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42話

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「良く頑張ったな」

俺はふぅっと息を吐き出してからラーサティアにそっと口吻けをした。
かなりキツイ。
自分だけが辛い訳じゃないのだと思い聞かせていく。

「辛いだろう?」

俺の問いかけにラーサティアは頭を左右に振る。
解けた髪がサラサラと敷布の上を弧を描いた。

「嬉しいです。ずっと……していただきたかった……」

にこりと笑みを浮かべたラーサティアの手が敷布から離れて俺に触れる。
俺の顔を確かめるように動いた。

「ニクス様が、ずっと欲しかった……私だけのものにしたかった……ニクス様が花吐病と知って、どれだけ心配と嫉妬をしたか……もし、花吐病が好きな人と交わる事で本当に治るなら……治らなくても私も同じ花吐病になるだけですから……ずっとニクス様と一緒にいられるなどと、狡い考えを持っているんですよ……ニクス様の花吐病が私に移ればいいと……移したことでニクス様が治るなら本望ですし」
「なっ!」
「どの医学書を見ても、わからなかった……ニクス様の病ですが、一冊不確かですが見付けました、好きな人と思いを交わす事そうすれば銀色の百合の花を吐いて、完治するのだ……と、ですから……ニクス様が百合の花を吐けば……その医学書が偽物であれば、私も同じ病にかかりたい……ニクス様と同じ時間を生きたいのです」
「ラーサティア……」
「そんな顔をされないで、私は幼い頃からニクス様のお隣に立ちたい一心で来たのですから……」
「そうか……」

ラーサティアの唇に口吻けを落として、ラーサティアの様子を伺いながらゆらりと腰を揺らした。
小さく声を上げたラーサティア。

「痛いか?」
「いえ、その……思っていたより、気持ち良くて……すみません……」

気持ち悪いですよねと、自分で口を塞ごうとするラーサティアの手首を掴んでそっと敷布に繋ぎ止めた。

「サティの甘い声は好きだ……寧ろ嫌いなところなどない」

ゆらりゆらりと腰を許していくと、ラーサティアは逃げるように腰を浮かせた。
だが、逃がす訳にはいかない。

「……ンッ……ぁ……」
「可愛いな、サティ……どこがいい?」
「全部……全部ですニクス様、繋がっている部分だけじゃなくて……」

抱きついてくるラーサティアを抱きしめ返しながら、その細く白い首筋に軽くキスを落とした。
白い肌に赤く印が灯る。

「あっ……嬉しい……ニクス様からの……所有印……」

誰がそんな如何わしい単語を教えたのだろうか。いや、ラーサティアは王族だから房術の指導者がいた事だろう。

「そうだ、俺のものだからな?二心は許さない」
「幼い時から、ニクス様しか見ていませんから……んん……はぁ……」

腰の動きを少しだけ早くしていくと、ラーサティアの身体はどんどんと花開いていくようだった。
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