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8.内緒の話
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「…ごめんね。急に。訪問なんかしちゃって。」
「いえ……」
マリス第二皇子は椅子に座りながら手を組み、私と向き合う。私も彼と、一メートルくらい離れて、椅子に座り、対峙した。
「俺は、アリーゼより先に君とお話したかったんだ。まさか、アリーゼもここに来た一発目にシルバー王女と話すなんて思いもしないだろうと思って」
「アリーゼ第一皇子様より先に…?」
彼がアリーゼ第一皇子の事を話始めたので、私はそれに注意深く聞く。
少女漫画では彼とアリーゼは仲が悪い。だけど、その詳細については、漫画ではあまり語られていなかった。その理由についても、聞けるのだろうか。君に有用な情報を教えてあげるとか言ってたし。
「…もしかして、その事も聞けますの?何か、貴方と彼は仲が悪いようなそんな印象を受けましたわ」
私はそのことを言ってみると、うん勿論と言った。はっきり言及したのに、特に嫌がるような顔をせず当然みたいな表情をして、少し戸惑ったけど、私は彼の話を聞く事にする。
「まず、俺は君と婚約したい。その事を始めに伝えておきたいと思ってね。だから、それを、真剣に考えて欲しいんだ」
「ええ…勿論承知していますわ」
「ま、即位は20歳になるからそれまでって事なんだけど…。何故って言うのは勿論俺が王になりたいからだよ。それに……実は、アリーゼはね、とても真面目で優しい!って巷じゃ評判けど、中はもう真っ黒。自分の気に入らない集団はさ、とにかく容赦ないんだよ」
「へえ……」
その話は、少女漫画で見ていた時に、聞いたことはある。アリーゼ・スプレッドは、とにかく軍事関係で遠征によく行き、集団で攻めて来る蛮族などの相手をしていた。
その際、その、集団国家を潰し、神聖カリーテナ帝国に捕虜として捕まえては帰って来ていた。少女漫画でそれが判明するのは、それを、ミュウ皇女が聞き、アリーゼに酷いと反抗する場面があるからだ。彼女曰く、その民族の文化を潰すのは良くない事だと。その事に、「よくわかっていないのに、国の事に口を挟むな」と、喧嘩になり、元々扱いを良くしていなかったミュウ皇女と、更に亀裂が入っていくというシーンがある。
「怖くなった?でもね…。本当に大人しくしておけば、ちゃんと優しいお兄様だから安心して…。まあだからこそさ、俺も警戒されているんだよね…」
「そういうことなんですの……」
「だから、アリーゼより俺の方が良いよっていう誘いみたいなやつだよ。シルバー王女」
ニコニコと笑いながら言うマリス第二皇子。それで、ああそうか。彼は、私にかまを、かけに来たんだなという事に気付いた。だって目が死んでるし…。
私がどうするかの反応を見に、部屋に訪れた感じなのかな。
アリーゼ第一皇子のマリス第二皇子の関係をどうするかなんて。私の、彼への答えは、勿論こうだ。
「…ええ。有難うございますわ。でも、私、何となくアリーゼ第一皇子様の事はわかりましたが、私はまだ彼ときちんとお話を、してはいませんし、それを聞いて、ええ。ではマリス皇子様の、婚約者になります。とは、中々縦に首を振れませんわ…。だけど…」
