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その後の2人
後編
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ソファーに移動した3人はテーブルの上に用意されていたクッキーに手を伸ばし、食べ始める。
「おにいちゃま、おいちいでちゅ!」
「ミモザが喜んでくれて良かった」
「おにいちゃまもくっきーもだいちゅき!」
ジェーンはミモザに柔らかく微笑む。
しかし、この穏やかな時間はミモザの一言で一変する。
「ねぇねぇ、きょうはへいかのおちゃべりちないの?」
「「え?」」
純粋に驚くカーティスと思い当たる節があって動揺するジェーン。
2人を交互に見比べて、ミモザは不思議そうに首を傾げる。
「おにいちゃま、いちゅもいってるでちょ?」
「いつも?」
「カーティス様!そ、そんな大した話ではないんです!ミモザも今日はしないからね!」
ミモザに黙っているようにと人差し指を唇に当ててしーっと合図するジェーンの怪しい態度にカーティスは妻がこの小さな弟を相手に日頃の鬱憤や不満を漏らしているのではないかと不安を抱いた。
それでもジェーンのために嫌だと思われている部分は全て直そうと思い、ミモザに問いかける。
「なぁミモザ、ジェーンはいつも何を話してるんだ?」
「言っちゃダメっ、ミモザ!」
「えーとね、へいかがとーってもカッコいい!とかとーってもやちゃちい!とか。あとねあとね、いちゅもだいちゅき♡だいちゅき♡っていってるよ?」
ジェーンの制止も虚しく、無邪気にミモザは答えてしまった。
兄は毎回愛する夫のことばかり惚気ているのだと。
ジェーンは恥ずかしさから両手で顔を覆う。
けれども赤面しているのが金髪の間からちらりと見える耳からも明白である。
その姿からカーティスは自分がこの可愛い愛妻に予想していたよりもずっと愛されまくっているのだと自覚し、思わず照れる。
そんな2人の間でミモザはにこにこしながらクッキーを口いっぱいに頬張るのだった。
「おにいちゃま、おいちいでちゅ!」
「ミモザが喜んでくれて良かった」
「おにいちゃまもくっきーもだいちゅき!」
ジェーンはミモザに柔らかく微笑む。
しかし、この穏やかな時間はミモザの一言で一変する。
「ねぇねぇ、きょうはへいかのおちゃべりちないの?」
「「え?」」
純粋に驚くカーティスと思い当たる節があって動揺するジェーン。
2人を交互に見比べて、ミモザは不思議そうに首を傾げる。
「おにいちゃま、いちゅもいってるでちょ?」
「いつも?」
「カーティス様!そ、そんな大した話ではないんです!ミモザも今日はしないからね!」
ミモザに黙っているようにと人差し指を唇に当ててしーっと合図するジェーンの怪しい態度にカーティスは妻がこの小さな弟を相手に日頃の鬱憤や不満を漏らしているのではないかと不安を抱いた。
それでもジェーンのために嫌だと思われている部分は全て直そうと思い、ミモザに問いかける。
「なぁミモザ、ジェーンはいつも何を話してるんだ?」
「言っちゃダメっ、ミモザ!」
「えーとね、へいかがとーってもカッコいい!とかとーってもやちゃちい!とか。あとねあとね、いちゅもだいちゅき♡だいちゅき♡っていってるよ?」
ジェーンの制止も虚しく、無邪気にミモザは答えてしまった。
兄は毎回愛する夫のことばかり惚気ているのだと。
ジェーンは恥ずかしさから両手で顔を覆う。
けれども赤面しているのが金髪の間からちらりと見える耳からも明白である。
その姿からカーティスは自分がこの可愛い愛妻に予想していたよりもずっと愛されまくっているのだと自覚し、思わず照れる。
そんな2人の間でミモザはにこにこしながらクッキーを口いっぱいに頬張るのだった。
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更新ありがとうございます。
さすがみもちゃん、『子は鎹』を実践しましたね(弟だけど)
これは陛下にも可愛がられること間違いなし❣️
ただでさえ愛するジェーンにそっくりですしねwww
本人は真っ赤で顔があげられないので、代理でみもちゃん、撫でておきます(i_i)\(^_^)
四葩(よひら)様
いつも貴重なご感想を下さり、誠にありがたく思っております。
また、お返事が遅くなりまして、申し訳ございませんでした。
四葩様のおっしゃる通り、ミモザはカーティスに可愛がられております。
ミモザからも大好きなお兄ちゃん夫婦と思われています。
これからも楽しくお読みいただけるように頑張って執筆してまいります。
今作品並びに別作品についても何卒よろしくお願い申し上げます。
お久しぶりです。
ミモちゃん可愛い✨
この滑舌悪い可愛い口上に射貫かれました♡
ブラコンだったらもっと善きかも……( *´艸`)💕
腐女子さんのお兄様の物語も気になってしまいますね(笑)
四葩(よひら)様
今作品においてはかなり久々の投稿だったので、「読んで下さる方はいるだろうか…」と心配しておりましたが、貴重なご感想まで頂けて、心からありがたく思っております。
新キャラのミモザについても気に入っていただけたようで嬉しいです。
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そら様
貴重なご感想、ありがとうございます。
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