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第一章 オクタヴィアンはハゲを治したいだけ
第十五話 テスラの元へ
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「テスラ?」
オクタヴィアンはローラが何を言っているのか意味が分からなかった。
テスラとはあの本の作者のアリスファド・テスラの事だとは分かる。しかしその男は先程百年前の人物だから、もうこの世にはいないと、話をしたところじゃないか。
何でローラはいきなりそんな意味不明な事を言ってきているんだ?
「バカな事言うな! ローラ! ヨアナが危ないって時に!」
オクタヴィアンはローラの忠告を無視して手掛けようとした。しかし、ローラは譲らない。
「医者に診せる方がよっぽどバカです! 早くヨアナ様を連れてテスラ様の所へ!」
オクタヴィアンは何が何だか分からなくなってきた。
そうこうしているウチに洗濯係のバロやアナ、ファイナおばさん達女性陣がヨアナを毛布に包んだ状態で、馬車まで運んできた。
「わ、悪い事は言わないです! 早くテスラ様の所へ」
「あの人なら助けてくれるかも知れねえんです!」
更に食料管理のアウレルが水筒と紙に包んであるパンらしき物と乾いた肉を渡してきた。
「それで少し遠いで、食料もここに!」
そのアウレルから食料を受け取ったオクタヴィアンは、使用人達の本気度動揺しながらも、その言葉の信念を受け取ったような気がした。
「わ、わ分がった! じゃばデスラの所へ行こう!」
オクタヴィアンはだいぶ舌が回らないながらもローラにそう言うと、御者席にいるアンドレアスに声をかけた。
「な、なあ、アンドレアス! テ、テテテスラの場所ば分がるが?」
しかしアンドレアスはそこにいない。
「あれ? アンドレアス?」
オクタヴィアンが振り向くと、アンドレアスは屋敷から走って来た。
「す、すいません旦那っっ。わ、忘れもんしちゃって~っっ! って、あれ? 医者じゃなくなったんで?」
「テスラ様の所まで行くのよ!」
ローラはそうアンドレアスに言うと、自身も御者席に乗った。
「え? ローラも行くの?」
「そうよ! アンドレアスはテスラ様の場所はよく知らないでしょ? 私が道案内するわ!」
「わ、分かったっっ」
ローラのその気迫に押されてアンドレアスは、ローラを承諾した。
一方馬車に入ったオクタヴィアンは毛布に包まれたヨアナをしっかり抱きしめた。
「だだ大丈夫、だ大丈夫。いつぼヨヨアナが言ってくれてるだぼ? だだだから今日ぼぼ大丈夫」
そうヨアナに話しかけたが、しかし意識はなくグッタリとしている。
そして自分の身体の異変もさすがに気になってきた。ローラやアンドレアスは気づいてはいないが、身体全体が痺れ始めていたのである。まるで父と同じように……
しかしそんな事よりも今はヨアナの心配の方が勝っている。
「ぼぼし、行いっていいぞ! いぞげ!」
「はいよ~!」
こうして四人を乗せた馬車は、そろそろ日も落ちようとしているカルパチア山脈に向けて出発した。
オクタヴィアンはローラが何を言っているのか意味が分からなかった。
テスラとはあの本の作者のアリスファド・テスラの事だとは分かる。しかしその男は先程百年前の人物だから、もうこの世にはいないと、話をしたところじゃないか。
何でローラはいきなりそんな意味不明な事を言ってきているんだ?
「バカな事言うな! ローラ! ヨアナが危ないって時に!」
オクタヴィアンはローラの忠告を無視して手掛けようとした。しかし、ローラは譲らない。
「医者に診せる方がよっぽどバカです! 早くヨアナ様を連れてテスラ様の所へ!」
オクタヴィアンは何が何だか分からなくなってきた。
そうこうしているウチに洗濯係のバロやアナ、ファイナおばさん達女性陣がヨアナを毛布に包んだ状態で、馬車まで運んできた。
「わ、悪い事は言わないです! 早くテスラ様の所へ」
「あの人なら助けてくれるかも知れねえんです!」
更に食料管理のアウレルが水筒と紙に包んであるパンらしき物と乾いた肉を渡してきた。
「それで少し遠いで、食料もここに!」
そのアウレルから食料を受け取ったオクタヴィアンは、使用人達の本気度動揺しながらも、その言葉の信念を受け取ったような気がした。
「わ、わ分がった! じゃばデスラの所へ行こう!」
オクタヴィアンはだいぶ舌が回らないながらもローラにそう言うと、御者席にいるアンドレアスに声をかけた。
「な、なあ、アンドレアス! テ、テテテスラの場所ば分がるが?」
しかしアンドレアスはそこにいない。
「あれ? アンドレアス?」
オクタヴィアンが振り向くと、アンドレアスは屋敷から走って来た。
「す、すいません旦那っっ。わ、忘れもんしちゃって~っっ! って、あれ? 医者じゃなくなったんで?」
「テスラ様の所まで行くのよ!」
ローラはそうアンドレアスに言うと、自身も御者席に乗った。
「え? ローラも行くの?」
「そうよ! アンドレアスはテスラ様の場所はよく知らないでしょ? 私が道案内するわ!」
「わ、分かったっっ」
ローラのその気迫に押されてアンドレアスは、ローラを承諾した。
一方馬車に入ったオクタヴィアンは毛布に包まれたヨアナをしっかり抱きしめた。
「だだ大丈夫、だ大丈夫。いつぼヨヨアナが言ってくれてるだぼ? だだだから今日ぼぼ大丈夫」
そうヨアナに話しかけたが、しかし意識はなくグッタリとしている。
そして自分の身体の異変もさすがに気になってきた。ローラやアンドレアスは気づいてはいないが、身体全体が痺れ始めていたのである。まるで父と同じように……
しかしそんな事よりも今はヨアナの心配の方が勝っている。
「ぼぼし、行いっていいぞ! いぞげ!」
「はいよ~!」
こうして四人を乗せた馬車は、そろそろ日も落ちようとしているカルパチア山脈に向けて出発した。
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