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クリスマスデート 編
もっと尊さんの事を知りたい
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「……なんだよ、その顔」
彼はクシャッと笑い、私に軽くデコピンする。
「っへへ……」
嬉しいなぁ。
尊さんが普通に笑った顔を見るのが、こんなにも嬉しい。
この人、こんな顔をして笑うんだ。
もっと尊さんの事を知りたい。
どんなふうに喜怒哀楽を表現するのか、見てみたい。
心の底から、ポコポコと希望に満ちたあぶくが湧き起こってくる。
尊さんに策があるとはいえ、今は怜香さんをどうやって説得したらいいか分からず、いつ皆が穏やかに過ごせるのか分からない状況だ。
それでも、私は彼との未来に希望を抱いていた。
――きっといつか、幸せになれる。
私自身、父を喪ってから色んなものがズレて、おかしくなっていった。
寄り添って生きてきた母には新しい夫ができて、彼女は新しい家庭の〝母親〟となった。
それに馴染みきれなかった私は、家族の幸せを得るのを諦め、個人の幸せを求めてきた。
そのいっぽうで、「誰かを愛したい、愛されたい」という想いに支配されていた。
尊さんもほぼ同じ想いを抱き、私たちのパズルのピースはぴったりと符号する。
だからこそ、私は彼の事を余計に気に掛け、愛しんでいるのだと思う。
いつだったか私が『共依存』と言ったように、似た者同士の傷の舐め合いかもしれない。
彼は私を愛する事で人としての幸せを得たいと望み、私も人を愛し、愛される事で〝普通〟を手に入れたいと思っている。
「……もっと一杯笑わせてあげますからね」
「期待してるよ」
彼はいつもの笑いに戻り、ポンポンと私の頭を叩いた。
私はその手を両手で握り、赤面しつつ言う。
「……だから、きょ、今日は遠慮せずに抱いていいですよ」
ちょっとツンとして言ったからか、尊さんはフハッと笑った。
「ツンデレか」
「尊さんの好みの属性、気になりますね」
一時はシリアスな雰囲気になったけれど、またいつもの私たちに戻った。
尊さんは私の顔を見つめ、目を細めて笑ってからチュッとキスをしてきた。
「……お前と過ごす時間が好きだ」
急に言われ、私はジワッと頬を染める。
照れくさくて逃げてしまいたくなるけれど、きちんと向き合いたい。
「私も、尊さんとこうやって軽口叩き合うの好きですよ」
彼は私の髪を撫で、親指で頬を辿る。
「もっとお前を知りたい。知り尽くして、骨までしゃぶって、俺だけのものにしたい」
「猟奇的」
「お前は獲物だよ」
尊さんは笑いながら囁くように言い、私の額に自身のそれをくっつけた。
そして顔を離し、気持ちを入れ替えて提案した。
「風呂、入るか。下着はあとから改めて鑑賞させてもらう」
「そうですね」
そのあと、私は改めて広々としたスイートルームを探検した。
尊さんはバスルームに行ってお風呂の準備をし、ルームサービスでシャンパンを頼んだ。
私たちは夜景を見下ろせるジェットバスで、シャンパンを飲みながら優雅なバスタイムを過ごした。
お風呂から上がったあとは、また尊さんが私の髪を乾かしてくれる。
洗面所にはハイブランドのアメニティがあり、お嬢様気分だ。
今は裸の上にバスローブを羽織っているけれど、準備が終われば下着をつけ直してベッドに行く事になる。
(改めて『これからベッドに行くんです』ってなると、恥ずかしいなぁ……)
いつもなら雑談をしていただろうに、緊張した私はいつのまにか口数少なくなっていた。
尊さんはそれを察したのか、ドライヤーをかけ終えて私の髪をサラサラと整えながら言う。
「俺、ちょっとメールチェックするから、先にベッドルームに行っててくれるか?」
「分かりました」
その気遣いがありがたく、私はホッとしながらお礼を言った。
ゆっくりスキンケアをしている間、尊さんは手早く自分の髪を乾かし、バスルームを出ていった。
私は無意識に息を吐いたあと、脱いだ服を見る。
見せるための下着とはいえ、脱衣所で見られると恥ずかしいので、服の間に挟んである。
