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第三章 リベラティオへの旅路
第215話 キルクルス→エルフの集落(塩湖)
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「──ハーモニー、塩湖が見えてきたぞ!」
行きは塩湖からキルクルスの町まで二日ほど掛かった道のりを、今回は休憩の時間を大幅に削る事により、一日と少しほどで戻ることができた。
「二頭とも、無理させて悪いな。まだ、頑張れそうか?」
俺とハーモニーは交代で休みながら手綱を握っていたが、ユニコーン達はそう言う訳にもいかない。
しかし少しでも早くトゥナを助けるために、心苦しくはあるが彼等には少しばかり無理をしてもらったのだ。
「うんまぁ! 貴方の為なら、まだ数日平気かしら! って言ってるカナ」
メスコーンの方は、俺達の無理に快く了解してくれた。オスコーンの方も……。
「カナデカナデ、オスコーンが。……あの件上手い事頼んだぞ? って言ってるカナ! ところで、あの件って何カナ?」
「それはだな……男同士の秘密ってやつだ」
オスコーンに関しても、トゥナが無事に助かり次第、メスコーンと数日間ゆっくり出来る時間を作る事で何とか手を打った。──ここ最近、こいつらにも無理させっぱなしだしな。
日は傾き始め、水面は夕陽を映し、目の前の世界は燃える様に赤く染まっている。
こんな時でも無ければ、きっと心が動かされていたに違いない。
「ふぁぁ~……。おはようございます、カナデさん~。ビックリするほど早く着きましたね」
「あぁ……ユニコーン達が頑張ってくれたからな?」
口では平気だと言っているものの、彼等にも疲労の色は見えている……。
流石に今晩はどこかで休息を取らないとまずそうだ。
「ハーモニー、そろそろ休憩を入れようと思うんだけど……」
声をかけると、彼女は空を見上げ何かを考えているようだ。
「──いえ、先に反対岸にまで先に渡りましょう。暗くなると向こうに渡るのが難しくなります」
「そ……そうなのか?」
事情は分からないが、そう言う物らしい……。
反対岸って、もしかして前にハーモニーがボーッと見ていた森の事なのだろうか。この巨大な湖をぐるっと回るのか?
「この前休息を取った場所を覚えていますか~? あの付近から向こう岸に移る方法があります、まずはそこまで行きましょう」
この前って、あんな所からか?
いや、今はどのみちハーモニーを信じるしかないな。
俺達はまだしばらく馬車を走らせ、この前休憩した場所へと向かった──。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「──確か、この辺りだったよな?」
綺麗に片付けてあるとはいえ、休憩を取っていた名残がいくらか残っている。
まずここで間違いないだろう。
「カナデさん、何か棒の様な物をお借りできないでしょうか?」
唐突にそう言ったハーモニーに、マジックバックから木の棒を取り出し渡すと「ありがとうございます~」と言いながら馬車を降りた。
そして、棒を地面付け一足先へと歩いて行く。──あれで何が分かるのだろうか……。
……なんか、小さな子供が砂地に落書きをしているみたいだな?
「──カナデさん~! こちらにお願いします~」
「は、はい!?」
考えがバレた! ……訳ではないか?
俺は馬車の手綱を握り、ハーモニーの元へと走らせた。
そして、すぐ隣まで行くとハーモニーは御者席に乗り込む。
「ここから……正面に見えるあの高い木に向かって馬車を走らせます」
ハーモニーが指差す方向を見ると、燃える様な真っ赤な景色の奥に、大きな森がうっすらと見た。
しかしそこへと続く道はなく、目の前には夕焼けを写し出す湖しかない。
「ちょっと待ってくれ、この先は湖だぞ? 馬車で行くなんて……」
「大丈夫です。今通れる様にエルフのおまじないを掛けますね……。カナデさん、目を閉じてください」
なるほど……魔法のようなものか?
俺はハーモニーの指示通りに目閉じた。
「それでは、おまじないをかけますね……」
ハーモニーはそれだけ言うと、俺の両肩に手を置いた。耳元で、なにやらブツブツと声が聞こえ、最後に頬に柔らかい何かが触れる。
「……はい、目を開けて頂いて大丈夫ですよ」
え、え~っとハーモニーさん?
