57 / 63
2章
15話
しおりを挟む
「おい、いい加減にしろ」
肩を掴まれて俺は我にかえる。
「あ、カミーユ」
「あ、カミーユじゃない!どれだけ長い間畑にいる!」
立ち上がろうとして、一瞬目眩に襲われた。
倒れそうになった瞬間カミーユの逞しい腕にしっかりと抱き留められた。
「セラフィナ、冷たい飲み物を!」
「こちらに」
カミーユに抱上げられたことに恥ずかしくなり下ろせと言うと、低い声が降ってきた。
「黙っていろ」
鋭く命令をするようなその声に、反抗心が芽生える。
「大丈夫だって言ってるだろ?」
「煩い、お前が倒れたら罰を受けるのはセラフィナだ」
「なっ!」
何でだよ!そう叫びそうになってから口を噤んだ。それは、カミーユの目が言葉とは裏腹に俺を心配そうに見つめていたから。
「ごめん」
「わかったならいい。セラフィナや他の従者はミオリがやることを阻めない……いや、命じておけば良かったか……セラフィナ、今後ミオリの命優先だ。危ないと判断したらお前の独断でミオリを止めていい」
「畏まりました。ミオリ様どうぞ……少し塩を入れたレモン水ですお飲みください」
カミーユが日陰の長椅子に俺を座らせてくれ、セラフィナが差し出してくれたのは冷えたグラスにほぼ無色の水が入れられていた。
そのグラスには透明なストローのようなものが刺さっている。
「ありがとうセラフィナ」
グラスを受け取ってストローでレモン水を飲む。
冷たくて甘く酸っぱいさらりとした飲み心地のレモン水だった。
いつの間にか俺の隣に座ったカミーユは、セラフィナからかぎ慣れた琥珀色の飲み物を飲んでいる。
「狡いコーヒー俺も飲みたい!」
香ばしい香り。
「ミオリは後でな。まずはそのレモン水を飲み干してからだ」
カミーユに言われて俺はレモン水を少しずつ飲んでいく。
熱中症の1歩手前だったのか、喉を滑り落ちていくレモン水は身体に染み渡るようで俺は一気に飲み干してしまう。
「セラフィナありがとう、ご馳走さま。このグラスは何処に返したらいいかな……洗わなきゃ」
自分の使ったものなのだ、洗って返すのが普通だろう。
「そんな、ミオリ様!そのようなことは私達がやりますから」
「でも」
そのくらいならできると言おうとすると、カミーユが頭を振る。
「それが、セラフィナたちの仕事だ。仕事がなければ此所に居られなくなるのだ。お前が養うならいいが、無理だろう?」
確かに俺は誰かを養う事は現状では難しい。
だが、今後はどうしたらいい?
知らない世界で生きていく為に何が出来るのだろうか。
出来るだけ早くやれることを見極めて、お世話になっているカミーユたちにお礼をして出ていくことを考えなきゃなと思いながらセラフィナにグラスを返すのだった。
肩を掴まれて俺は我にかえる。
「あ、カミーユ」
「あ、カミーユじゃない!どれだけ長い間畑にいる!」
立ち上がろうとして、一瞬目眩に襲われた。
倒れそうになった瞬間カミーユの逞しい腕にしっかりと抱き留められた。
「セラフィナ、冷たい飲み物を!」
「こちらに」
カミーユに抱上げられたことに恥ずかしくなり下ろせと言うと、低い声が降ってきた。
「黙っていろ」
鋭く命令をするようなその声に、反抗心が芽生える。
「大丈夫だって言ってるだろ?」
「煩い、お前が倒れたら罰を受けるのはセラフィナだ」
「なっ!」
何でだよ!そう叫びそうになってから口を噤んだ。それは、カミーユの目が言葉とは裏腹に俺を心配そうに見つめていたから。
「ごめん」
「わかったならいい。セラフィナや他の従者はミオリがやることを阻めない……いや、命じておけば良かったか……セラフィナ、今後ミオリの命優先だ。危ないと判断したらお前の独断でミオリを止めていい」
「畏まりました。ミオリ様どうぞ……少し塩を入れたレモン水ですお飲みください」
カミーユが日陰の長椅子に俺を座らせてくれ、セラフィナが差し出してくれたのは冷えたグラスにほぼ無色の水が入れられていた。
そのグラスには透明なストローのようなものが刺さっている。
「ありがとうセラフィナ」
グラスを受け取ってストローでレモン水を飲む。
冷たくて甘く酸っぱいさらりとした飲み心地のレモン水だった。
いつの間にか俺の隣に座ったカミーユは、セラフィナからかぎ慣れた琥珀色の飲み物を飲んでいる。
「狡いコーヒー俺も飲みたい!」
香ばしい香り。
「ミオリは後でな。まずはそのレモン水を飲み干してからだ」
カミーユに言われて俺はレモン水を少しずつ飲んでいく。
熱中症の1歩手前だったのか、喉を滑り落ちていくレモン水は身体に染み渡るようで俺は一気に飲み干してしまう。
「セラフィナありがとう、ご馳走さま。このグラスは何処に返したらいいかな……洗わなきゃ」
自分の使ったものなのだ、洗って返すのが普通だろう。
「そんな、ミオリ様!そのようなことは私達がやりますから」
「でも」
そのくらいならできると言おうとすると、カミーユが頭を振る。
「それが、セラフィナたちの仕事だ。仕事がなければ此所に居られなくなるのだ。お前が養うならいいが、無理だろう?」
確かに俺は誰かを養う事は現状では難しい。
だが、今後はどうしたらいい?
知らない世界で生きていく為に何が出来るのだろうか。
出来るだけ早くやれることを見極めて、お世話になっているカミーユたちにお礼をして出ていくことを考えなきゃなと思いながらセラフィナにグラスを返すのだった。
60
あなたにおすすめの小説
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
もう一度君に会えたなら、愛してると言わせてくれるだろうか
まんまる
BL
王太子であるテオバルトは、婚約者の公爵家三男のリアンを蔑ろにして、男爵令嬢のミランジュと常に行動を共にしている。
そんな時、ミランジュがリアンの差し金で酷い目にあったと泣きついて来た。
テオバルトはリアンの弁解も聞かず、一方的に責めてしまう。
そしてその日の夜、テオバルトの元に訃報が届く。
大人になりきれない王太子テオバルト×無口で一途な公爵家三男リアン
ハッピーエンドかどうかは読んでからのお楽しみという事で。
テオバルドとリアンの息子の第一王子のお話を《もう一度君に会えたなら~2》として上げました。
※画像は男の子メーカーpicrewさんよりお借りしました。
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした
紫
BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。
実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。
オメガバースでオメガの立場が低い世界
こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです
強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です
主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です
倫理観もちょっと薄いです
というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります
※この主人公は受けです
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
番解除した僕等の末路【完結済・短編】
藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。
番になって数日後、「番解除」された事を悟った。
「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。
けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。
2026/02/14 累計30万P突破御礼バレンタインSS追加しました
2026/02/15 累計いいね♡7777突破御礼SS 19時に公開します。
様々な形での応援ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。