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新興宗教の奇天烈乱舞
ひとくいおにのたたかい
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「…だがよ、敵性意思がこちらに2人向かってきている。片方はババァで片方がジジィ。山下ァ、お前はくたばり損ないのくそババァをやっつけろ。」
彼が知らせることに間違いはない。優希は長い溜息をついた。
「このタイミングで最高幹部が出てくるなんて時間稼ぎとしか思えないわね。」
「そりゃそうだ。大方教祖様が金の延べ棒を抱えて逃げようとしてんだろ。公正に向けたのはデコイだろうし、俺らに向けられたのも…。」
口径9mmのオートマチックピストルの安全装置を解除して、化学物質によって構成された羽根の電源を1度シャットダウンする。ほんの刹那だけ彼の目は妖しく赤くなり、照準の先に立つ男に弾が必中したのだった。
「当然おとりだ。そして…一瞬で片付けねェと、厄介なことになる。相手は科学技術によって作られた人喰い鬼もどき。人間並みの知能に底知れない体力。姿形をいくらでも変えられ、人肉を喰い続ければ損傷を回復させるし、端的に言ってしまえば…。」
獰猛な動物のように間合いを詰められる。それを予測していたように、イリイチは再び羽根を出し、暴れ果てる鷲の羽根が若返った老人の胴体を突き刺す。それをものともせずに立ちあがる老人には、イリイチも苦笑いを浮かべるしかない。
「強いってことだ。山下、お前俺を眺めてる場合じゃあないぞ?…ほら。」
あっという間。その言葉が胸に刺さるように、突如として現れた、またもや若返った老婆であろう女に、頬が焼けるような拳を貰ってしまう。鼻血を垂らしながらも、殴られたことにより冷静となったのか、次に向かってくる肘打ちには超能力を込めた受け身で対応を加える。しかし、肘が冷凍状態になっても物怖じする気配はないようだ。
戦闘能力を持たないサラを庇いながらイリイチは単調な攻撃の連鎖を避けつつ、隙を狙って攻撃を与える。握り拳と握り拳がぶつかれば、純粋な肉体力の差でイリイチは分が悪い。
「っクソ!右手が折れちまった!」
優希の方に注意を向けると、殆ど同じ状態であった。反応出来る攻撃には、即座に冷気量を変換することで凍傷状態を起こすことが出来るものの、僅かにでも反応が遅れてしまえば、無慈悲な暴力の前に顔や身体の1部が歪んでしまう。
「っっ!化け物めっ!」
淘汰、人間は長い歴史の中で不要となった物を捨てて行った。
自分のために、家族のために、誰かのために。国のために。未来のために。
そうして淘汰された老人たちを、若い人間は見向きもしないのだろう。
彼らは捨て去られた。かつての姥捨山のように。
日本への恨み。若さへの嫉妬。そして無限に生きるという渇望。
その成れの果てが人喰い鬼として、人肉を喰らいながら永遠の生命を手に入れることであり、死という絶対法則に対する唯一の外法である。
「最後の抵抗だ!三途の川の渡り方が分からねェなら地の果てまで落っこちろよくたばり損ないのクソ老人どもがよォ!」
金鷲がイリイチを纏い、目は朱に染まった。放射体が赤くなると、それに呼応するように人喰い鬼もまた、覚悟を決めるのだった。
彼が知らせることに間違いはない。優希は長い溜息をついた。
「このタイミングで最高幹部が出てくるなんて時間稼ぎとしか思えないわね。」
「そりゃそうだ。大方教祖様が金の延べ棒を抱えて逃げようとしてんだろ。公正に向けたのはデコイだろうし、俺らに向けられたのも…。」
口径9mmのオートマチックピストルの安全装置を解除して、化学物質によって構成された羽根の電源を1度シャットダウンする。ほんの刹那だけ彼の目は妖しく赤くなり、照準の先に立つ男に弾が必中したのだった。
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「強いってことだ。山下、お前俺を眺めてる場合じゃあないぞ?…ほら。」
あっという間。その言葉が胸に刺さるように、突如として現れた、またもや若返った老婆であろう女に、頬が焼けるような拳を貰ってしまう。鼻血を垂らしながらも、殴られたことにより冷静となったのか、次に向かってくる肘打ちには超能力を込めた受け身で対応を加える。しかし、肘が冷凍状態になっても物怖じする気配はないようだ。
戦闘能力を持たないサラを庇いながらイリイチは単調な攻撃の連鎖を避けつつ、隙を狙って攻撃を与える。握り拳と握り拳がぶつかれば、純粋な肉体力の差でイリイチは分が悪い。
「っクソ!右手が折れちまった!」
優希の方に注意を向けると、殆ど同じ状態であった。反応出来る攻撃には、即座に冷気量を変換することで凍傷状態を起こすことが出来るものの、僅かにでも反応が遅れてしまえば、無慈悲な暴力の前に顔や身体の1部が歪んでしまう。
「っっ!化け物めっ!」
淘汰、人間は長い歴史の中で不要となった物を捨てて行った。
自分のために、家族のために、誰かのために。国のために。未来のために。
そうして淘汰された老人たちを、若い人間は見向きもしないのだろう。
彼らは捨て去られた。かつての姥捨山のように。
日本への恨み。若さへの嫉妬。そして無限に生きるという渇望。
その成れの果てが人喰い鬼として、人肉を喰らいながら永遠の生命を手に入れることであり、死という絶対法則に対する唯一の外法である。
「最後の抵抗だ!三途の川の渡り方が分からねェなら地の果てまで落っこちろよくたばり損ないのクソ老人どもがよォ!」
金鷲がイリイチを纏い、目は朱に染まった。放射体が赤くなると、それに呼応するように人喰い鬼もまた、覚悟を決めるのだった。
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