249 / 778
北海道旅行 編
ランチ~北海道神宮~温泉へ
しおりを挟む
ナチュラルなウッド調のお店は落ち着いた雰囲気があるしセンスが良く、さすが尊さんの選ぶお店だなぁ……と思った。
私たちは席に案内され、遅れて運転手さんも別の席に座った。
頼んでいたのはランチコースらしく、フレンチのお店だけどお値段は比較的リーズナブルだ。夜はアラカルトを提供しているらしく、メニューを見るだけでもめちゃくちゃ美味しそうだ。
「メインを選べるけど……、朱里は牛フィレいくか?」
「良ければお願いします」
本当ならプラスメニューでなくて、ノーマルの鶏腿肉で十分だけど、相手が尊さんとなると甘えないと逆に失礼なのでは……と思い、存分に甘えさせてもらう。
尊さんは人数分、スープ、パン、前菜プレートに牛フィレ肉のコースをオーダーし、食後にコーヒーをオーダーしてくれた。
彼いわく、ここは札幌にある高級フレンチレストランのシェフがおすすめしているお店らしい。
「思ったけど、テレビ塔前からの送迎バスに間に合ったら……と思ったけど、このままタクシーで行ってもらうか」
「尊さんがそれでいいなら。私も貸し切りタクシー代、一万円出します」
「いいって。こういうのは主催者負担だから」
よく分からない理由をつけ、尊さんはヒラヒラと手を振る。
「朱里の役目は、しっかり楽しむ事。OK?」
「……分かりました」
彼の好意に思ったあと、カジュアルフレンチを「うまいうまい」と食べ、再びタクシーに乗った。
次は北海道神宮に行って、ツルツル滑る雪道に気をつけながら参拝してきた。
おみくじを引いたら私は末吉で、尊さんは小吉だった。
「別のところで運を使うから、これぐらいでいいんだよ」
そう聞くと「確かに」と思え、凶を引いたとしてもあとからいい事があると思えば、あまり気にせずに済みそうだ。
境内にある『六花亭』では百十円で焼きたてのお餅、判官様を食べ、無料で温かいほうじ茶も飲んだ。
そのあとは温泉に向かう事にし、一時間弱をかけて、雪道を安全運転で行ってもらう事にした。
「今回は雪まつりと温泉目的だけど、夏はまた綺麗だから夏にも来ような」
「はい!」
頷くと、尊さんは自分のスマホのアルバムを見せてくれる。
「これ、前に涼と行った時のだけど、美瑛の青い池とか、北竜町のひまわり畑とか、富良野のラベンダーとか、北海道らしい綺麗な景色が見られるんだよ」
「わああ……」
見せてもらった写真には、旅行のパンフレットでも見た鮮やかなターコイズブルーの池や、一面のひまわり畑と青空、ラベンダー畑が写っている。
「凄い……。見てみたい! 絶対行きたいです!」
意気込むと、尊さんは「次の楽しみな」と微笑んでくれた。
「涼さんとはどういうデートをしたんです?」
「……デートって言うな」
彼はボソッと突っ込んだあと、スマホをしまって言う。
「キャンピングカーやテントとかを持って、ワイルドな男旅……みたいな感じだったな。道東のほうまで行って、帆立を網焼きしたり……。……顔」
帆立と聞いて切ない顔をして口を開いたものだから、尊さんがすかさず突っ込んでくる。
「鹿とかクマ見ました?」
「登別に行ってクマ牧場も回ったから、十分堪能したな。鹿は道東のほうを走ってると、激突したら車が大破するからマジ危険だよ」
「そんな威力あるんですね」
「『ジ・アレイ』のロゴマークみたいな、立派な角のある鹿だったら、角も含めて三メートルぐらいはあるし、生身でぶつかられたら死ぬぜ」
「わあ……」
東京のど真ん中にいると、野生動物が人に対してどれぐらいの影響を与えるかピンとこないので、思わず戦慄する。
「というか尊さん、『ジ・アレイ』行くんですね」
「有楽町店とかコモレ四谷店な」
『ジ・アレイ』は大きな角の生えた鹿のマークが目印の紅茶店で、『ゴンチャ』と同じく紅茶を提供しているお店だ。
紅茶店というより、タピオカミルクティーのお店といったほうがいいのかもしれないけど、私はいつもアッサムミルクティーを微糖にして、トッピング抜きにして飲んでいるので、あまりタピオカミルクティーのお店という感覚はない。
他にも中華系のフードメニューもあるので、たまに恵と一緒にランチに行っている。
「例の札幌の知り合いいわく、本州の暴走猪や猿のニュースが流れると『怖ぇな』と思ってるみたいだが、こっちはヒグマや鹿がいるしお互い様だな……」
