悪魔のお悩み相談所

春風アオイ

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Epilogue

独白

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─世界が、炎に包まれていた。

建ち並ぶ家々は瓦礫と化し。
美しい大通りは赤黒い血液で穢され。
村を象徴していた巨大な桜樹は根元から薙ぎ倒され、それらと運命を共にする。
朝焼けは、残酷なまでにその残骸を紅く染め上げ。
炎がパチパチと弾ける音だけが聞こえる、静寂の舞い降りたその場所には。

大量の死体だけが遺されていた。

四肢を切り落とされ、首までもがれた男がいた。
着物を剥がれ、辱められて殺された女もいた。
心臓を貫かれ、苦悶の表情のまま時を止めた少年もいた。

─そして、大切な『家族』が。

全身に深い傷を負い、半身を切り削がれた無惨な姿で磔にされていた。

救えなかった。
誰一人。

彼らが、一体何をした。
高潔で、誇り高き彼らが。
何故、志半ばにして十字架の下へ伏せなければならない。

どうして、俺は何も出来なかったんだ。

無力な自分が大嫌いになった。
このままで、彼らに顔向けなど出来やしない。
だから、俺は。


絶対に、救う。
そう誓った。


『彼』は駆ける。
全てを取り戻し、喪われた過去に報いる為に。
誰も知ることの無い足掻きを繰り返して。
使命を。
矜恃を。
全うする為に。


これは、一人の男の物語。
苦悩し、成長し、世界を平穏へ導いた、一人の男の物語だ。
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