私は微笑し、彼の方へ向く。
「決定権は私にあると…貴方のお話で、その事がよく理解しましたわ」
すると、マリス第二皇子はそれを言った瞬間、眉間に一瞬だけ皺を寄せた。
私はそのままずっと彼の方を見ていた。
気が乗らない訪問だったけど、割と自分の方が立場を上に見て貰えていると知って、私はこれは良い話合い場だなと思った。
彼は無表情になるが、腹を押さえ、…っく。あはは!と笑いだした。
「…ふふ。面白いね。君。やっぱ一筋縄じゃいかないか」
「そりゃあ、ミルシルド大国の人間ですもの。思惑や策略に過敏ですわ」
「はー。もう少し怖がって、それで、俺に靡いてくれると思ったんだけどそうでもないんだね」
やっぱり、自分を騙そうと思って来たのか。そう思っていると、彼は私の考えに気づいたようでああ。違う。違うと弁明した。
「でも、アリーゼがそうなのは本当なんだよ。別に騙すつもりはさらさらないよ」
「…じゃあ、それで、仲が悪いのも本当なのですか」
「んー…そうかもね。他にも色々あるけど、単に俺があいつの事気に入らないだけだよ。色々と煩いしね」
「はあ…」
やはり、マリス第二王子は気まぐれが激しい人物なのかな…?それだから、私、彼に対して警戒してしまうのだけど。
「ま、だから、ミルシルド大国の力が欲しいなっていうのが本心」
「周りくどいことおっしゃられないでそう言えば宜しいものの。わたくし、ストレートで物事言ってくれる人がタイプですわ」
そうすると、キョトンと気の抜けた顔したので、私は顔をフンっと横に背けた。
「遠回しにマリス第二皇子様は好きじゃないと言ってますの。今の時点ではね」
「そりゃ参ったね…。説得しようとしたのに寧ろ嫌われちゃったのか。俺」
…割と真剣に落ち込んでるようで、腕を組み悩んでいた。…彼は本当にわからない人だけど、こんな風な表情をする人なのか。と彼のギャップを感じた。
「因みにミュウ皇女はどうなんですの。アリーゼ皇子様と同じで?」
「別に、ミュウの事は対して気にしていないけど。まあ、少しだけ警戒はしてるかな。でも、ふつうに可愛い妹だよ。」
「そうなんですのね…」
ニコニコ笑いながら、その事を言うマリス第二皇子。しかし、でもね。と付けたし、
「俺よりアリーゼはミュウの事を警戒していると思う。」
「それは何故ですの?」
「詳しくは本人に聞くと良いよ。君だったら、教えてくれるでしょう。アリーゼなら」
先程のようにニコニコ笑いながら、頑張ってって言われる。…まあ、マリス第二皇子には靡かないって思われたから、私がアリーゼ第一皇子の元にも行くことを悟ったのだろう。
「まあ、それでも俺は君の事を諦めないよ。だから、覚悟しといてね」
「はい…」
「ま、それもあったけど、これも渡そうかと思っていてね」
すると、懐から白い封筒を取り出しそれを私にあげる。これは?と聞くと招待状と説明した。
「俺、君との親交を深めたいと思ってて。催しものでも連れて行こうと思っているの。アリーゼには内緒でね」
「催し物…?」
「色々とね、歳が近い、諸侯の息子とかが来てパーティーとか開くんだ。いやー楽しいよ?色々な愚痴とか聞けるし」
くくくと、何かを思い出しながら、咽を鳴らすマリス第二皇子。
パーティ…。それで、私はピーんと何かを思い出した。これ、もしかして、ミュウ皇女の婚約者を決める為の重要な出来事じゃなくて?
