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第三章 リベラティオへの旅路
第172話 新技完成
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曇天の空から、時折覗かせる明かりが、太陽が少なからず顔を出したことを世界に告げる。
十分すぎる温度の高さも相まって、湿度もかなり高く感じた。
俺は一足先に起き、見張りをトゥナとティアに任せたまま、無銘を片手にミコと共に早朝の訓練を行っている。
「ミコ! 今のはいい感じだ! もう一回いくぞ!」
『わかったカナ!』
ミコとかねてより訓練をしていた成果が今、実を結びかけている。
今日は最終調整のため、無銘を鞘から抜き、実戦さながらの緊張感のもと、稽古を行っているのだ。
斬るか斬られるか、一振り一振り意識しながら緊張感を持つ……。
真剣を抜いた稽古は、一瞬たりとも気を抜く事が許されない──例え今のように汗が滴り落ちようとも。
無銘の切っ先が、空に淡く白い斬撃を残す度に汗は飛び散り、地面を濡らす。
「よし、上々だ!」
最後の一振りを終え、無銘を鞘に納めていく……。
そして、収まりきったところで、疲労のためか? 俺は、その場に座り込んだ。
すると、いつものように、ミコが無銘から姿を現した。
「何とか、形になったな。これなら実戦でも使えそうだ」
「カナデ、偉そうにしてるけど、今回も大変なのボクだけじゃないカナ?」
「そんなことは無いだろ。俺も魔力を持ってかれて、ヘトヘトなんだぞ? 無銘も振ってるしな」
何はともあれ、新技は完成だ。
疲れるから使わないに越したことが無いが、今までのここともある……用心は必要だからな。
「カ、カナデさん~……お、お食事の準備が出来ました~」
今しがた、俺に朝食の知らせに来たハーモニーの様子がおかしい。
もしかしたら、昨晩の事をまだ引きずっているのだろうか?
「おはよう、ハーモニー。今い行くけど、それより……」
俺は、彼女を元気付けようと、ハーモニーに近づく。
しかし、彼女は何故か少しずつ距離を取り、終いには両手で顔を覆ってしまうのだ。
「なぁ、どうしたんだよ? 昨晩の事なら、全然怒ってないぞ?」
ハーモニーとの距離が徐々に縮まる。
俺の声を聞き安心したのだろうか? 手の、指の間から此方を覗いている様だ。
「ふっ……ふっ……ふく……」
「ふく……? あぁ~汗を拭いた方が良いって事か?」
ハーモニも気遣ってくれたのか。確かに、これだけ暑くても風邪を引くかも知れないからな?
「違いますよ~服! 服着て下さい~!」
そう言えば、暑くて上を脱いだまま訓練してたな。
上半身裸なだけなのに、そんなに照れることは無いだろうに……。
俺は恥ずかしがる彼女に、あえてそのままの姿で近づいて行く。──指の隙間から覗いているってことは、満更でもないだろう? ふっふっふ、見せつけてやろうじゃないか!
しかし、その判断は大いに間違いであった。
「──カナデさんの、変態~!」
叫びながら彼女が振るった平手は──バチン! っと見事な音と共に、俺の胸元に一枚の紅葉を咲かせることになったのだ。
俺はその場でしゃがみこみ、後悔に苛まれながらも悶絶する事となった……。──か、か、からかわなければよかった。
「い、痛そうかカナ……でも、カナデが悪いシ」
ごもっともだ。
反論の余地が、どこにも存在しないじゃないか。
結局この後、大人しく上のシャツと甚平を着て、ハーモニーと共に、温かな食事の待つ皆のところへ戻ったのだ。
「お帰りなさい、カナデ君、ハーモニー。あら? ハーモニー顔が赤いわよ、熱でもあるんじゃないの?」
戻ると早々に、ハーモニーの異変に気付くトゥナ。──そこはそっとしてやってくれ、じゃないと俺にもう一枚紅葉が増えてしまう……。
「な、何でもないですよ? 暑いからですかね?」と、料理が準備されている席の前に着くハーモニー。──良かった、何とか俺の胸元が紅葉せずに済みそうだ。
「早めに食事を取っていただき、直ぐに出発しましょうか? 先ほど、叫び声のようなものと、人魂らしきものを目撃したので……」
深刻そうな面持ちで俺達に話しかけるティア。
叫び声の犯人は恐らくハーモニーだろう……。
人魂に関しては……身に覚えがないな?
