永遠のネバーランド

東門 大

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第5話 ママはお見通し(1)

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「ただいま!」

 学校から帰ると、玄関に義母ママが立っていた。

「お部屋で着替えたら、すぐダイニングに来なさい。」

 一目で怒っていることが分かり、上から見下ろされている僕は、縮こまって下を向いた。


 僕は急いでいつものTシャツと短パンに着替えて、ダイニングに向かった。

 義母はエプロン姿で椅子に腰掛けていた。

 僕が正面に座ろうとすると、じっと睨んで床を指差した。

「ここに正座しなさい」

 僕は言われるままにした。

 昨日添い寝までしてくれた義母が、一転して恐ろしい存在に思えた。

「大ちゃん。これはなあに」

 義母はエプロンのポケットから、ジップロックに入った白ブリーフを見せてきた。

 これで義母が怒っている理由が分かった。

 でも「夢精で濡らしたパンツです」なんて、とても言えなかった。

「それは………」

「それは?」

 僕が何も言えずにいると、もう片方のポケットから、もう1つの袋を取り出した。

 中には今朝ゴミ箱に捨てたはずのティッシュが入っていた。

 僕にはもうそれだけで地獄だった。

 ママは下を向いている僕の両頬をつまみ上げ、正面を向かせて睨みつけてきた。

「これを見つけた時のママの気持ちが分かる?中学生にもなって、オネショをして、…しかもそれを隠して、反省も言えない。大ちゃんはそんな悪い子なの?」

 と言われて、小さい子が母親に叱られているようで、むず痒いような感覚に囚われた。

「ごめんなさい」

 声を絞り出して言うと、義母は両頬をギュッとつねってきた。

「イタっ」

「イタっじゃないでしょう。どうして叱られてるか分かってるの?」

「オネショ?して…ママに言わずに…黙ってた…から…」

 それを聞くと、ママは頬をつねっていた両手をゆっくりと離した。

 顔も優しさを取り戻したように見えて、少し安心した。

 僕がきちんと反省したので許してくれたのだろう。
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