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十二年越しの愛 編
これからはお前のために生きていく
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「……ん……」
意識が浮上し、私は小さくうめいて目を覚ます。
身じろぎすると、ポンと頭を撫でられた。
「みこと……、さん……」
ムニャムニャ言いながら彼のほうを向くと、薄闇の中で尊さんが微笑んでいるのが分かった。
「もうちょっと寝ろ」
「はい……」
尊さんが側にいると知った私は、安心して目を閉じ、彼に抱きついて眠りの淵に意識を落とした。
**
ボーッとしていると、テレビのニュースが聞こえてくる。
「んー……、んうぅぅうう……」
私はうなりながら手を伸ばし、側にいた尊さんに抱きつく。
「お前、寝起きはムニャムニャ言ってて、寝ぼけた猫みたいだな」
もう尊さんは起きているようで、ベッドのヘッドボードにもたれかかってテレビを見ていた。
彼の手元にはスマホがあり、何やら操作している。
「目が覚めるまで、食いたいもんの事でも考えとけ」
「んー……」
そう言われて、私はぽやぽやとご飯について考え始めた。
ご飯の前に、私たちは朝のお風呂にゆったりと入る。なんとも贅沢だ。
「またスイートルーム泊まっちゃいましたね」
「いや、これは親父に払わせる」
きっぱりと言ったものだから、つい笑ってしまった。
私は背後から抱き締めてくる尊さんの腕を抱き、微笑んで言う。
「色々あっても、亘さんの事を〝親父〟って呼ぶんですね」
「んー……」
そう言うと、彼は少しの間考え、やがて溜め息をついて口を開く。
「あいつに対して、実父への愛情はないし、頼りにしたいっていう思いもない。父親という役割を持つ存在、立場上の血縁、社長……、そういう感覚かな」
尊さんの言いたい事はなんとなく分かる気がした。
「縁を切るまでもないけど、繋がりはある?」
「何だろうな。あいつがいなくても生きていけるし、怜香の力が及ばなくなった今、篠宮フーズを出ても誰も俺を邪魔しないだろう。……それでも、母やあかりが生きていた証拠としての〝父親〟には存在していてほしいのかもしれない。父親としては失格だし、一人の男としても最低だ。……けど、あいつがいたから俺とあかりが生まれた」
思考を辿るように言った尊さんは、自嘲する。
「世の中、毒親に愛想を尽かして、戸籍を抜いて本当に他人になる奴もいる。俺だってあんな両親ならいらねぇよ。……でも」
そこまで言い、彼は息を吸ってしばし止める。
「……俺の心の底にいる母が『人として愛情深く、正しい道を歩め』と言っている。どんなにだらしねぇ最低な父親だとしても、縁を切って捨てる事を母は望んでいない」
そのあと、尊さんは溜め息混じりに言った。
「……あかりは〝おじさん〟に懐いてた。〝おじさん〟の事を好きだと言って、『いつか四人で住みたい』と望んでいた。あんな奴でも妹にとっては〝父親〟なんだ。……妹が慕っていたなら、俺があいつと完全に縁を切って憎む訳にいかない」
私は尊さんの気持ちを汲み、彼の腕をギュッと抱き締める。
すると彼は「ははっ」と笑った。
「……マザコン、シスコンかなぁ……」
「ううん、そんな事ない。……尊さんは、人としての理性を失うギリギリを生きてきました。そんな中、あなたの良心を守り続けたのは、お母さんとあかりさんとの優しい思い出。確かに、見方によっては縛られていると言えるかもしれません。でも私は、尊さんが人らしく生きてきた事を誇りに思います」
「……サンキュ」
私の返事を聞き、尊さんはポンポンと私の手を握り、叩いた。
そして、のしっと私の肩に顎を乗せ、呟く。
「これからはお前のために生きていく」
彼の言葉を聞いて、私はジワッと頬を染めた。
「初めて誰かのために生きる事ができるな……。すげぇ幸せな事だ。一人で金を持っていても、愛情を与える奴がいねぇと空しいから。……だから、幸せになる覚悟をしてくれよ?」