ミュウ皇女の婚約者を決める時、マリス第二皇子とシルバー王女に誘われてミュウ皇女はパーティに誘われるし…、それに関する事なのかも。
「一週間後、だけど。どうする?」
「勿論行きますわ」
「うんそれは良かった」
じゃあ、楽しみにしててェと、あの緩い言葉で話し掛けられた。
それに私はもう終わりかと気が抜けて、少しだけ、椅子に脱落した感じになる。それにマリス第二皇子は気づいたようで、
「ああ、疲れちゃった?ごめんね今日は。本当に有り難とォ。後で侍女にゆったり出来るようにしてって言っておくよ」
「いえ…でも、マリス第二皇子様は、いらっしゃらないの?他に心を寄せる方とか。」
「別にィ…てか、そんな事言って、本当に作ったら君どうするの?立場が弱くなるよ?」
「そうですね……」
「…所詮、王族の恋愛なんてそんなものだよ。家族関係なんてね」
彼はふと、悲しそうに笑う。でも、すぐ戻しあの笑顔で私を見ると、
「ま、でも俺は、そういう事だから」
椅子から立ちあがり、持ってきた所に直してくれると彼は、ドアの前まで歩いていく。それで、私も立ちあがり、彼を見送ると此方を振り返り、それじゃね。と言った。
「考えといてねェ。じゃ、おやすみー」
「ええ。お休みなさいませ良い夢を」
「はーい」
そのままマリス第二皇子は廊下へ出て行った。そして、暫くすると、失礼します。と三つ子の侍女さんも入ってきて、大丈夫ですかと私に気を使ってくれたのでええと返事をした。
「マリス皇子様が、シルバー王女様が疲れていらっしゃる。と言われましたので神聖カリーテナ帝国秘技のマッサージを致しても宜しいでしょうか。」
「あら。それは楽しみだわ有難う。是非」
それをうけベットで、私は横に寝っ転がると、三つ子さん達は準備をしてくださり、マッサージをしてくれた。それは今までの疲れを癒すもので、私はそれで、だんだんと深い眠りについてきた。
やがて、侍女さん達は、色々身支度を済ませると、ではおやすみなさいませ。と言い、部屋の明かりを消した。
私はふと、渡された招待状の事を思い出す。
あの、招待状ではミュウ皇女の婚約者達と会える機会が見えるのだろう。彼ら達は少女漫画で見た感じなのだろうか。それとも、違う感じなのだろうか。
それに、ミュウ皇女を護衛している、ジルも…。彼はこの頃からミュウ皇女の事が好きなのだろうか…?
そんな風に思いながら、目を瞑る。
だけど、何か違和感があるな。と思い、見てみると、自分の手が少しだけ震えていたのに気付いた。
…もしかして、怖かったのかしら。確かに、初めての事ばっかりだし、これからどうなるのかわからないから。でも、私には前世の知識があるじゃない。
―ーーだけど、その前世の知識は、断片的だし、それに、アリーゼ第一皇子や、マリス第二皇子、…ミュウ皇女あの人達の本心が、本当はどんななのかわからないじゃない。
そんな、反論した思いがふと奥の方で響いた。
だけど、それを取り払うように、頭を振り、強引に目を瞑ると、やがて私は、そのまま深い暗闇の中に落ちていった。
「いえ……」
マリス第二皇子は椅子に座りながら手を組み、私と向き合う。私も彼と、一メートルくらい離れて、椅子に座り、対峙した。
「俺は、アリーゼより先に君とお話したかったんだ。まさか、アリーゼもここに来た一発目にシルバー王女と話すなんて思いもしないだろうと思って」
「アリーゼ第一皇子様より先に…?」
彼がアリーゼ第一皇子の事を話始めたので、私はそれに注意深く聞く。
少女漫画では彼とアリーゼは仲が悪い。だけど、その詳細については、漫画ではあまり語られていなかった。その理由についても、聞けるのだろうか。君に有用な情報を教えてあげるとか言ってたし。
「…もしかして、その事も聞けますの?何か、貴方と彼は仲が悪いようなそんな印象を受けましたわ」
私はそのことを言ってみると、うん勿論と言った。はっきり言及したのに、特に嫌がるような顔をせず当然みたいな表情をして、少し戸惑ったけど、私は彼の話を聞く事にする。
「まず、俺は君と婚約したい。その事を始めに伝えておきたいと思ってね。だから、それを、真剣に考えて欲しいんだ」
「ええ…勿論承知していますわ」
「ま、即位は20歳になるからそれまでって事なんだけど…。何故って言うのは勿論俺が王になりたいからだよ。それに……実は、アリーゼはね、とても真面目で優しい!って巷じゃ評判けど、中はもう真っ黒。自分の気に入らない集団はさ、とにかく容赦ないんだよ」
「へえ……」
その話は、少女漫画で見ていた時に、聞いたことはある。アリーゼ・スプレッドは、とにかく軍事関係で遠征によく行き、集団で攻めて来る蛮族などの相手をしていた。
