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碧い目的
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浄視点
明日は多分槍が降ります。皆様頭上にお気を付け下さい。ついでに兎族差別主義者は串刺しになれ。
頭の中で息継ぐ間もなく喋りながら、上司に早退させて欲しい旨と突然の申請の謝罪を並べ、プロジェクトチームに明日の予定を伺い、早急に荷物をまとめて会社を飛び出した。
駅は平日の昼間だから閑散としているし、これなら予定より早く先輩の家に着くことが出来そうだ。
「ちょっと童貞には刺激が強すぎる…っ」
青い起毛のシートに腰を落ち着け、人目がないのを確認してから控えめに頭を抱える。
上半身を倒したことで、自分に正直な息子が視界の中心で存在感を発する。
スーツの硬い生地に押さえつけられて痛いが、もう少しだけ我慢しよう。汗をかいたし準備もない。予備知識は少々あるが、それも朧気だ。
スマホを開き、いざという時のブックマークを活躍させようとした時。
「ティントン」
特別な着信音と滑らかに表示されるコメントに意識を全て持っていかれる。
『お風呂と着替えは貸すよ
だから早く来て』
瞬間移動できねぇかな。マジで。一回自分の家でシャワー浴びてから行こうと思ってたけど、これは直接行くしかない。
取り敢えずコンビニに行ってスキンだな。先輩の最寄りのコンビニは止めとく…いや、先輩に邪な目を向けてる江呂 河児ってコンビニ店員を叩きのめしに行くか?
いや、先輩に飛び火したらマズイし、薬局に買いに行こう。
「よし」
先輩の家は僕の家より手前の駅にあるから、目的地を変えるだけでいい。
程なくして目的の駅に電車が滑り込んだ。降り立つ時の早足をそのままに、人の少ない駅の構内を最短距離で抜け出す。
ここから歩いて15分位で先輩の家に着くから、走れば10分か。
ふと自分を待ち望む先輩の姿が思い浮かび、鼻血を吹きそうになる。
裸体をふかふかの布団に沈み込ませ、持て余す熱で胸元も局部も桃色に染めて、媚びた声を漏らしている…なんてこともあるかもしれない。だって発情期だから!
薬局で買い物を済ませる。店員の気遣いによる黒い袋を自分の縦長カバンの後ろに隠すようにして持つ。
そこからは全力で走った。
住宅街は穏やかで和やかな空気に満ちていて、ご婦人方が路傍で駄弁っていたり、散歩に出ようとするお年寄りがストレッチをしたりしている。
そんな平和な日常の間を走り抜けて卑猥な目的を果たしに行こうとするギャップに、野生の獣のような高揚感が拡がる。
10分程で先輩が住む賃貸の前に着いた。
流石に息切れするな。
「なんかドタバタいってないか?」
鋭くなった聴覚が焦った足音を室内から捉える。
何かあったのか?
「先輩、着きましたよ!」
チャイムが鳴らないのでドアのノックと共に叫んでみると、足音がピタリと止む。
「ちょっと待って!」
電話の時とは違う理性のしっかりしている声がくぐもって聞こえてきた。泥棒が来たとかじゃないんだな。良かった良かった。
準備ができたら呼んでくれるだろう、と扉の横の壁に背中を預け、道の方を見渡す。
入口が大通りから見えない家だから、家を知られたりストーカーされたりしにくいんだろうな。さすが先輩。
多分めちゃくちゃ考えて選んだんだろうなぁ。
先輩の良さを再認識していると、青い扉が大人しめに開いた。
「お待たせしてごめん。どうぞ入って」
「先輩、僕を殺す気ですか」
扉の隙間から見える先輩は、肩から長めのバスタオルを巻き付け上目遣いで自分を見てくる。その上露わになった鎖骨や艶めいた唇、上気した頬と潤んだ瞳を薄暗い玄関で発光させている様はエロすぎる。
「ん?と、特に殺す気はない、よ?」
虚を突かれて固まった後、マジレスを寄越される。
分かってます。
無意識だから怖いんです。
「気にしないで下さい。お邪魔します」
一部たりとも外界に先輩を見せないよう滑り込む。
幸い先輩の身長は僕の首辺りだから覆い隠すことができる。
扉をしっかりと閉め、鍵を掛けてから案内されるままに部屋の奥へ踏み込んだ。
「お洒落な物が多いんですね。でもしっかり片付いてて、凄いです。僕なんか部屋の中ゴッチャゴチャですから」
扉の側に台所が設けられ、スライドドアを隔てて居間がある。
ベッドや棚、机など嵩張るものから有名な観光名所のミニチュアなど小物まで、物は多いのにスッキリと収納されている。
居間の奥はベランダか。
余裕のある一人住まいっぽくて羨ましい。
「片付けは小さい頃から趣味でやってるから。あ、ベッド座っていいよ」
先輩は軽く手でベッドを示すと、台所へ飲み物を用意しに行ってしまう。
「ありがとうございます」
遠慮してベッドの右寄りに浅く座る。
「飲み物、コーヒーと牛乳とヨロナミンCあるけど、どれが良い?」
「…牛乳で」
コーヒーはちょっと手間だろうし、キスするには向かないかもしれないけど牛乳頼ませて貰う。
ヨロナミンCを常備してるタイプの家庭…?