(覚悟を決めますか……)
胸の奥で呟いた私は、籐の椅子から立ってバスローブを脱いだ。
彼はクシャッと笑い、私に軽くデコピンする。
「っへへ……」
嬉しいなぁ。
尊さんが普通に笑った顔を見るのが、こんなにも嬉しい。
この人、こんな顔をして笑うんだ。
もっと尊さんの事を知りたい。
どんなふうに喜怒哀楽を表現するのか、見てみたい。
心の底から、ポコポコと希望に満ちたあぶくが湧き起こってくる。
尊さんに策があるとはいえ、今は怜香さんをどうやって説得したらいいか分からず、いつ皆が穏やかに過ごせるのか分からない状況だ。
それでも、私は彼との未来に希望を抱いていた。
――きっといつか、幸せになれる。
私自身、父を喪ってから色んなものがズレて、おかしくなっていった。
寄り添って生きてきた母には新しい夫ができて、彼女は新しい家庭の〝母親〟となった。
それに馴染みきれなかった私は、家族の幸せを得るのを諦め、個人の幸せを求めてきた。
そのいっぽうで、「誰かを愛したい、愛されたい」という想いに支配されていた。
尊さんもほぼ同じ想いを抱き、私たちのパズルのピースはぴったりと符号する。
だからこそ、私は彼の事を余計に気に掛け、愛しんでいるのだと思う。
いつだったか私が『共依存』と言ったように、似た者同士の傷の舐め合いかもしれない。
彼は私を愛する事で人としての幸せを得たいと望み、私も人を愛し、愛される事で〝普通〟を手に入れたいと思っている。
「……もっと一杯笑わせてあげますからね」
「期待してるよ」
彼はいつもの笑いに戻り、ポンポンと私の頭を叩いた。
私はその手を両手で握り、赤面しつつ言う。
「……だから、きょ、今日は遠慮せずに抱いていいですよ」
ちょっとツンとして言ったからか、尊さんはフハッと笑った。
「ツンデレか」
「尊さんの好みの属性、気になりますね」
一時はシリアスな雰囲気になったけれど、またいつもの私たちに戻った。
尊さんは私の顔を見つめ、目を細めて笑ってからチュッとキスをしてきた。
「……お前と過ごす時間が好きだ」
急に言われ、私はジワッと頬を染める。
照れくさくて逃げてしまいたくなるけれど、きちんと向き合いたい。
「私も、尊さんとこうやって軽口叩き合うの好きですよ」
彼は私の髪を撫で、親指で頬を辿る。
「もっとお前を知りたい。知り尽くして、骨までしゃぶって、俺だけのものにしたい」
「猟奇的」
「お前は獲物だよ」
尊さんは笑いながら囁くように言い、私の額に自身のそれをくっつけた。
そして顔を離し、気持ちを入れ替えて提案した。
「風呂、入るか。下着はあとから改めて鑑賞させてもらう」
「そうですね」
そのあと、私は改めて広々としたスイートルームを探検した。
尊さんはバスルームに行ってお風呂の準備をし、ルームサービスでシャンパンを頼んだ。
私たちは夜景を見下ろせるジェットバスで、シャンパンを飲みながら優雅なバスタイムを過ごした。
お風呂から上がったあとは、また尊さんが私の髪を乾かしてくれる。
洗面所にはハイブランドのアメニティがあり、お嬢様気分だ。
今は裸の上にバスローブを羽織っているけれど、準備が終われば下着をつけ直してベッドに行く事になる。
(改めて『これからベッドに行くんです』ってなると、恥ずかしいなぁ……)
いつもなら雑談をしていただろうに、緊張した私はいつのまにか口数少なくなっていた。
尊さんはそれを察したのか、ドライヤーをかけ終えて私の髪をサラサラと整えながら言う。
「俺、ちょっとメールチェックするから、先にベッドルームに行っててくれるか?」
「分かりました」
その気遣いがありがたく、私はホッとしながらお礼を言った。
ゆっくりスキンケアをしている間、尊さんは手早く自分の髪を乾かし、バスルームを出ていった。
私は無意識に息を吐いたあと、脱いだ服を見る。
見せるための下着とはいえ、脱衣所で見られると恥ずかしいので、服の間に挟んである。
(覚悟を決めますか……)
胸の奥で呟いた私は、籐の椅子から立ってバスローブを脱いだ。
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