最弱王子なのに辺境領地の再建任されました!?無気力領主と貧困村を救ったら、いつの間にか国政の中心になってた件について~

空月そらら

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1章

第46話 失敗したのか? デリク視点

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 「失敗した、だと……?」

 僕の震える声が執務室に響く。

 部下が震えながら報告書を差し出すのを、僕は乱暴に引ったくった。

 その中には、あり得ない文字が並んでいた。

 リエルを狙った刺客はやられたとの事。

「なぜだ! どうして成功しなかった!? お前たち、一体何をやっていたんだ!」

 僕は報告書を机に叩きつけた。

 紙がふわりと舞い、床に散らばる。

 部下たちは頭を下げたまま、返答すらできない。

「これじゃ僕が馬鹿みたいじゃないか……くそっ!」

 僕は苛立ち紛れに椅子を蹴り倒した。

 重たい音が執務室に響き、僕の胸の奥に渦巻く怒りがさらに膨れ上がる。

 リエルが笑っている顔が、頭に浮かんでは消えた。

 あいつが、勝ち誇った顔で僕を見下す光景が、脳裏を離れない。

「こんなことでは終わらない……まだ、まだ方法はあるはずだ」

 リエルの成功と、僕の失敗。

 それだけでも十分に屈辱的だというのに、追い打ちをかけるように領地の評判は下がる一方だった。

 民からは「税が重い」と不満が噴出し、商人たちは「この領地では利益が出ない」と去っていく。

 助けを求めた貴族仲間からは、冷ややかな視線を向けられるばかりだった。

 僕は、この状況を打破するために、最後の手段に出ることにした。

「商会だ……信頼のおける商会に頼めば、きっと状況は変わる」

 僕はそう自分に言い聞かせ、王都で名の知れた商会に接触する準備を進めた。

 その商会は財力と影響力が大きく、彼らと契約を結べば、僕の領地の立て直しも可能になるはずだ。

 ★

 そして数日後、僕はその商会の代表者を執務室に招き入れた。

 威厳を保とうと、堂々と椅子に座り、相手を迎え入れる。

「やあ、来てくれて感謝する。君たちの商会には、ぜひとも力を貸してもらいたい」

 そう切り出した僕の言葉に、商会の代表者は一瞬だけ眉をひそめた。

 そして、申し訳なさそうな顔でこう言った。

「申し訳ありません、第二王子殿下。我々はすでに、第五王子リエル殿下と専属契約を結んでおります」

「……は?」

 その言葉が耳に届いた瞬間、僕の頭が真っ白になった。

 理解するのに数秒を要したが、ようやく意味を把握したとき、怒りが全身を駆け巡った。

「リエルだと……? 何故だ! 何故あいつなんかと契約を結んだ!」

 僕は机を叩き、立ち上がった。相手の表情がわずかに引きつるのが分かったが、それでも言葉は止まらなかった。

「僕の方が力がある! リエルなんかよりも、ずっと、ずっと王位に近い存在だ! なぜ僕を選ばない!?」

「リエル殿下の領地運営は非常に安定しており、我々にとっても利益が大きいのです。それに……」

「それに?」

 僕が問い返すと、商会の代表者は小さなため息をつきながら言葉を続けた。

「率直に申し上げますが、殿下の領地運営は現状、非常に難しい状況にあります。民からの支持を失い、商人たちも次々と撤退していると聞いております。我々が契約するメリットは、正直なところ――」

「黙れ! もういい、下がれ!」

 僕はその場で相手を怒鳴りつけ、執務室から追い出した。

 ドアが閉まる音とともに、沈黙が訪れる。

 僕は拳を握り締め、机に突っ伏した。

 リエルの影が、またしても僕を追い詰めている。

「リエル……リエルめ……!」

 苛立ちを抑えきれず、僕は近くに控えていた部下たちに怒りの矛先を向けた。

「お前たちの働きが悪いからだ! もっと早く商会と交渉していれば、こんなことにはならなかったんだ!」

「ですが殿下、それは――」

「言い訳をするな! 無能どもが!」

 僕の怒鳴り声に、部下たちは一様に顔をしかめた。

 それでも彼らは口を開かない。

 どれほど罵られても、黙ってそれを受け入れるしかないのだ。

 しかし、僕にはそんな部下たちの態度すらも気に食わなかった。

 自分の思い通りにならない現実が、すべて憎かった。

「次こそ、次こそはリエルを叩き潰してやる……!」

 僕はそう呟きながら、自らの怒りと焦りに飲み込まれていった。
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