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閑話6・夏のバイト-14-
しおりを挟むあの事件から十年の時が流れ、真由美と涼香、そして芳恵は一年と数ヶ月で三十歳になるという年齢になっていた。
「女将さんが自分の娘の餌として、あたし達を生け贄にしようとしていた事は未だに許せないわ!!」
「そうだそうだ!」
「女将最低!女将に呪詛返しした紗雪男前!いや漢前!!」
事件が切っ掛けで仲が良くなった真由美と涼香と芳恵。
彼女達は連絡を取り合っては都内の有名な店で美味しいと評判の料理に舌鼓を打ったり、時には仕事の愚痴を零したり、マッチングアプリで年収三千万前後の、家事全般と子育ては家事代行サービスとシッターさんに頼む事が前提で専業主婦にしてくれる男を捕まえる為の婚活に励んでいた。
ちなみに今日の彼女達は都内でも有名な高級焼き肉店に集まっていたりする。
「紗雪・・・どこ行っちゃったんだろうね?」
「あの事件の後に関東に行ったって聞いたけど・・・」
「紗雪と同じ時期に親の権力でイケメンを物にしていたヤリマンでサセコな近藤さんも行方不明になったんじゃなかった?」
三人は十年前に行方不明になった友人に思いを馳せる。
「あたし達って一年もすれば三十になるんだよね~」
「紗雪だったら結婚しているのかな~?それともあたし達と一緒に婚活パーティーに参加していたのかな~?」
炭火で焼いていた上ロースを食べながら涼香がしみじみと呟く。
「夫婦共働きが前提だから年収数百万の男を見つけて、その人と結婚していたんじゃない?」
「でも紗雪って核兵器やレベルカンストの勇者よ?男の方が怖がって近づかないと思うけどな~」
学生時代は大学を卒業したら就職。そこで二~三年働いたら結婚できるものだと思っていた。
それなのに・・・結婚を前提とした条件のいい男は見つからない。出世頭である男には結婚を前提に付き合っている女性が居るのだ。
三十歳になるまでには結婚して子供が欲しいという願望を持っている真由美と涼香は大いに焦っていた。
「真由美、涼香。年収が数千万で家事全般と子育ては他人任せにしてもいいと言ってくれる男なんて居ないよ?」
スポーツ選手の奥さんが旦那の健康と身体を考えての料理を作るように、あたし達もそれくらいの事はしないといけないって!
「真由美と涼香の夢を叶えてくれそうな男ってアラブのシークか、海外の大富豪くらいだろうね」
二人に対してそう言った芳恵がビールを煽った後、ちょうどいい焼き具合になったカルビを食べる。
「「でもそういう人って愛人とかを囲っていそうだから絶対に嫌っ!」」
「じゃあさ・・・夫婦共働きで家賃は旦那が、生活費は自分が負担する。家事と育児は協力するというところまで条件を引き下げなきゃ」
このままだと一生独身だからいい加減に現実を見ろと、婚約者が居る芳恵が先輩として真由美と涼香に忠告していたその頃
※あの事件の後で紗雪は封印が解けて蘇った九尾狐を倒す為に関東地方まで出張していました。
雑魚や中ボス達は難なく倒してから九尾狐と対峙。狡猾なラスボスだけは深手を負ってしまったけど霊剣・蜉蝣で九尾狐を消滅させてから脱出。
何とか地上に脱出出来た紗雪は封印をしようとしたのですが、その時にウィスティリア王国の聖女召喚に巻き込まれてしまいました。
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