親戚が送ってくるとかだろうか。
「ナミを早く減らしたいんだよね」
「じゃあヨロナミンC飲みます」
本当は飲みたかったのでありがたく乗らせて頂きます。
キュポンッとフタを開ける音がして、開け放したスライドドアから茶色の瓶を両手に持った先輩が現れる。
「どうぞ」
ひんやりしている瓶を手渡され、先輩が僕の真横に座る。
超密着して。
ちょっ、生足がズボンに触れてるんですがご褒美ですか?!
上半身もタオルで隠れてる面積が減って乳首がチラリしてますよ?!
まずい。真横で勃つ訳にはいかない。
落ち着け僕。
「じょー」
「はい!」
下の名前で急に呼ばれて声ひっくり返った…恥ずかしい。
先輩も薄く笑ってるし。
「ヨロナミンCって、じようきょうそう目あてでものむんだって」
先輩は一口飲むと唇をペロリと舐めて、瓶を見ながら呟いた。
滋養強壮って元気が出るってことだったよな。
そうゆう意味…?
先輩の白い足がゆっくりと組まれて、真っ黒の瞳が上目遣いに目線を寄越してくる。
「いっぱい出来るな?」
同時に甘い香りが襲いかかってきて、血液が沸騰したように暴れ回る。
これが噂に聞く兎族のフェロモンか。
好みの香りだけど吸い過ぎたら理性が飛ぶな。
さっさと瓶を片付けるか。
「ご期待に添えるよう尽力します、葉梨先輩」
瓶を逆さに煽り、喉を焼くのも構わず流し込む。
強炭酸と甘ったるい風味で頭が冴えていく。
さて、先輩をどう味わおうか。
明日は多分槍が降ります。皆様頭上にお気を付け下さい。ついでに兎族差別主義者は串刺しになれ。
頭の中で息継ぐ間もなく喋りながら、上司に早退させて欲しい旨と突然の申請の謝罪を並べ、プロジェクトチームに明日の予定を伺い、早急に荷物をまとめて会社を飛び出した。
駅は平日の昼間だから閑散としているし、これなら予定より早く先輩の家に着くことが出来そうだ。
「ちょっと童貞には刺激が強すぎる…っ」
青い起毛のシートに腰を落ち着け、人目がないのを確認してから控えめに頭を抱える。
上半身を倒したことで、自分に正直な息子が視界の中心で存在感を発する。
スーツの硬い生地に押さえつけられて痛いが、もう少しだけ我慢しよう。汗をかいたし準備もない。予備知識は少々あるが、それも朧気だ。
スマホを開き、いざという時のブックマークを活躍させようとした時。
「ティントン」
特別な着信音と滑らかに表示されるコメントに意識を全て持っていかれる。
『お風呂と着替えは貸すよ
だから早く来て』
瞬間移動できねぇかな。マジで。一回自分の家でシャワー浴びてから行こうと思ってたけど、これは直接行くしかない。
取り敢えずコンビニに行ってスキンだな。先輩の最寄りのコンビニは止めとく…いや、先輩に邪な目を向けてる江呂 河児ってコンビニ店員を叩きのめしに行くか?
いや、先輩に飛び火したらマズイし、薬局に買いに行こう。
「よし」
先輩の家は僕の家より手前の駅にあるから、目的地を変えるだけでいい。
程なくして目的の駅に電車が滑り込んだ。降り立つ時の早足をそのままに、人の少ない駅の構内を最短距離で抜け出す。
ここから歩いて15分位で先輩の家に着くから、走れば10分か。
ふと自分を待ち望む先輩の姿が思い浮かび、鼻血を吹きそうになる。
裸体をふかふかの布団に沈み込ませ、持て余す熱で胸元も局部も桃色に染めて、媚びた声を漏らしている…なんてこともあるかもしれない。だって発情期だから!