その際、その、集団国家を潰し、神聖カリーテナ帝国に捕虜として捕まえては帰って来ていた。少女漫画でそれが判明するのは、それを、ミュウ皇女が聞き、アリーゼに酷いと反抗する場面があるからだ。彼女曰く、その民族の文化を潰すのは良くない事だと。その事に、「よくわかっていないのに、国の事に口を挟むな」と、喧嘩になり、元々扱いを良くしていなかったミュウ皇女と、更に亀裂が入っていくというシーンがある。
「怖くなった?でもね…。本当に大人しくしておけば、ちゃんと優しいお兄様だから安心して…。まあだからこそさ、俺も警戒されているんだよね…」
「そういうことなんですの……」
「だから、アリーゼより俺の方が良いよっていう誘いみたいなやつだよ。シルバー王女」
ニコニコと笑いながら言うマリス第二皇子。それで、ああそうか。彼は、私にかまを、かけに来たんだなという事に気付いた。だって目が死んでるし…。
私がどうするかの反応を見に、部屋に訪れた感じなのかな。
アリーゼ第一皇子のマリス第二皇子の関係をどうするかなんて。私の、彼への答えは、勿論こうだ。
「…ええ。有難うございますわ。でも、私、何となくアリーゼ第一皇子様の事はわかりましたが、私はまだ彼ときちんとお話を、してはいませんし、それを聞いて、ええ。ではマリス皇子様の、婚約者になります。とは、中々縦に首を振れませんわ…。だけど…」
私は微笑し、彼の方へ向く。
「決定権は私にあると…貴方のお話で、その事がよく理解しましたわ」
すると、マリス第二皇子はそれを言った瞬間、眉間に一瞬だけ皺を寄せた。
私はそのままずっと彼の方を見ていた。
気が乗らない訪問だったけど、割と自分の方が立場を上に見て貰えていると知って、私はこれは良い話合い場だなと思った。
彼は無表情になるが、腹を押さえ、…っく。あはは!と笑いだした。
「…ふふ。面白いね。君。やっぱ一筋縄じゃいかないか」
「そりゃあ、ミルシルド大国の人間ですもの。思惑や策略に過敏ですわ」
「はー。もう少し怖がって、それで、俺に靡いてくれると思ったんだけどそうでもないんだね」
やっぱり、自分を騙そうと思って来たのか。そう思っていると、彼は私の考えに気づいたようでああ。違う。違うと弁明した。
「でも、アリーゼがそうなのは本当なんだよ。別に騙すつもりはさらさらないよ」
「…じゃあ、それで、仲が悪いのも本当なのですか」
「んー…そうかもね。他にも色々あるけど、単に俺があいつの事気に入らないだけだよ。色々と煩いしね」
「はあ…」
やはり、マリス第二王子は気まぐれが激しい人物なのかな…?それだから、私、彼に対して警戒してしまうのだけど。
「ま、だから、ミルシルド大国の力が欲しいなっていうのが本心」
「周りくどいことおっしゃられないでそう言えば宜しいものの。わたくし、ストレートで物事言ってくれる人がタイプですわ」
そうすると、キョトンと気の抜けた顔したので、私は顔をフンっと横に背けた。
「遠回しにマリス第二皇子様は好きじゃないと言ってますの。今の時点ではね」
「そりゃ参ったね…。説得しようとしたのに寧ろ嫌われちゃったのか。俺」
…割と真剣に落ち込んでるようで、腕を組み悩んでいた。…彼は本当にわからない人だけど、こんな風な表情をする人なのか。と彼のギャップを感じた。
「因みにミュウ皇女はどうなんですの。アリーゼ皇子様と同じで?」
「別に、ミュウの事は対して気にしていないけど。まあ、少しだけ警戒はしてるかな。でも、ふつうに可愛い妹だよ。」
「そうなんですのね…」
ニコニコ笑いながら、その事を言うマリス第二皇子。しかし、でもね。と付けたし、
「俺よりアリーゼはミュウの事を警戒していると思う。」
「それは何故ですの?」
「詳しくは本人に聞くと良いよ。君だったら、教えてくれるでしょう。アリーゼなら」
先程のようにニコニコ笑いながら、頑張ってって言われる。…まあ、マリス第二皇子には靡かないって思われたから、私がアリーゼ第一皇子の元にも行くことを悟ったのだろう。
「まあ、それでも俺は君の事を諦めないよ。だから、覚悟しといてね」
「はい…」
「ま、それもあったけど、これも渡そうかと思っていてね」
すると、懐から白い封筒を取り出しそれを私にあげる。これは?と聞くと招待状と説明した。
「俺、君との親交を深めたいと思ってて。催しものでも連れて行こうと思っているの。アリーゼには内緒でね」
「催し物…?」
「色々とね、歳が近い、諸侯の息子とかが来てパーティーとか開くんだ。いやー楽しいよ?色々な愚痴とか聞けるし」
くくくと、何かを思い出しながら、咽を鳴らすマリス第二皇子。
パーティ…。それで、私はピーんと何かを思い出した。これ、もしかして、ミュウ皇女の婚約者を決める為の重要な出来事じゃなくて?