耳元で囁いた尊さんはクスッと笑い、私の頬にキスをしてきた。
意識が浮上し、私は小さくうめいて目を覚ます。
身じろぎすると、ポンと頭を撫でられた。
「みこと……、さん……」
ムニャムニャ言いながら彼のほうを向くと、薄闇の中で尊さんが微笑んでいるのが分かった。
「もうちょっと寝ろ」
「はい……」
尊さんが側にいると知った私は、安心して目を閉じ、彼に抱きついて眠りの淵に意識を落とした。
**
ボーッとしていると、テレビのニュースが聞こえてくる。
「んー……、んうぅぅうう……」
私はうなりながら手を伸ばし、側にいた尊さんに抱きつく。
「お前、寝起きはムニャムニャ言ってて、寝ぼけた猫みたいだな」
もう尊さんは起きているようで、ベッドのヘッドボードにもたれかかってテレビを見ていた。
彼の手元にはスマホがあり、何やら操作している。
「目が覚めるまで、食いたいもんの事でも考えとけ」
「んー……」
そう言われて、私はぽやぽやとご飯について考え始めた。
ご飯の前に、私たちは朝のお風呂にゆったりと入る。なんとも贅沢だ。
「またスイートルーム泊まっちゃいましたね」
「いや、これは親父に払わせる」
きっぱりと言ったものだから、つい笑ってしまった。
私は背後から抱き締めてくる尊さんの腕を抱き、微笑んで言う。
「色々あっても、亘さんの事を〝親父〟って呼ぶんですね」
「んー……」
そう言うと、彼は少しの間考え、やがて溜め息をついて口を開く。
「あいつに対して、実父への愛情はないし、頼りにしたいっていう思いもない。父親という役割を持つ存在、立場上の血縁、社長……、そういう感覚かな」
尊さんの言いたい事はなんとなく分かる気がした。
「縁を切るまでもないけど、繋がりはある?」
「何だろうな。あいつがいなくても生きていけるし、怜香の力が及ばなくなった今、篠宮フーズを出ても誰も俺を邪魔しないだろう。……それでも、母やあかりが生きていた証拠としての〝父親〟には存在していてほしいのかもしれない。父親としては失格だし、一人の男としても最低だ。……けど、あいつがいたから俺とあかりが生まれた」
思考を辿るように言った尊さんは、自嘲する。
「世の中、毒親に愛想を尽かして、戸籍を抜いて本当に他人になる奴もいる。俺だってあんな両親ならいらねぇよ。……でも」
そこまで言い、彼は息を吸ってしばし止める。
「……俺の心の底にいる母が『人として愛情深く、正しい道を歩め』と言っている。どんなにだらしねぇ最低な父親だとしても、縁を切って捨てる事を母は望んでいない」
そのあと、尊さんは溜め息混じりに言った。
「……あかりは〝おじさん〟に懐いてた。〝おじさん〟の事を好きだと言って、『いつか四人で住みたい』と望んでいた。あんな奴でも妹にとっては〝父親〟なんだ。……妹が慕っていたなら、俺があいつと完全に縁を切って憎む訳にいかない」
私は尊さんの気持ちを汲み、彼の腕をギュッと抱き締める。
すると彼は「ははっ」と笑った。
「……マザコン、シスコンかなぁ……」
「ううん、そんな事ない。……尊さんは、人としての理性を失うギリギリを生きてきました。そんな中、あなたの良心を守り続けたのは、お母さんとあかりさんとの優しい思い出。確かに、見方によっては縛られていると言えるかもしれません。でも私は、尊さんが人らしく生きてきた事を誇りに思います」
「……サンキュ」
私の返事を聞き、尊さんはポンポンと私の手を握り、叩いた。
そして、のしっと私の肩に顎を乗せ、呟く。
「これからはお前のために生きていく」
彼の言葉を聞いて、私はジワッと頬を染めた。
「初めて誰かのために生きる事ができるな……。すげぇ幸せな事だ。一人で金を持っていても、愛情を与える奴がいねぇと空しいから。……だから、幸せになる覚悟をしてくれよ?」
耳元で囁いた尊さんはクスッと笑い、私の頬にキスをしてきた。
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