薬局で買い物を済ませる。店員の気遣いによる黒い袋を自分の縦長カバンの後ろに隠すようにして持つ。
そこからは全力で走った。
住宅街は穏やかで和やかな空気に満ちていて、ご婦人方が路傍で駄弁っていたり、散歩に出ようとするお年寄りがストレッチをしたりしている。
そんな平和な日常の間を走り抜けて卑猥な目的を果たしに行こうとするギャップに、野生の獣のような高揚感が拡がる。
10分程で先輩が住む賃貸の前に着いた。
流石に息切れするな。
「なんかドタバタいってないか?」
鋭くなった聴覚が焦った足音を室内から捉える。
何かあったのか?
「先輩、着きましたよ!」
チャイムが鳴らないのでドアのノックと共に叫んでみると、足音がピタリと止む。
「ちょっと待って!」
電話の時とは違う理性のしっかりしている声がくぐもって聞こえてきた。泥棒が来たとかじゃないんだな。良かった良かった。
準備ができたら呼んでくれるだろう、と扉の横の壁に背中を預け、道の方を見渡す。
入口が大通りから見えない家だから、家を知られたりストーカーされたりしにくいんだろうな。さすが先輩。
多分めちゃくちゃ考えて選んだんだろうなぁ。
先輩の良さを再認識していると、青い扉が大人しめに開いた。
「お待たせしてごめん。どうぞ入って」
「先輩、僕を殺す気ですか」
扉の隙間から見える先輩は、肩から長めのバスタオルを巻き付け上目遣いで自分を見てくる。その上露わになった鎖骨や艶めいた唇、上気した頬と潤んだ瞳を薄暗い玄関で発光させている様はエロすぎる。
「ん?と、特に殺す気はない、よ?」
虚を突かれて固まった後、マジレスを寄越される。
分かってます。
無意識だから怖いんです。
「気にしないで下さい。お邪魔します」
一部たりとも外界に先輩を見せないよう滑り込む。
幸い先輩の身長は僕の首辺りだから覆い隠すことができる。
扉をしっかりと閉め、鍵を掛けてから案内されるままに部屋の奥へ踏み込んだ。
「お洒落な物が多いんですね。でもしっかり片付いてて、凄いです。僕なんか部屋の中ゴッチャゴチャですから」
扉の側に台所が設けられ、スライドドアを隔てて居間がある。
ベッドや棚、机など嵩張るものから有名な観光名所のミニチュアなど小物まで、物は多いのにスッキリと収納されている。
居間の奥はベランダか。
余裕のある一人住まいっぽくて羨ましい。
「片付けは小さい頃から趣味でやってるから。あ、ベッド座っていいよ」
先輩は軽く手でベッドを示すと、台所へ飲み物を用意しに行ってしまう。
「ありがとうございます」
遠慮してベッドの右寄りに浅く座る。
「飲み物、コーヒーと牛乳とヨロナミンCあるけど、どれが良い?」
「…牛乳で」
コーヒーはちょっと手間だろうし、キスするには向かないかもしれないけど牛乳頼ませて貰う。
ヨロナミンCを常備してるタイプの家庭…?
親戚が送ってくるとかだろうか。
「ナミを早く減らしたいんだよね」
「じゃあヨロナミンC飲みます」
本当は飲みたかったのでありがたく乗らせて頂きます。
キュポンッとフタを開ける音がして、開け放したスライドドアから茶色の瓶を両手に持った先輩が現れる。
「どうぞ」
ひんやりしている瓶を手渡され、先輩が僕の真横に座る。
超密着して。
ちょっ、生足がズボンに触れてるんですがご褒美ですか?!
上半身もタオルで隠れてる面積が減って乳首がチラリしてますよ?!
まずい。真横で勃つ訳にはいかない。
落ち着け僕。
「じょー」
「はい!」
下の名前で急に呼ばれて声ひっくり返った…恥ずかしい。
先輩も薄く笑ってるし。
「ヨロナミンCって、じようきょうそう目あてでものむんだって」
先輩は一口飲むと唇をペロリと舐めて、瓶を見ながら呟いた。
滋養強壮って元気が出るってことだったよな。
そうゆう意味…?
先輩の白い足がゆっくりと組まれて、真っ黒の瞳が上目遣いに目線を寄越してくる。
「いっぱい出来るな?」
同時に甘い香りが襲いかかってきて、血液が沸騰したように暴れ回る。
これが噂に聞く兎族のフェロモンか。
好みの香りだけど吸い過ぎたら理性が飛ぶな。
さっさと瓶を片付けるか。
「ご期待に添えるよう尽力します、葉梨先輩」
瓶を逆さに煽り、喉を焼くのも構わず流し込む。
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