「確かに……。ていうか、北海道にないものって割と多いですね。逆に北海道特有のものもありますけど」
「ブラキストン線っていうのが津軽海峡にあって、それを境に植物や生物が色々違うんだよ。沖縄も渡瀬線ってのがあって、独自の動植物があるし」
「ほぉ……、なるほど」
動植物にはあまり詳しくないけど、パッと浮かんだブーゲンビリアとかハイビスカス、ヤンバルクイナ、イリオモテヤマネコとかも、きっとそうなんだろう。
そんなよもやま話をしながら、車は豊平川を渡って南下し、藻岩山を回り込むように山の奥へ向かっていった。
**
私たちは席に案内され、遅れて運転手さんも別の席に座った。
頼んでいたのはランチコースらしく、フレンチのお店だけどお値段は比較的リーズナブルだ。夜はアラカルトを提供しているらしく、メニューを見るだけでもめちゃくちゃ美味しそうだ。
「メインを選べるけど……、朱里は牛フィレいくか?」
「良ければお願いします」
本当ならプラスメニューでなくて、ノーマルの鶏腿肉で十分だけど、相手が尊さんとなると甘えないと逆に失礼なのでは……と思い、存分に甘えさせてもらう。
尊さんは人数分、スープ、パン、前菜プレートに牛フィレ肉のコースをオーダーし、食後にコーヒーをオーダーしてくれた。
彼いわく、ここは札幌にある高級フレンチレストランのシェフがおすすめしているお店らしい。
「思ったけど、テレビ塔前からの送迎バスに間に合ったら……と思ったけど、このままタクシーで行ってもらうか」
「尊さんがそれでいいなら。私も貸し切りタクシー代、一万円出します」
「いいって。こういうのは主催者負担だから」
よく分からない理由をつけ、尊さんはヒラヒラと手を振る。
「朱里の役目は、しっかり楽しむ事。OK?」
「……分かりました」
彼の好意に思ったあと、カジュアルフレンチを「うまいうまい」と食べ、再びタクシーに乗った。
次は北海道神宮に行って、ツルツル滑る雪道に気をつけながら参拝してきた。
おみくじを引いたら私は末吉で、尊さんは小吉だった。
「別のところで運を使うから、これぐらいでいいんだよ」
そう聞くと「確かに」と思え、凶を引いたとしてもあとからいい事があると思えば、あまり気にせずに済みそうだ。
境内にある『六花亭』では百十円で焼きたてのお餅、判官様を食べ、無料で温かいほうじ茶も飲んだ。
そのあとは温泉に向かう事にし、一時間弱をかけて、雪道を安全運転で行ってもらう事にした。
「今回は雪まつりと温泉目的だけど、夏はまた綺麗だから夏にも来ような」
「はい!」
頷くと、尊さんは自分のスマホのアルバムを見せてくれる。
「これ、前に涼と行った時のだけど、美瑛の青い池とか、北竜町のひまわり畑とか、富良野のラベンダーとか、北海道らしい綺麗な景色が見られるんだよ」
「わああ……」
見せてもらった写真には、旅行のパンフレットでも見た鮮やかなターコイズブルーの池や、一面のひまわり畑と青空、ラベンダー畑が写っている。
「凄い……。見てみたい! 絶対行きたいです!」
意気込むと、尊さんは「次の楽しみな」と微笑んでくれた。
「涼さんとはどういうデートをしたんです?」
「……デートって言うな」
彼はボソッと突っ込んだあと、スマホをしまって言う。
「キャンピングカーやテントとかを持って、ワイルドな男旅……みたいな感じだったな。道東のほうまで行って、帆立を網焼きしたり……。……顔」
帆立と聞いて切ない顔をして口を開いたものだから、尊さんがすかさず突っ込んでくる。
「鹿とかクマ見ました?」
「登別に行ってクマ牧場も回ったから、十分堪能したな。鹿は道東のほうを走ってると、激突したら車が大破するからマジ危険だよ」
「そんな威力あるんですね」
「『ジ・アレイ』のロゴマークみたいな、立派な角のある鹿だったら、角も含めて三メートルぐらいはあるし、生身でぶつかられたら死ぬぜ」
「わあ……」
東京のど真ん中にいると、野生動物が人に対してどれぐらいの影響を与えるかピンとこないので、思わず戦慄する。
「というか尊さん、『ジ・アレイ』行くんですね」
「有楽町店とかコモレ四谷店な」
『ジ・アレイ』は大きな角の生えた鹿のマークが目印の紅茶店で、『ゴンチャ』と同じく紅茶を提供しているお店だ。
紅茶店というより、タピオカミルクティーのお店といったほうがいいのかもしれないけど、私はいつもアッサムミルクティーを微糖にして、トッピング抜きにして飲んでいるので、あまりタピオカミルクティーのお店という感覚はない。