今の柔らかい感触はなんだったのでしょうか? もしかしなくても……。
「──さ、さぁ、行きましょう。トゥナさんを……助けるために!」
夕日の為なのか……もしくは別の理由なのかもしれない。
ハーモニーは俺から視線を外し、その頬は紅く染まっているようにも見えた。
そしてその後、手綱を叩く音と共に馬車は湖に向かい動き出したのだった。
行きは塩湖からキルクルスの町まで二日ほど掛かった道のりを、今回は休憩の時間を大幅に削る事により、一日と少しほどで戻ることができた。
「二頭とも、無理させて悪いな。まだ、頑張れそうか?」
俺とハーモニーは交代で休みながら手綱を握っていたが、ユニコーン達はそう言う訳にもいかない。
しかし少しでも早くトゥナを助けるために、心苦しくはあるが彼等には少しばかり無理をしてもらったのだ。
「うんまぁ! 貴方の為なら、まだ数日平気かしら! って言ってるカナ」
メスコーンの方は、俺達の無理に快く了解してくれた。オスコーンの方も……。
「カナデカナデ、オスコーンが。……あの件上手い事頼んだぞ? って言ってるカナ! ところで、あの件って何カナ?」
「それはだな……男同士の秘密ってやつだ」
オスコーンに関しても、トゥナが無事に助かり次第、メスコーンと数日間ゆっくり出来る時間を作る事で何とか手を打った。──ここ最近、こいつらにも無理させっぱなしだしな。
日は傾き始め、水面は夕陽を映し、目の前の世界は燃える様に赤く染まっている。
こんな時でも無ければ、きっと心が動かされていたに違いない。
「ふぁぁ~……。おはようございます、カナデさん~。ビックリするほど早く着きましたね」
「あぁ……ユニコーン達が頑張ってくれたからな?」
口では平気だと言っているものの、彼等にも疲労の色は見えている……。
流石に今晩はどこかで休息を取らないとまずそうだ。
「ハーモニー、そろそろ休憩を入れようと思うんだけど……」
声をかけると、彼女は空を見上げ何かを考えているようだ。
「──いえ、先に反対岸にまで先に渡りましょう。暗くなると向こうに渡るのが難しくなります」
「そ……そうなのか?」
事情は分からないが、そう言う物らしい……。
反対岸って、もしかして前にハーモニーがボーッと見ていた森の事なのだろうか。この巨大な湖をぐるっと回るのか?
「この前休息を取った場所を覚えていますか~? あの付近から向こう岸に移る方法があります、まずはそこまで行きましょう」
この前って、あんな所からか?
いや、今はどのみちハーモニーを信じるしかないな。
俺達はまだしばらく馬車を走らせ、この前休憩した場所へと向かった──。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「──確か、この辺りだったよな?」
綺麗に片付けてあるとはいえ、休憩を取っていた名残がいくらか残っている。
まずここで間違いないだろう。
「カナデさん、何か棒の様な物をお借りできないでしょうか?」
唐突にそう言ったハーモニーに、マジックバックから木の棒を取り出し渡すと「ありがとうございます~」と言いながら馬車を降りた。
そして、棒を地面付け一足先へと歩いて行く。──あれで何が分かるのだろうか……。
……なんか、小さな子供が砂地に落書きをしているみたいだな?
「──カナデさん~! こちらにお願いします~」
「は、はい!?」
考えがバレた! ……訳ではないか?
俺は馬車の手綱を握り、ハーモニーの元へと走らせた。
そして、すぐ隣まで行くとハーモニーは御者席に乗り込む。
「ここから……正面に見えるあの高い木に向かって馬車を走らせます」
ハーモニーが指差す方向を見ると、燃える様な真っ赤な景色の奥に、大きな森がうっすらと見た。
しかしそこへと続く道はなく、目の前には夕焼けを写し出す湖しかない。
「ちょっと待ってくれ、この先は湖だぞ? 馬車で行くなんて……」
「大丈夫です。今通れる様にエルフのおまじないを掛けますね……。カナデさん、目を閉じてください」
なるほど……魔法のようなものか?
俺はハーモニーの指示通りに目閉じた。
「それでは、おまじないをかけますね……」
ハーモニーはそれだけ言うと、俺の両肩に手を置いた。耳元で、なにやらブツブツと声が聞こえ、最後に頬に柔らかい何かが触れる。
「……はい、目を開けて頂いて大丈夫ですよ」
え、え~っとハーモニーさん?
今の柔らかい感触はなんだったのでしょうか? もしかしなくても……。
「──さ、さぁ、行きましょう。トゥナさんを……助けるために!」
夕日の為なのか……もしくは別の理由なのかもしれない。
ハーモニーは俺から視線を外し、その頬は紅く染まっているようにも見えた。
そしてその後、手綱を叩く音と共に馬車は湖に向かい動き出したのだった。
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