最弱王子なのに辺境領地の再建任されました!?無気力領主と貧困村を救ったら、いつの間にか国政の中心になってた件について~

空月そらら

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1章

第41話 リエルを暗殺 デリク視点

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「リエル殿下の領地運営は非常に順調だそうです」

 家臣の報告が耳に入るや否や、僕の握った拳が震えた。

 執務室の空気が一気に重くなる。

 僕は報告書の山に目もくれず、苛立ちを押し殺すように低く呟く。

「……順調、だと?」

「はい。住民たちの支持も得ており、商人たちとの取引も活発に進んでいるとのことです。特に農地の改革が功を奏したらしく、領地全体が活気づいている模様です」

 報告を続ける家臣の声が、耳障りで仕方なかった。

 その言葉の一つひとつが、僕の中でくすぶっていた怒りに火をつける。

 なぜだ。なぜ、あいつが成功している? 本来ならばリエルは序盤で退場する運命のキャラクターだ。

 あの出来損ないが、どうしてここまで存在感を増しているのか。

 僕の頭に浮かぶのは、彼の薄ら笑いと、その後ろに控える巨大な魔狼の姿だった。

 原作ではあり得ないはずの展開が、現実となっている。

 まるでこの世界が、リエルを中心に回り始めているような錯覚さえ覚える。

「それから、リエル殿下は数日間、王都に滞在されるとのことです」

 家臣の次の報告に、僕の動きが止まった。

 王都に滞在――つまり、リエルは今、手薄な状態にあるということか。

 領地を離れた以上、守りは弱まっているはずだ。

 僕はふと、窓の外を見やる。

 遠くに見える王都の景色が、まるで獲物を狙う狼のように、僕を誘っているように思えた。

 これが機会だ。

 あいつを排除する絶好のチャンス。

 僕は口元に笑みを浮かべ、家臣たちに向き直った。

「リエルが王都に来るのなら、こちらも手を打つべきだろう」

「殿下……それは、一体どういう意味で?」

 家臣たちは、僕の言葉の真意を図りかねている様子だった。

 しかし、僕にはすでに決意があった。

 あいつが存在する限り、この世界は僕のものにならない。

 それを変えるには――。

「リエルが王都から帰る際、その馬車を狙う刺客を送り込む」

 僕の口から出たその一言に、部屋の空気が凍りついた。

 家臣たちが顔を見合わせ、明らかに困惑と恐怖を滲ませている。

「で、殿下……それは少々危険では? もし失敗すれば、我々が疑われる可能性も――」

「黙れ!」

 僕の怒声が響き渡り、家臣たちの声を封じた。

 彼らの怯えた顔に一瞬だけ罪悪感を覚えたが、それを押し殺す。

「お前たち、分からないのか? リエルをこのまま放置すれば、奴はさらに力をつけ、いずれ僕の脅威となる! そうなる前に、排除する以外に道はない!」

「しかし……」

「ばれたらまずい? そんなことは承知の上だ! だが、この機会を逃せば、リエルはさらに強くなり、僕の手に負えなくなる! 失敗が怖いのなら、このまま何もしないで終わる方が、よほど怖いだろう!」

 家臣たちは、それ以上何も言わなかった。

 僕の目を見れば、引き下がる余地がないことを理解したのだろう。

「刺客には、腕利きの者を用意しろ。リエルの動向を監視し、王都から出るタイミングを狙え。馬車を降りた瞬間がチャンスだ」

 僕は冷静に指示を出す。

 心の中で高鳴る鼓動を抑えつつ、完璧な計画を描いていく。

 この手でリエルを消し去れば、すべてが元に戻る。

 僕こそが、この世界の主人公にふさわしい存在なのだ。

「リエルにはもう二度と、僕の前に現れる余地を与えない」

 その言葉を最後に、家臣たちは頭を下げ、執務室を後にした。

 僕は深く息をつきながら椅子に腰掛ける。

 計画が成功するかどうかは分からない。

 だが、このまま何もしないでいるわけにはいかないのだ。

 リエル――お前の運命は、ここで終わりだ。
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