他にも中華系のフードメニューもあるので、たまに恵と一緒にランチに行っている。
「例の札幌の知り合いいわく、本州の暴走猪や猿のニュースが流れると『怖ぇな』と思ってるみたいだが、こっちはヒグマや鹿がいるしお互い様だな……」
「確かに……。ていうか、北海道にないものって割と多いですね。逆に北海道特有のものもありますけど」
「ブラキストン線っていうのが津軽海峡にあって、それを境に植物や生物が色々違うんだよ。沖縄も渡瀬線ってのがあって、独自の動植物があるし」
「ほぉ……、なるほど」
動植物にはあまり詳しくないけど、パッと浮かんだブーゲンビリアとかハイビスカス、ヤンバルクイナ、イリオモテヤマネコとかも、きっとそうなんだろう。
そんなよもやま話をしながら、車は豊平川を渡って南下し、藻岩山を回り込むように山の奥へ向かっていった。
**
183
あなたにおすすめの小説
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
【完結】離縁ですか…では、私が出掛けている間に出ていって下さいね♪
山葵
恋愛
突然、カイルから離縁して欲しいと言われ、戸惑いながらも理由を聞いた。
「俺は真実の愛に目覚めたのだ。マリアこそ俺の運命の相手!」
そうですか…。
私は離婚届にサインをする。
私は、直ぐに役所に届ける様に使用人に渡した。
使用人が出掛けるのを確認してから
「私とアスベスが旅行に行っている間に荷物を纏めて出ていって下さいね♪」
半日だけの…。貴方が私を忘れても
アズやっこ
恋愛
貴方が私を忘れても私が貴方の分まで覚えてる。
今の貴方が私を愛していなくても、
騎士ではなくても、
足が動かなくて車椅子生活になっても、
騎士だった貴方の姿を、
優しい貴方を、
私を愛してくれた事を、
例え貴方が記憶を失っても私だけは覚えてる。
❈ 作者独自の世界観です。
❈ ゆるゆる設定です。
❈ 男性は記憶がなくなり忘れます。
❈ 車椅子生活です。
今さらやり直しは出来ません
mock
恋愛
3年付き合った斉藤翔平からプロポーズを受けれるかもと心弾ませた小泉彩だったが、当日仕事でどうしても行けないと断りのメールが入り意気消沈してしまう。
落胆しつつ帰る道中、送り主である彼が見知らぬ女性と歩く姿を目撃し、いてもたってもいられず後を追うと二人はさっきまで自身が待っていたホテルへと入っていく。
そんなある日、夢に出てきた高木健人との再会を果たした彩の運命は少しずつ変わっていき……
2番目の1番【完】
綾崎オトイ
恋愛
結婚して3年目。
騎士である彼は王女様の護衛騎士で、王女様のことを何よりも誰よりも大事にしていて支えていてお護りしている。
それこそが彼の誇りで彼の幸せで、だから、私は彼の1番にはなれない。
王女様には私は勝てない。
結婚3年目の夫に祝われない誕生日に起こった事件で限界がきてしまった彼女と、彼女の存在と献身が当たり前になってしまっていたバカ真面目で忠誠心の厚い騎士の不器用な想いの話。
※ざまぁ要素は皆無です。旦那様最低、と思われる方いるかもですがそのまま結ばれますので苦手な方はお戻りいただけると嬉しいです
自己満全開の作品で個人の趣味を詰め込んで殴り書きしているため、地雷多めです。苦手な方はそっとお戻りください。
批判・中傷等、作者の執筆意欲削られそうなものは遠慮なく削除させていただきます…
苦手な冷徹専務が義兄になったかと思ったら極あま顔で迫ってくるんですが、なんででしょう?~偽家族恋愛~
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「こちら、再婚相手の息子の仁さん」
母に紹介され、なにかの間違いだと思った。
だってそこにいたのは、私が敵視している専務だったから。
それだけでもかなりな不安案件なのに。
私の住んでいるマンションに下着泥が出た話題から、さらに。
「そうだ、仁のマンションに引っ越せばいい」
なーんて義父になる人が言い出して。
結局、反対できないまま専務と同居する羽目に。
前途多難な同居生活。
相変わらず専務はなに考えているかわからない。
……かと思えば。
「兄妹ならするだろ、これくらい」
当たり前のように落とされる、額へのキス。
いったい、どうなってんのー!?