ミュウ皇女の婚約者を決める時、マリス第二皇子とシルバー王女に誘われてミュウ皇女はパーティに誘われるし…、それに関する事なのかも。
「一週間後、だけど。どうする?」
「勿論行きますわ」
「うんそれは良かった」
じゃあ、楽しみにしててェと、あの緩い言葉で話し掛けられた。
それに私はもう終わりかと気が抜けて、少しだけ、椅子に脱落した感じになる。それにマリス第二皇子は気づいたようで、
「ああ、疲れちゃった?ごめんね今日は。本当に有り難とォ。後で侍女にゆったり出来るようにしてって言っておくよ」
「いえ…でも、マリス第二皇子様は、いらっしゃらないの?他に心を寄せる方とか。」
「別にィ…てか、そんな事言って、本当に作ったら君どうするの?立場が弱くなるよ?」
「そうですね……」
「…所詮、王族の恋愛なんてそんなものだよ。家族関係なんてね」
彼はふと、悲しそうに笑う。でも、すぐ戻しあの笑顔で私を見ると、
「ま、でも俺は、そういう事だから」
椅子から立ちあがり、持ってきた所に直してくれると彼は、ドアの前まで歩いていく。それで、私も立ちあがり、彼を見送ると此方を振り返り、それじゃね。と言った。
「考えといてねェ。じゃ、おやすみー」
「ええ。お休みなさいませ良い夢を」
「はーい」
そのままマリス第二皇子は廊下へ出て行った。そして、暫くすると、失礼します。と三つ子の侍女さんも入ってきて、大丈夫ですかと私に気を使ってくれたのでええと返事をした。
「マリス皇子様が、シルバー王女様が疲れていらっしゃる。と言われましたので神聖カリーテナ帝国秘技のマッサージを致しても宜しいでしょうか。」
「あら。それは楽しみだわ有難う。是非」
それをうけベットで、私は横に寝っ転がると、三つ子さん達は準備をしてくださり、マッサージをしてくれた。それは今までの疲れを癒すもので、私はそれで、だんだんと深い眠りについてきた。
やがて、侍女さん達は、色々身支度を済ませると、ではおやすみなさいませ。と言い、部屋の明かりを消した。
私はふと、渡された招待状の事を思い出す。
あの、招待状ではミュウ皇女の婚約者達と会える機会が見えるのだろう。彼ら達は少女漫画で見た感じなのだろうか。それとも、違う感じなのだろうか。
それに、ミュウ皇女を護衛している、ジルも…。彼はこの頃からミュウ皇女の事が好きなのだろうか…?
そんな風に思いながら、目を瞑る。
だけど、何か違和感があるな。と思い、見てみると、自分の手が少しだけ震えていたのに気付いた。
…もしかして、怖かったのかしら。確かに、初めての事ばっかりだし、これからどうなるのかわからないから。でも、私には前世の知識があるじゃない。
―ーーだけど、その前世の知識は、断片的だし、それに、アリーゼ第一皇子や、マリス第二皇子、…ミュウ皇女あの人達の本心が、本当はどんななのかわからないじゃない。
そんな、反論した思いがふと奥の方で響いた。
だけど、それを取り払うように、頭を振り、強引に目を瞑ると、やがて私は、そのまま深い暗闇の中に落ちていった。
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