

 ――好きだ。

 ――この人が好きだ。

 直感で「この人ほど自分を大切に扱ってくれる人はいない」と理解した私は、未知の感情に振り回され、溢れる感情を整理しきれずに涙を零してしまった。

「恵ちゃん?」

 涼さんはすぐに秘所に触れていた手を引っ込めようとしたけれど、私はとっさに彼の手首を掴んだ。

「違うの。……もっとして。……涼さんが……っ、――――す、……好き、で、……信じていいんだって思ったら、勝手に涙が出ちゃって、……だから、……やめなくていい。……もっと、……してほしいんです」

 頭の中は荒れ狂う感情でグシャグシャになり、理路整然とした言葉が出てこない。

 けれど涼さんは「ん、分かった」と理解したあと、私の唇をチュッとついばみ、優しいキスをしながら、もう一度蜜洞に指を埋めてきた。

「ん、……ん、ぅ……」

 私は涼さんの首に両腕を回し、塞がれた唇からくぐもった声を漏らす。

 ゆっくりとした動きで蜜壷を出入りしている指の感触には、まだ慣れていない。

 けれど相手が涼さんだからこそ、落ち着いて受け入れる事ができる。

 口内に挿し込まれた彼の舌を舐めた時、私は太腿に〝何か〟を感じて「ん?」と声を漏らした。

 感じた事のない感触が不思議で頭をもたげると、涼さんは「ああ……」と思い当たった声を出し、照れくさそうに言う。

「恵ちゃんが魅力的だから勃っちゃった。ごめん」
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