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レストランに行く前に 編
大人の女性
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「……そっか、あれから十二年か。お互い大人になって、何をしても許されるようになったよな」
「そうなんです。だから嬉しくって。大人になりましたし、メイクだってしますしね」
「今のメイク、普段とちょっと違うな」
「そりゃあ、オフィスでは光りモノは控えますよ。リップももっとナチュラルな色だし。なんならイヤリングだって小さめの物にしてます」
「へぇ……。……なら、色々ちょっと考えないとなんねぇな」
「ん? 何を?」
尋ねると、尊さんはニヤッと笑った。
「今後プレゼントする物に、お前の好きなコスメも入れておくよ」
「えっ? えぇっ? いいですよ。これ以上贈り物をされたら申し訳ないです」
「でもこだわって使ってるように見えるし、好きなんだろ? それにコレクターって新商品が出たら欲しくなるもんだろうし」
「そ、それはそうですけど……」
ちょっと前にクリスマスコフレを買ったばかりだけど、今は一月の新春コスメが出て、もう少しすれば春コスメが出る。
ぼやぼやしていると夏コスメの情報も出るし、限定品となるとウズウズしてしまう。
しかもコスメの場合は、気に入ったブランドだけじゃなくて、気になった物をブランド問わず買う派だ。
なるべくブルベ冬に合う物を買っているけれど、どうしても可愛いのは買ってしまう。
そしたら鏡周りの収納が凄い事になってしまって……。
いや、それは置いといて。
「よし、そうしよう。いつもみたいに真顔でスパッと断らないって事は嬉しいんだろ。遠慮するな。俺だってお前がもらって嬉しい物をプレゼントしたいし」
「そ、そうですか? うーん……、じゃあ、欲しいの厳選しますね」
「別に厳選しなくていいだろ。気になったのあったらリストアップしてメッセージしろ」
「……パパ活みたい……」
ボソッと呟くと、尊さんが「誰がパパだ」と真顔で突っ込んだ。
「嬉しいけど、収納ちょっと整理しないと」
そう言うと、尊さんは「そうか……」と顎に手をやって考える。
「やっぱり同棲する時期を早めたほうがいいのかもな。うちで生活したほうが何かと広く使えるだろ。俺も空間を持て余していたところがあったし、二人で住めばもっと有効利用できると思う。シューズクローゼットなんて半分も埋まってないしな」
そこまで聞いた私は、疑問に思って尋ねてみた。
「尊さんって欲しい物ないんですか? その気になれば何でも買えそうだけど、あの家ってそんなに物を置いてなかったですよね。物欲ないんですか?」
思いだす限り、彼のマンションはとてもスッキリしていた。
収納があるだろうし、家政婦さんが常に片づけしてくれているのは分かるけれど、物はどこにあるんだろう? っていう感じだった。
ついつい細々とした物を買って、部屋をゴタゴタさせている私とは大違いだ。
「車は二台、時計は三本TPOに合わせて使い分けて、ムカデじゃねぇから靴も気に入ったもんを用途に合わせてる。スーツとかには少し金かけてるけど……そんぐらいかな? あとは映画と音楽関係、美容系でちょいちょい」
美容と言われて納得してしまった。
尊さんはナチュラルにだけど眉毛が整っているし、お肌も綺麗だ。加えて爪は常に短く整えられ、きちんとやすりで手入れしているみたいで、触れた時の引っかかりもない。
ジムで体を鍛えているのはいわずもがな、いい匂いのするイケメンだし……。
愛用している香水は、ジョー・マローンのウード&ベルガモットらしい。
私も月に一回睫毛パーマと眉毛を整えに行ってるけど、アイリストさんに聞くと男性の利用客も多いらしい。
特に営業マンは身なりが重要だから、眉毛や爪を整えるのだとか。
他にも、睫毛の長い人の中には、生え方によっては目に刺さってしまう事もあるから、自然に見える角度でパーマを掛ける事もあるようだ。
寿司職人さんも清潔に見えるように爪の手入れをしているし、美容は女性だけのものと言えない。
それに、できる人ほど、見た目や清潔感には気を遣っているように思える。
「他は何かお金使ってます?」
私は彼にいつかプレゼントするために、欲しい物を探ろうとする。
「飲食については家政婦さんの飯で満足してる。他はたまにレストランから招待されて、食事に行く程度かな。美食は好きだが、そればっかりでも脂肪になるしな。百八十四センチメートル、七十四キロの今がベストだし、なるべく体型を崩したくねぇから、あまりカロリーの高いもんを食い過ぎないようにしてる」
体重をきちんとコントロールしてるの、さすがだなぁ……。
意識の高い言葉を聞いた私はスンッと真顔になり、無意識に自分のお腹の肉に触れた。
「わ……私だってストレッチとかスクワットしてるし……。夜中のカップ麺はちょっとだけだし……。コンビニピザまんも週一だし……」