三ツ森涼夏
24歳
大手菓子メーカー『おろち製菓』営業戦略部勤務
背が低く、振り返ったら忘れられるくらい、特徴のない顔がコンプレックス。
小1の時に両親が離婚して以来、母親を支えてきた頑張り屋さん。
たまにその頑張りが空回りすることも?
恋愛、苦手というより、嫌い。
淋しい、をちゃんと言えずにきた人。
×
八雲仁
30歳
大手菓子メーカー『おろち製菓』専務
背が高く、眼鏡のイケメン。
ただし、いつも無表情。
集中すると周りが見えなくなる。
そのことで周囲には誤解を与えがちだが、弁明する気はない。
小さい頃に母親が他界し、それ以来、ひとりで淋しさを抱えてきた人。
ふたりはちゃんと義兄妹になれるのか、それとも……!?
*****
千里専務のその後→『絶対零度の、ハーフ御曹司の愛ブルーの瞳をゲーヲタの私に溶かせとか言っています?……』
*****
表紙画像 湯弐様 pixiv ID3989101
地味な私を捨てた元婚約者にざまぁ返し!私の才能に惚れたハイスペ社長にスカウトされ溺愛されてます
久遠翠
恋愛
「君は、可愛げがない。いつも数字しか見ていないじゃないか」
大手商社に勤める地味なOL・相沢美月は、エリートの婚約者・高遠彰から突然婚約破棄を告げられる。
彼の心変わりと社内での孤立に傷つき、退職を選んだ美月。
しかし、彼らは知らなかった。彼女には、IT業界で“K”という名で知られる伝説的なデータアナリストという、もう一つの顔があったことを。
失意の中、足を運んだ交流会で美月が出会ったのは、急成長中のIT企業「ホライゾン・テクノロジーズ」の若き社長・一条蓮。
彼女が何気なく口にした市場分析の鋭さに衝撃を受けた蓮は、すぐさま彼女を破格の条件でスカウトする。
「君のその目で、俺と未来を見てほしい」──。
蓮の情熱に心を動かされ、新たな一歩を踏み出した美月は、その才能を遺憾なく発揮していく。
地味なOLから、誰もが注目するキャリアウーマンへ。
そして、仕事のパートナーである蓮の、真っ直ぐで誠実な愛情に、凍てついていた心は次第に溶かされていく。
これは、才能というガラスの靴を見出された、一人の女性のシンデレラストーリー。
数字の奥に隠された真実を見抜く彼女が、本当の愛と幸せを掴むまでの、最高にドラマチックな逆転ラブストーリー。
【完結済】25億で極道に売られた女。姐になります!
satomi
恋愛
昼夜問わずに働く18才の主人公南ユキ。
働けども働けどもその収入は両親に搾取されるだけ…。睡眠時間だって2時間程度しかないのに、それでもまだ働き口を増やせと言う両親。
早朝のバイトで頭は朦朧としていたけれど、そんな時にうちにやってきたのは白虎商事CEOの白川大雄さん。ポーンっと25億で私を買っていった。
そんな大雄さん、白虎商事のCEOとは別に白虎組組長の顔を持っていて、私に『姐』になれとのこと。
大丈夫なのかなぁ?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる