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9話

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テトの葬儀は厳かに営まれた。
国民には触を出すのみとして、式典は儲けず。
それでもたくさんの献花が広場を埋め尽くした。

幼い女の子が爪先を立てて、大人が乗せた花の上に1本の花をのせようとしていた。

涙は出ない。

昨日、私は全てを陛下と王子のみに伝えた。

陛下は薄々感じていたのか、それでも献花をする際の指が震えていたのを私は見ていた。

陛下は『すまない』そう唇だけ動かした。

テトの死因は病死。
感染性があるために密やかにとした。

それでも慕われていた王子の為に集まっている民衆。

それに対して私は頭を下げるしかない。

王妃がだ。
国王へすら頭を下げることをしなくても良い地位にいるのだが…
その地位も、国民がいての王族なのだ。

「母様…テト兄様は幸せにしているのかな…」

末弟がぽつりと呟いた。

「えぇ、そう聞いているわ」
「そっか…僕ね、テト兄様にたくさん甘やかして貰ったんだ…テト兄様が思っているほど、僕はテト兄様をんだよ?」
「わかっているわ」

テトが自分の事を民衆が言うように思っていることを知っていた。
その不安を取り除いてやれなかったのは自分達でその結果がこうなのだ。

同じ水属性を有する神官に守護竜神の話を聞くと、一言も喋らずに上空にいるらしい。

その竜神と話すことができたら…と、自分が水属性があったら…と。
思ってしまう。
もう全てが遅いのだが。

ただただ私はテトが幸せであればと祈るしかできなかった。
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