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北海道旅行 編
ランチ~北海道神宮~温泉へ
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ナチュラルなウッド調のお店は落ち着いた雰囲気があるしセンスが良く、さすが尊さんの選ぶお店だなぁ……と思った。
私たちは席に案内され、遅れて運転手さんも別の席に座った。
頼んでいたのはランチコースらしく、フレンチのお店だけどお値段は比較的リーズナブルだ。夜はアラカルトを提供しているらしく、メニューを見るだけでもめちゃくちゃ美味しそうだ。
「メインを選べるけど……、朱里は牛フィレいくか?」
「良ければお願いします」
本当ならプラスメニューでなくて、ノーマルの鶏腿肉で十分だけど、相手が尊さんとなると甘えないと逆に失礼なのでは……と思い、存分に甘えさせてもらう。
尊さんは人数分、スープ、パン、前菜プレートに牛フィレ肉のコースをオーダーし、食後にコーヒーをオーダーしてくれた。
彼いわく、ここは札幌にある高級フレンチレストランのシェフがおすすめしているお店らしい。
「思ったけど、テレビ塔前からの送迎バスに間に合ったら……と思ったけど、このままタクシーで行ってもらうか」
「尊さんがそれでいいなら。私も貸し切りタクシー代、一万円出します」
「いいって。こういうのは主催者負担だから」
よく分からない理由をつけ、尊さんはヒラヒラと手を振る。
「朱里の役目は、しっかり楽しむ事。OK?」
「……分かりました」
彼の好意に思ったあと、カジュアルフレンチを「うまいうまい」と食べ、再びタクシーに乗った。
次は北海道神宮に行って、ツルツル滑る雪道に気をつけながら参拝してきた。
おみくじを引いたら私は末吉で、尊さんは小吉だった。
「別のところで運を使うから、これぐらいでいいんだよ」
そう聞くと「確かに」と思え、凶を引いたとしてもあとからいい事があると思えば、あまり気にせずに済みそうだ。
境内にある『六花亭』では百十円で焼きたてのお餅、判官様を食べ、無料で温かいほうじ茶も飲んだ。
そのあとは温泉に向かう事にし、一時間弱をかけて、雪道を安全運転で行ってもらう事にした。
「今回は雪まつりと温泉目的だけど、夏はまた綺麗だから夏にも来ような」
「はい!」
頷くと、尊さんは自分のスマホのアルバムを見せてくれる。
「これ、前に涼と行った時のだけど、美瑛の青い池とか、北竜町のひまわり畑とか、富良野のラベンダーとか、北海道らしい綺麗な景色が見られるんだよ」
「わああ……」
見せてもらった写真には、旅行のパンフレットでも見た鮮やかなターコイズブルーの池や、一面のひまわり畑と青空、ラベンダー畑が写っている。
「凄い……。見てみたい! 絶対行きたいです!」
意気込むと、尊さんは「次の楽しみな」と微笑んでくれた。
「涼さんとはどういうデートをしたんです?」
「……デートって言うな」
彼はボソッと突っ込んだあと、スマホをしまって言う。
「キャンピングカーやテントとかを持って、ワイルドな男旅……みたいな感じだったな。道東のほうまで行って、帆立を網焼きしたり……。……顔」
帆立と聞いて切ない顔をして口を開いたものだから、尊さんがすかさず突っ込んでくる。
「鹿とかクマ見ました?」
「登別に行ってクマ牧場も回ったから、十分堪能したな。鹿は道東のほうを走ってると、激突したら車が大破するからマジ危険だよ」
「そんな威力あるんですね」
「『ジ・アレイ』のロゴマークみたいな、立派な角のある鹿だったら、角も含めて三メートルぐらいはあるし、生身でぶつかられたら死ぬぜ」
「わあ……」
東京のど真ん中にいると、野生動物が人に対してどれぐらいの影響を与えるかピンとこないので、思わず戦慄する。
「というか尊さん、『ジ・アレイ』行くんですね」
「有楽町店とかコモレ四谷店な」
『ジ・アレイ』は大きな角の生えた鹿のマークが目印の紅茶店で、『ゴンチャ』と同じく紅茶を提供しているお店だ。
紅茶店というより、タピオカミルクティーのお店といったほうがいいのかもしれないけど、私はいつもアッサムミルクティーを微糖にして、トッピング抜きにして飲んでいるので、あまりタピオカミルクティーのお店という感覚はない。
他にも中華系のフードメニューもあるので、たまに恵と一緒にランチに行っている。
「例の札幌の知り合いいわく、本州の暴走猪や猿のニュースが流れると『怖ぇな』と思ってるみたいだが、こっちはヒグマや鹿がいるしお互い様だな……」
「確かに……。ていうか、北海道にないものって割と多いですね。逆に北海道特有のものもありますけど」
「ブラキストン線っていうのが津軽海峡にあって、それを境に植物や生物が色々違うんだよ。沖縄も渡瀬線ってのがあって、独自の動植物があるし」
「ほぉ……、なるほど」
動植物にはあまり詳しくないけど、パッと浮かんだブーゲンビリアとかハイビスカス、ヤンバルクイナ、イリオモテヤマネコとかも、きっとそうなんだろう。
