恵那のどたばた日記

小春かぜね

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第45話 すき焼き大戦争 その5

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 ……

 音羽ちゃんが、家から持って来てくれた鶏肉と、偶々たまたま焼き豆腐が1丁有ったらしいので、それらと野菜を追加して、再びすき焼きパーティーが始まる。
 お姉ちゃんが、食べ頃に成った鶏肉を箸でつかみ口に含む。

「うん。鶏肉も又良いね!!」
「煮詰まったタレと良く合うよ♪」

 嬉しそうに言う、お姉ちゃん!
 お肉の量も増えて満足そうで有った。

「お姉さん!」
「名古屋の方では、鶏肉のすき焼きを“ひきずり”と言うんですよ!」

「へぇ~、物知りだね。音羽ちゃん!!」

「そんな事、無いですよ~~」

「でも、ごめんなさいね。音羽ちゃん…」
「態々、家から持って来て貰っちゃって…///」

「いえ、いえ、お向かいですから、全然、―――」

 お姉ちゃんと音羽ちゃんは、相変わらずの会話をしていた。

「鶏肉も美味しい~♪」
「鳥さんと牛さん、両方食べられて幸せ~~」
「……恵那ちゃん。ご飯お代わり良い…?」

 木華ちゃんもすっかり元気を戻し、鶏肉入りすき焼きを笑顔で食べていた。

「うん、良いよ。ご飯は沢山炊いたから!」

「ありがとう。じゃあ、お願い!!」

 私は木華ちゃんからお茶碗を受け取り、炊飯器からご飯をよそう。

「木華!」
「しっかり食べてよ。お肉はまだまだ、有るから!」

 音羽ちゃんも和やかな顔で、木華ちゃんに声を掛けていた。

「うん、ありがとう。音羽ちゃん!!」

「でも、お腹壊すまでは食べないでよ…」

「大丈夫。そこまでは、食べないよ!!」
「以前……食べ過ぎでお腹壊したし…」

「そう!」
「なら、良いわ!!」

 先程の口論はすっかり忘れて、仲良く話す、音羽ちゃんと木華ちゃんで有った!

(音羽ちゃんと木華ちゃん。前より仲良く成った感じがする…)
(音羽ちゃんが、木華ちゃんを受け入れたかどうかは解らないけど、仲良くなればそれで良いか!!)

 私はそう思いながら、すき焼きを食べた。
 音羽ちゃんが、鶏肉を持って来てくれた事も有り、すき焼きはみんなお腹一杯になるまで食べられた。

 少し食休みをした後、みんなで後片付けをして解散の時間と成る。

「じゃあ、恵那ちゃん。お姉さん。失礼します!」

「音羽ちゃん。今日は本当にありがとう!」

 お姉ちゃんは音羽ちゃんに、改めてお礼を言っていた。
 お姉ちゃんの後、私も音羽ちゃんに言葉を掛ける。

「音羽ちゃん。又、月曜日ね!」

「ばいばい~~」
「木華もバイバイ~~」

「あっ、うん!」
「音羽ちゃん、バイバイ~~!」

 音羽ちゃんは、みんなにあいさつをして一足先に家に戻っていった。

「えっと、恵那ちゃん。お姉さん…」
「今日は、たくさん食べ過ぎちゃって、本当にごちそうさまでした……」

 木華ちゃんは恥ずかしがりながら言う。
 お姉ちゃんは木華ちゃんに話し掛ける。

「そんな事言わなくても良いわよ。木華ちゃん!」
「今度やる時は、沢山用意しておくわ!!」

「あっ、ありがとうございます//////」
「えっと、じゃあ、おやすみなさい!///」

 私は最後、木華ちゃんに声を掛ける。

「お休み~~。木華ちゃん!」

 木華ちゃんは嬉しそうな、恥ずかしそうな表情をしながら、私達の側から離れていった。
 ちなみに木華ちゃんは近くまで、親戚の人とお姉さんが向かえに来ている。
 後片付けをする前に、大体の時間を電話で告げていた。

 木華ちゃんをしばらく見送った後、私達も家に入る。
 リビングに入った途端、お姉ちゃんは私に話し掛けてくる。

「いや~、しかし……木華ちゃんのあの食べっぷりと、音羽ちゃんのあの行動には、お姉ちゃん本当にびっくりしたわ!!」

 お姉ちゃんは、先程の事を言う。

「木華ちゃんは、良く食べるとは聞いていたけど、私も音羽ちゃんの行動力には凄いなと感じちゃった!」

「恵那!」
「もしかしたら、近い内に友達じゃ無く成って、ライバルに成っちゃうかもね!」

 お姉ちゃんは、からかう様に言ってきた。

「どうだろうね…?」

 ……

 何とか無事に終わった、すき焼きパーティー。
 最後に言った、お姉ちゃんのあの言葉。

『もしかしたら、近い内に友達じゃ無く成って、ライバルに成っちゃうかもね!』

 そんな事は起きないと思うけど、ずっと友達で行きたいなと願う私だった。
 音羽ちゃんは私より、優秀だし運動神経も良いからこそ、敵対関係は持ちたくないと思った。
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