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女子会 編

暴露大会

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「パイセンたちの話、ためになるわぁ~……。もうちょっと頑張ってみようかな」

 彼女はビールの缶を開け、ゴッゴッゴッゴッ……と飲んでいく。

「さっき、途中でお祖父様の話になってしまいましたけど、エミリさんは風磨さんとどうなんですか?」

 もう一度聞き直すと、エミリさんは「せっかく話が逸れたのに……」と残念がる。

「うちんトコは特筆するような事はないわよ? 付き合いが長いから、もうお互い慣れちゃってるのよね」

「エミリさんが主導権を握ってるんですか?」

 尋ねると、彼女はカマンベールチーズを一切れ口に入れ、モグモグしながら答える。

「普段はそうかも。我が儘を言っているんじゃなくて、何かを決める時に風磨さんは『俺はどっちでもいいよ』っていうタイプなの。だから私がどんどん決めていく感じ。……あ、でも『夜ご飯何がいい?』の時とかはちゃんと答えてくれる」

「それ! 分かります! 尊さんは言いませんけど、ご飯の献立に迷ってる時の『何でもいい』は困りますよね! 実家の父と兄がそうでした」

 私はパンッと手を打って頷く。

「でも、大事な決断をする時はちゃんと意見を言ってくれるし、バランスはとれてるかな」

「ベッドでは?」

 春日さんがズバッと尋ね、ニヤニヤしながらエミリさんを見つめる。

 エミリさんは大きな溜め息をつき、「日本酒とスルメがほしいわね」と呟いてから答えた。

「主導権は一応あっち。……風磨さんのエッチは、ひたすら奉仕系かな。とことん愛撫して舐めて、しつこいってぐらい達かせてから挿入……みたいな。本人はあまり性欲が強いタイプじゃなくて、自分の快楽はあんまりいいみたい。『エミリの可愛い姿を見るのが好き』……だって」

「「ヒュウウウウウ~~~~」」

 私と春日さんは図らずも同時に、下卑た笑みを浮かべてエミリさんをはやし立てる。

 つい、ノリでそういう反応をしてしまったけれど、〝できる女〟代表みたいなエミリさんのベッド事情を知って、ドキドキしてしまった。

(次に風磨さんにお会いする時、変な想像をしないようにしないと)

 自分に言い聞かせた時、被弾した。

「じゃあ、次は朱里さんの番ね」

 春日さんにポンポンと背中を叩かれ、私は亀のように首を前に突きだして目を丸くする。

「そんな反応をしても駄目よ。今日は暴露大会なんだから!」

 春日さんは目をキラキラさせていて、逃れられない雰囲気だ。

「え、えーと……」

 尊さんにも『言い過ぎるな』と釘を刺されていたので、どこまで言うべきかとっさに考える。

 けれど春日さんにせき立てられてしまった。

「考えるな!」

「う、ううう、……や、優しい……。……けど、スイッチ入るとヤバイ。あと、体力お化け。気持ちよくなって、訳分からなくなってぶっ飛んで、目が覚めたら体を隅々まで綺麗に拭かれてある……」

「「フゥウウウゥウーーーー!!」」

 今度は春日さんとエミリさんが、両手の人差し指でツンツンと上を指しながら盛り上がった。

「速水尊!! フゥウウウゥウーーー!」

 エミリさんは片手をブンブン振り回し、もう片手でビールの缶を掲げている。

「我が親愛なる復讐のエロエロ御曹司に!」

 それに合わせ、悪ノリした春日さんがソファの上に膝立ちになり、腰に手を当ててエミリさんと乾杯し、ゴッゴッゴッゴッ……と飲んでいく。

 あかん。この人たち、ただ騒いでで飲みたいだけだ。

「朱里さんはそんだけ胸が大きいんだから、揉みがいがあるし、柔らかそうでいい体してるから、気持ちいいでしょうね~」

 春日さんはそう言って私に体を寄せ、「はい、笑って~」と言ってインカメで写真を撮った。

 そのあとスマホを私の腰に向け、太腿の付け根辺りを撮る。

「ちょ、ちょっと!」

 さすがに……と思って慌てて両手で隠すと、春日さんはニヤニヤしながら「速水尊、そーしん!」と写真を送ってしまった。

「…………なんて事してくれるんですか……」

 私は呆然としたあと、真っ青になってスマホを手に取り、尊さんとのトークルームを開くけれど、やっぱり彼からの反応はない。

「尊さん、なんて?」

「……やっぱり何もありません」

「寝てるんじゃないの?」

 言われて時計を確認するけれど、週末の深夜ならまだ起きているはずだ。

「みこぉ……、ミコトサーン……」

 私が鳴き声を上げる姿を見て、春日さんとエミリさんは顔を見合わせてニヤニヤする。
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