そんなよもやま話をしながら、車は豊平川を渡って南下し、藻岩山を回り込むように山の奥へ向かっていった。
**
私たちは席に案内され、遅れて運転手さんも別の席に座った。
頼んでいたのはランチコースらしく、フレンチのお店だけどお値段は比較的リーズナブルだ。夜はアラカルトを提供しているらしく、メニューを見るだけでもめちゃくちゃ美味しそうだ。
「メインを選べるけど……、朱里は牛フィレいくか?」
「良ければお願いします」
本当ならプラスメニューでなくて、ノーマルの鶏腿肉で十分だけど、相手が尊さんとなると甘えないと逆に失礼なのでは……と思い、存分に甘えさせてもらう。
尊さんは人数分、スープ、パン、前菜プレートに牛フィレ肉のコースをオーダーし、食後にコーヒーをオーダーしてくれた。
彼いわく、ここは札幌にある高級フレンチレストランのシェフがおすすめしているお店らしい。
「思ったけど、テレビ塔前からの送迎バスに間に合ったら……と思ったけど、このままタクシーで行ってもらうか」
「尊さんがそれでいいなら。私も貸し切りタクシー代、一万円出します」
「いいって。こういうのは主催者負担だから」
よく分からない理由をつけ、尊さんはヒラヒラと手を振る。
「朱里の役目は、しっかり楽しむ事。OK?」
「……分かりました」
彼の好意に思ったあと、カジュアルフレンチを「うまいうまい」と食べ、再びタクシーに乗った。
次は北海道神宮に行って、ツルツル滑る雪道に気をつけながら参拝してきた。
おみくじを引いたら私は末吉で、尊さんは小吉だった。
「別のところで運を使うから、これぐらいでいいんだよ」
そう聞くと「確かに」と思え、凶を引いたとしてもあとからいい事があると思えば、あまり気にせずに済みそうだ。
境内にある『六花亭』では百十円で焼きたてのお餅、判官様を食べ、無料で温かいほうじ茶も飲んだ。
そのあとは温泉に向かう事にし、一時間弱をかけて、雪道を安全運転で行ってもらう事にした。
「今回は雪まつりと温泉目的だけど、夏はまた綺麗だから夏にも来ような」
「はい!」
頷くと、尊さんは自分のスマホのアルバムを見せてくれる。
「これ、前に涼と行った時のだけど、美瑛の青い池とか、北竜町のひまわり畑とか、富良野のラベンダーとか、北海道らしい綺麗な景色が見られるんだよ」
「わああ……」
見せてもらった写真には、旅行のパンフレットでも見た鮮やかなターコイズブルーの池や、一面のひまわり畑と青空、ラベンダー畑が写っている。
「凄い……。見てみたい! 絶対行きたいです!」
意気込むと、尊さんは「次の楽しみな」と微笑んでくれた。
「涼さんとはどういうデートをしたんです?」
「……デートって言うな」
彼はボソッと突っ込んだあと、スマホをしまって言う。
「キャンピングカーやテントとかを持って、ワイルドな男旅……みたいな感じだったな。道東のほうまで行って、帆立を網焼きしたり……。……顔」
帆立と聞いて切ない顔をして口を開いたものだから、尊さんがすかさず突っ込んでくる。
「鹿とかクマ見ました?」
「登別に行ってクマ牧場も回ったから、十分堪能したな。鹿は道東のほうを走ってると、激突したら車が大破するからマジ危険だよ」
「そんな威力あるんですね」
「『ジ・アレイ』のロゴマークみたいな、立派な角のある鹿だったら、角も含めて三メートルぐらいはあるし、生身でぶつかられたら死ぬぜ」
「わあ……」
東京のど真ん中にいると、野生動物が人に対してどれぐらいの影響を与えるかピンとこないので、思わず戦慄する。
「というか尊さん、『ジ・アレイ』行くんですね」
「有楽町店とかコモレ四谷店な」
『ジ・アレイ』は大きな角の生えた鹿のマークが目印の紅茶店で、『ゴンチャ』と同じく紅茶を提供しているお店だ。
紅茶店というより、タピオカミルクティーのお店といったほうがいいのかもしれないけど、私はいつもアッサムミルクティーを微糖にして、トッピング抜きにして飲んでいるので、あまりタピオカミルクティーのお店という感覚はない。
他にも中華系のフードメニューもあるので、たまに恵と一緒にランチに行っている。
「例の札幌の知り合いいわく、本州の暴走猪や猿のニュースが流れると『怖ぇな』と思ってるみたいだが、こっちはヒグマや鹿がいるしお互い様だな……」
「確かに……。ていうか、北海道にないものって割と多いですね。逆に北海道特有のものもありますけど」
「ブラキストン線っていうのが津軽海峡にあって、それを境に植物や生物が色々違うんだよ。沖縄も渡瀬線ってのがあって、独自の動植物があるし」
「ほぉ……、なるほど」
動植物にはあまり詳しくないけど、パッと浮かんだブーゲンビリアとかハイビスカス、ヤンバルクイナ、イリオモテヤマネコとかも、きっとそうなんだろう。
そんなよもやま話をしながら、車は豊平川を渡って南下し、藻岩山を回り込むように山の奥へ向かっていった。
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