異世界に降り立った刀匠の孫─真打─

リゥル

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第三章 リベラティオへの旅路

第171話 いい話?

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 トレントとの戦いが終わり、俺達は焚き火を囲い込み、各々好きなことをしている。
 そんな中、俺は絶賛大忙しなのだ!

「カナデ君……それは何をしているの?」

「ん、見てわからないか?」

 トゥナは、俺の作っている物が分からないようなので、彼女にも良く見えるよう、手にもって前に突き出して見せた。

「──鳥小屋だよ」

「そうね、鳥小屋ね……それは分かってるわ、なぜ作っているかが知りたいの」

 いつものポーズであきれて見せるトゥナ。──なるほど、それが知りたいのか。う~ん……理由が少し照れ臭いんだよな。

「いやな、何か少しトレントが可哀想だな、って思って……。そいつはこんな寂れた大地でも、きっと木々を守ってたつもりだったんだろ?」
 
 俺は鳥小屋を持ち、トレントの下に歩いて行った。

 トレントの幹の上の方は、俺が伐採して鳥小屋の材料にしてしまったが、美女が描かれた部分は残しておいた。──流石に伐採できるわけないよな。

 その美女の腹部辺りに、作りたての鳥小屋を取り付けて……よし、完成だ!
 それだけ行うと、俺は焚き火の近くに戻った。

「この大地じゃ……難しいかもしれないけどさ? もし、あの巣に鳥が住めば。動かなくなったあの番人も、きっと寂しく無いと思うんだ」

 俺は哀愁あいしゅう漂う空気を演出し、火が絶えないよう、薪をくべていく。──よし! 渋く決まったはずだ!

「カナデ様……」

 ほら見みろ、あのティアが言葉を失くしているぞ!?
 リーダーとしての威厳が上がったったんじゃないか、これ。

 ティアは赤々と燃えるほのおを指差し、俺に話しかけた。

「トレントの一部を、薪にしながら言われても、全然いい話に聞こえないのですが……」

 あれ、おかしいな? いい話をしたつもりだったのに……。何がいけなかったのだろうか?

 今の話を聞き、笑い転げるルーム。──喜んでいただいてなによりです。

 そんな楽しい会話の中、申し訳なさそうな面持ちでハーモニーが俺の近くにやって来た。

「カナデさん。忙しいところ凝縮なのですが……。少しよろしいですか~?」

「どうしたんだよ、そんなに改まって? 子供らしくないじゃないか!」

 しかし、定番の冗談にもハーモニーは全く反応しない。──な、何だよ。調子狂うな……。

「あ、あのですね? 大変申し訳ないんですが……」

 何かあったのだろうか? 指を擦り合わせながらも、中々の用件を口にしない。

「どうしたんだよ、俺達の仲じゃないか。気軽に何でも話してくれよ」

 俺の言葉に、ホッ胸を撫で下ろし笑顔を見せるハーモニー。──やっぱり、チビッ子は笑顔でないとな?

「そうですよね……私達の仲、ですよね~?」

 そう言いながら、背後からなにかを取り出すハーモニー。出された物を見て、俺は驚愕きょうがくするのであった。

「──あぁぁ!」

「な、何よカナデ君……大声出して」

 こ、これが叫ばずにいられるかよ、由々しき事態だぞ!
 俺は、ハーモニーが手に持っている物を指さし、答えた。

「これだよ、これ! 使用して一回でこんなにボロボロになっちゃって……」

 ハーモニーが持っていたのは、彼女がユグドラシルと名付けたジャマダハル、その持ち手から刃の部分だ。
 その刃先を見ると、なんと所々刃が欠けている……。

 考えてもみれば当然だろう。縦に斬るための道具を、横回転で回しながら、ドリルの様に使ったのだから……。むしろ、刃が折れなかったのが儲けものであろう。

「ご、ごめんなさい! 私、カナデさんからいただいた大切なこの子と、共に成長していくつもりだったんですよ? 大事に、大事にするつもりだったのです~……」

 ハーモニーのエルフ耳が、力なく垂れ下がっている。
 最初から分かってはいるが、わざとではないようだ。

「分かった、もういいよ。なんとか直りそうだしな。ただ、もうあのグルグルは緊急時以外使用禁止だ! いつ折れてもおかしくないんだからな」


 結局今晩は刃、俺とハーモニーが先に夜の番にしてもらった。
 この後ハーモニーが見守る中、涙ながらにユグドラシルを研ぐのであった……。
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