【BL】オネェ騎士は見習いが可愛くて仕方ない。

梅花

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2章 成人

3話

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「ニコル、ほら、起きなさいな今日はアタシに付き合ってもらうわよ?」
レイモンドは、朝からニコルの部屋の扉を開けた。
「あら、本当にいい身体になったわねぇ……」
ベッドでごろごろと転がるニコルは上半身裸。
綺麗に割れた腹筋や、盛り上がる筋肉。
「ほらほら、起きなさいなニコル」
朝はあまり強くない事を知っているが仕方ない。
「起きなければキスするわよ?なんてね」
そう言いながらレイモンドはニコルの鼻を指先で掴むと、息苦しさにニコルが漸く目覚め飛び起きた。 
「わっ!レイモンド様!なっ!」
「起きた?おはよう。さぁ、今日は朝からちょっと付き合って貰うからね?」
「えっ?」
きょとんとこちらを見あげてくるニコルに、レイモンドはほらほらと促した。
「食事をしたら散髪するわよ?」
早く着替えてとばかりにレイモンドはクローゼットを開けて白いシャツと黒いズボンを引っ張り出した。
「ほら、朝食に行きましょ?」
レイモンドは朝食は何かしら?と、部屋を出た。
流石に着替えまで見る趣味は無い。
暫くレイモンドが扉の前で待っていると、ゆっくりとニコルが出てきた。
「お待たせしました」
まだ眠そうなニコルに笑みを向けてから行くわよと、歩き出す。
すれ違う騎士達におはようと声を掛けながら食堂に入るとふわりと甘い焼きたてのパンの香りがした。
「美味しそうな匂いね。パンをふたつとサラダとスープ。オムレツにするわ」
レイモンドが食堂に足を踏み入れると、並んでいた騎士たちの視線がレイモンドに集まり、海が割れるがごとく道ができる。
「大丈夫よ、気にしないで。昼間は非番だから。ほら勤務があるアンタたちが先に並びなさい?」
レイモンドの勤務は早いため、勤務の時は先に食事を貰えるようにニコルが掛け合った。
それでないと、食事の時間も無いくらいなのだ。
それをレイモンドも知っているため、今朝は違うから気にしないようにと並んでいた騎士たちに告げたのだ。
ニコルとすれば、小隊長なのだから気にしないでいいのにと思ってしまうのだが。
「ありがと、ちょっとニック髪が跳ねてるわよ?後で直しなさい?テムは髭を剃りなさい!のばせばいいってもんじゃないわよ、アンタ顔のライン素敵なんだから髭は似合わないわよ?イアン、あら髪を切ったのねさっぱりして素敵よ?」
レイモンドは騎士たちに挨拶や声を掛けていく。騎士たちは嬉しそうに言葉を受けて返事を返す。
レイモンドの小隊は仲がいい。
「レイモンド様、食事を運びますから席へどうぞ」
ニコルは先ほどのレイモンドのオーダーしたものをトレイにとり、自分の分も器用に別のトレイに乗せ運ぶ。
レイモンドの食事をとる席は決まっており、騎士たちは暗黙の了解でその席には座らないようになっているのだ。
レイモンドが座るとニコルはトレイを置き、その向かい側へ自分のトレイも置く。
備え付けのグラスに水を入れてニコルがテーブルに置くと、いただきますとレイモンドはパンを千切るのだった。
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