トレントみたいな魔物がいるんだ、もしかしたらこの世界には幽霊みたいなものも実在していてもおかしくない。
「確かに雨も降りそうだし、なるべく早く着きたいですね? 分かりました、急いで食べて準備をしましょうか?」
俺の言葉の後、早々に食事を取り夜営の片付けを始めた。
今回出た、焚き火の灰は細かく潰し、俺は動かなくなったトレントの周りに薄く撒いていく。
これで草木が生えてくるとは思わないが、草木灰として撒けば、ほんの少しでもトレントの供養になるかと思ったのだ。
「じゃぁ、準備も出来たし出発しようか?」
俺達エルピスは、鳥カゴを抱えた動かないトレントを後に、次の目的地に再度出発するのであった。
十分すぎる温度の高さも相まって、湿度もかなり高く感じた。
俺は一足先に起き、見張りをトゥナとティアに任せたまま、無銘を片手にミコと共に早朝の訓練を行っている。
「ミコ! 今のはいい感じだ! もう一回いくぞ!」
『わかったカナ!』
ミコとかねてより訓練をしていた成果が今、実を結びかけている。
今日は最終調整のため、無銘を鞘から抜き、実戦さながらの緊張感のもと、稽古を行っているのだ。
斬るか斬られるか、一振り一振り意識しながら緊張感を持つ……。
真剣を抜いた稽古は、一瞬たりとも気を抜く事が許されない──例え今のように汗が滴り落ちようとも。
無銘の切っ先が、空に淡く白い斬撃を残す度に汗は飛び散り、地面を濡らす。
「よし、上々だ!」
最後の一振りを終え、無銘を鞘に納めていく……。
そして、収まりきったところで、疲労のためか? 俺は、その場に座り込んだ。
すると、いつものように、ミコが無銘から姿を現した。
「何とか、形になったな。これなら実戦でも使えそうだ」
「カナデ、偉そうにしてるけど、今回も大変なのボクだけじゃないカナ?」
「そんなことは無いだろ。俺も魔力を持ってかれて、ヘトヘトなんだぞ? 無銘も振ってるしな」
何はともあれ、新技は完成だ。
疲れるから使わないに越したことが無いが、今までのここともある……用心は必要だからな。
「カ、カナデさん~……お、お食事の準備が出来ました~」
今しがた、俺に朝食の知らせに来たハーモニーの様子がおかしい。
もしかしたら、昨晩の事をまだ引きずっているのだろうか?
「おはよう、ハーモニー。今い行くけど、それより……」
俺は、彼女を元気付けようと、ハーモニーに近づく。
しかし、彼女は何故か少しずつ距離を取り、終いには両手で顔を覆ってしまうのだ。
「なぁ、どうしたんだよ? 昨晩の事なら、全然怒ってないぞ?」
ハーモニーとの距離が徐々に縮まる。
俺の声を聞き安心したのだろうか? 手の、指の間から此方を覗いている様だ。
「ふっ……ふっ……ふく……」
「ふく……? あぁ~汗を拭いた方が良いって事か?」
ハーモニも気遣ってくれたのか。確かに、これだけ暑くても風邪を引くかも知れないからな?
「違いますよ~服! 服着て下さい~!」
そう言えば、暑くて上を脱いだまま訓練してたな。
上半身裸なだけなのに、そんなに照れることは無いだろうに……。
俺は恥ずかしがる彼女に、あえてそのままの姿で近づいて行く。──指の隙間から覗いているってことは、満更でもないだろう? ふっふっふ、見せつけてやろうじゃないか!
しかし、その判断は大いに間違いであった。
「──カナデさんの、変態~!」
叫びながら彼女が振るった平手は──バチン! っと見事な音と共に、俺の胸元に一枚の紅葉を咲かせることになったのだ。
俺はその場でしゃがみこみ、後悔に苛まれながらも悶絶する事となった……。──か、か、からかわなければよかった。
「い、痛そうかカナ……でも、カナデが悪いシ」
ごもっともだ。
反論の余地が、どこにも存在しないじゃないか。
結局この後、大人しく上のシャツと甚平を着て、ハーモニーと共に、温かな食事の待つ皆のところへ戻ったのだ。
「お帰りなさい、カナデ君、ハーモニー。あら? ハーモニー顔が赤いわよ、熱でもあるんじゃないの?」
戻ると早々に、ハーモニーの異変に気付くトゥナ。──そこはそっとしてやってくれ、じゃないと俺にもう一枚紅葉が増えてしまう……。
「な、何でもないですよ? 暑いからですかね?」と、料理が準備されている席の前に着くハーモニー。──良かった、何とか俺の胸元が紅葉せずに済みそうだ。
「早めに食事を取っていただき、直ぐに出発しましょうか? 先ほど、叫び声のようなものと、人魂らしきものを目撃したので……」
深刻そうな面持ちで俺達に話しかけるティア。
叫び声の犯人は恐らくハーモニーだろう……。
人魂に関しては……身に覚えがないな?
トレントみたいな魔物がいるんだ、もしかしたらこの世界には幽霊みたいなものも実在していてもおかしくない。
「確かに雨も降りそうだし、なるべく早く着きたいですね? 分かりました、急いで食べて準備をしましょうか?」
俺の言葉の後、早々に食事を取り夜営の片付けを始めた。
今回出た、焚き火の灰は細かく潰し、俺は動かなくなったトレントの周りに薄く撒いていく。
これで草木が生えてくるとは思わないが、草木灰として撒けば、ほんの少しでもトレントの供養になるかと思ったのだ。
「じゃぁ、準備も出来たし出発しようか?」
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