【R-18・連載版】部長と私の秘め事

臣桜

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クリスマスデート 編

思い出、作りませんか?

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 そうやって、しばらくイチャイチャしていたけれど、チェックアウトの時間が近づいてきた。

 服を着て帰り支度をすると、一晩お世話になったゴージャスな部屋に別れを告げる。

 私たちはフロアコンシェルジュに挨拶をして、エレベーターに乗った。

「また来ような。他のホテルでもいいし、ここを贔屓にしてもいいし」

 エレベーターの中、尊さんが私の手を握って言う。

「はい。今度はこんなに立派な部屋じゃなくてもいいですよ」

 そう言うと、彼は繋いでいた手を放し、両手を壁について私をその中に閉じ込めてきた。

「躾その二は?」

 言われて、私はゾクゾクしながら答えてしまった。

「『遠慮しない』」

「Exactly.忘れんな」

 彼はそう言ったあと、チュッと私の額にキスをしてまた手を握ってきた。





 ロビーまで行くと、二人きりの時間が終わり、色んな人がいる場所に戻った自覚を得る。

 半分安心し、半分寂しく思っている私に、彼は「あそこで座って待ってな」とソファを示した。

 ソファに向かって歩き始めると、彼はフロントへ行った。

(忘れられないクリスマスになったな……)

 私はロビーのソファに座り、金色のシャンデリアに照らされた空間と、大きなクリスマスツリーを見る。

(ツリーの前で記念写真撮りたいって言ったら、嫌がるかな。言うだけ言ってみよう)

 そんな事を考えていると、コンシェルジュが歩み寄ってきた。

(忘れ物でもしたかな?)

 目を瞬かせると、彼は私の側にしゃがみ、手に持っていた紙袋を渡してきた。

「こちら、当ホテルのマカロンとショコラでございます。お土産にどうぞ」

「わ……、わぁ! ありがとうございます!」

 サプライズに、一気にテンションが上がった。

 泊まった部屋にはウェルカムスイーツが用意されてあって、摘まむ程度の量だったけれど、めちゃくちゃ美味しくて感動した。

(『また食べたいな』って未練がましく言ってたから、もしかしたら尊さんが手配してくれたのかな。……もぉぉ……。痒いところに手が届く男……)

 こうなったら、特別な時にセーラーを着る事も考えなければならない。

「ありがとうございます」

 もう一度コンシェルジュにお礼を言うと、彼は折り目正しくお辞儀をして立ち去っていった。

 そのタイミングで、尊さんがこちらに歩み寄ってくる。

「あの、これありがとうございます!」

 立ちあがって紙袋を示すと、彼は小さく笑った。

「さぁ? ホテルの厚意かも」

「かもしれませんね。誰かさんが伝えたから、気を利かせてくれたのかもしれませんね」

 ご機嫌になった私は、そう言って尊さんと腕を組む。

「ねぇ、せっかくだからツリーの前で記念撮影したいです。思い出、作りませんか?」

 彼にとって、クリスマスが楽しいものでないのは分かっている。

 お母さんと過ごすはずだったと、数え切れないぐらい涙を流したかもしれない。

 でもそれなら、私が新しく楽しい思い出を作ってあげたい。

 家族になるなら、そうしていきたい。

 そう思いながら見つめると、尊さんはフハッと笑って私の頭をクシャクシャ撫でた。

「そんな思い詰めた顔すんなよ。嫌なんて言ってねぇだろ」

「やった!」

 快諾され、私は彼と一緒に大きなクリスマスツリーの側に寄った。

「すみません、写真お願いできますか?」

 尊さんが近くにいたホテルスタッフに声を掛け、「勿論です」と返事をもらう。

「それでは写しますよ。三、二、一……」

 私たちはクリスマスツリーの前で寄り添い、笑顔を作る。

 彼の人生が彩りに溢れていきますように。

 悲しい思いはすぐには消えないだろうけど、私が少しでも尊さんに幸せと笑顔をあげられますように。

 願いながら、私は尊さんに肩を抱かれ、笑顔でピースをした。





 駅に向かって歩いていると、尊さんが尋ねてきた。

「お前、年末年始の予定は?」

「え? ……一応、毎年実家に戻ってますが……」

 尋ねられて、「もしかして……」と期待している自分がいた。

「うち来て一緒に過ごすか? そっちの家族の了承があったならだけど」

「行きます! 親に聞く年齢じゃないので大丈夫です! 三田みたですよね?」

「え?」

 尊さんのマンションがある場所を言うと、彼は目を丸くした。
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