負い目のある私は、尊さんから視線を外してブツブツと言う。
それを聞いて尊さんがフハッと笑った。
「そうなんです。だから嬉しくって。大人になりましたし、メイクだってしますしね」
「今のメイク、普段とちょっと違うな」
「そりゃあ、オフィスでは光りモノは控えますよ。リップももっとナチュラルな色だし。なんならイヤリングだって小さめの物にしてます」
「へぇ……。……なら、色々ちょっと考えないとなんねぇな」
「ん? 何を?」
尋ねると、尊さんはニヤッと笑った。
「今後プレゼントする物に、お前の好きなコスメも入れておくよ」
「えっ? えぇっ? いいですよ。これ以上贈り物をされたら申し訳ないです」
「でもこだわって使ってるように見えるし、好きなんだろ? それにコレクターって新商品が出たら欲しくなるもんだろうし」
「そ、それはそうですけど……」
ちょっと前にクリスマスコフレを買ったばかりだけど、今は一月の新春コスメが出て、もう少しすれば春コスメが出る。
ぼやぼやしていると夏コスメの情報も出るし、限定品となるとウズウズしてしまう。
しかもコスメの場合は、気に入ったブランドだけじゃなくて、気になった物をブランド問わず買う派だ。
なるべくブルベ冬に合う物を買っているけれど、どうしても可愛いのは買ってしまう。
そしたら鏡周りの収納が凄い事になってしまって……。
いや、それは置いといて。
「よし、そうしよう。いつもみたいに真顔でスパッと断らないって事は嬉しいんだろ。遠慮するな。俺だってお前がもらって嬉しい物をプレゼントしたいし」
「そ、そうですか? うーん……、じゃあ、欲しいの厳選しますね」
「別に厳選しなくていいだろ。気になったのあったらリストアップしてメッセージしろ」
「……パパ活みたい……」
ボソッと呟くと、尊さんが「誰がパパだ」と真顔で突っ込んだ。
「嬉しいけど、収納ちょっと整理しないと」
そう言うと、尊さんは「そうか……」と顎に手をやって考える。
「やっぱり同棲する時期を早めたほうがいいのかもな。うちで生活したほうが何かと広く使えるだろ。俺も空間を持て余していたところがあったし、二人で住めばもっと有効利用できると思う。シューズクローゼットなんて半分も埋まってないしな」
そこまで聞いた私は、疑問に思って尋ねてみた。
「尊さんって欲しい物ないんですか? その気になれば何でも買えそうだけど、あの家ってそんなに物を置いてなかったですよね。物欲ないんですか?」
思いだす限り、彼のマンションはとてもスッキリしていた。
収納があるだろうし、家政婦さんが常に片づけしてくれているのは分かるけれど、物はどこにあるんだろう? っていう感じだった。
ついつい細々とした物を買って、部屋をゴタゴタさせている私とは大違いだ。
「車は二台、時計は三本TPOに合わせて使い分けて、ムカデじゃねぇから靴も気に入ったもんを用途に合わせてる。スーツとかには少し金かけてるけど……そんぐらいかな? あとは映画と音楽関係、美容系でちょいちょい」
美容と言われて納得してしまった。
尊さんはナチュラルにだけど眉毛が整っているし、お肌も綺麗だ。加えて爪は常に短く整えられ、きちんとやすりで手入れしているみたいで、触れた時の引っかかりもない。
ジムで体を鍛えているのはいわずもがな、いい匂いのするイケメンだし……。
愛用している香水は、ジョー・マローンのウード&ベルガモットらしい。
私も月に一回睫毛パーマと眉毛を整えに行ってるけど、アイリストさんに聞くと男性の利用客も多いらしい。
特に営業マンは身なりが重要だから、眉毛や爪を整えるのだとか。
他にも、睫毛の長い人の中には、生え方によっては目に刺さってしまう事もあるから、自然に見える角度でパーマを掛ける事もあるようだ。
寿司職人さんも清潔に見えるように爪の手入れをしているし、美容は女性だけのものと言えない。
それに、できる人ほど、見た目や清潔感には気を遣っているように思える。
「他は何かお金使ってます?」
私は彼にいつかプレゼントするために、欲しい物を探ろうとする。
「飲食については家政婦さんの飯で満足してる。他はたまにレストランから招待されて、食事に行く程度かな。美食は好きだが、そればっかりでも脂肪になるしな。百八十四センチメートル、七十四キロの今がベストだし、なるべく体型を崩したくねぇから、あまりカロリーの高いもんを食い過ぎないようにしてる」
体重をきちんとコントロールしてるの、さすがだなぁ……。
意識の高い言葉を聞いた私はスンッと真顔になり、無意識に自分のお腹の肉に触れた。
「わ……私だってストレッチとかスクワットしてるし……。夜中のカップ麺はちょっとだけだし……。コンビニピザまんも週一だし……」
負い目のある私は、尊さんから視線を外してブツブツと言う。
それを聞いて尊さんがフハッと笑った。
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