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ピンクの再会

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発情期の影響で意識が薄い中、浄に挿入れられている幻覚が見えるようになった。
初めは喜んで幻の浄と返事のない会話を楽しんでいた。

「じょーっ♡固いのが、ずんずんってくるのっ、きもちい…♡」
「くちがさびしーからあむって食べちゃってもいいよな?じょうのだーいじなとこ♡」

2日3日と過ぎるに連れ、触れ合うことができないことに悲しくなり、本物が恋しくなってくる。
やっぱり、キスをしながら愛されたいな…。

「じょー…いまきんむじかんちゅうだよな…番ならっあっ♡、いっしょに休めるのに…」

今日は発情期が始まって8日目だ。狂おしいほどの性欲が治まりつつあり、常より少し多いぐらいの刺激で満足できるようになってきた。

今は、手にはスマホ、尻にはディルドというおかしな状態で浄に電話をするか悩んでいる。
私が側に居なくて大丈夫だったのか、なんて自惚れたことを聞きたい気持ちもあるのだが、それより、浄の声が聞きたい。
優しくて甘くて、でもこちらに飛びつくのを我慢しているような浄の声は幻覚からは聞けない。
電話してあわよくばエッチな命令をしてくれないかなんて期待して、後ろは既に敏感になっている。

「よし、お昼きゅーけいのじかん!」

睨みつけていたデジタル時計が待望の時間を示す。すぐに電話の発信ボタンを押し、耳元に機体を当てる。

『葉梨先輩ですか?』

途端に浄の声が聞こえて、ビックリして後ろを締め付けてしまった。

「んうぅっ…!」

咄嗟にスマホを遠ざけたから、多分声は聞かれていない。
声を抑えてからもう一度スマホを近付ける。

「もしもし?」
「もしもし。大丈夫ですか?聞こえてますか?」

恥ずかしい声を聞かせないように息を整える。

「だいじょぶ、聞こえてるよ」
「どうかされましたか?まだ休暇期間中だと思うんですが…」
「ちょっと、…さびしくなって…」
「ありがとうございます。場所を移動するので少々お待ち下さい」

物凄い早口の後、誰かに外出することを伝える声が聞こえて、すぐさま走る足音が響く。
1分ほどするとどこかに到着したようで、足音が止んだ。

「お待たせしました」
「足速いな。足音が軽快で聞いてて飽きなかった」

率直に感想を話すと、直後に布が素早く擦れる音がした。

「なんの音?」
「しゃがみました。煩くてすいません。それで、寂しいってことは番とかは居ないってことですか?」
「居ない。居たことないよ」

探るような声に笑ってしまう。

「手の甲に番のいれずみもないし、いかくの匂いだって無いでしょ?」
「事実婚とか入墨禁止の宗教の方とかは入れないので…。でも、そっか…寂しかったら僕を頼ってくれるんですね」

スマホの受話口が近くなったようで、吐息の多い浄の声が振動まで伝わってくる。
ニヤけた声が鼓膜をくすぐって、背骨が痺れる感覚に泣きそうになる。

「先ぱ」
「じょー…家、きてほしい…」

もう許しても良いんじゃないか、なんて緩んだ脳がゴーサインを出して、口が欲望をそのまま喋った。

冷静になれば、将来性を潰すとかお付き合い期間なしの交合とか考えて踏みとどまったはずなのに、発情期の思考というのは怖いものだ。

「っぇ、良いんですか?」

喜色満面とはいかない戸惑いを含んだその声。
金眼を期待で輝かせる姿を想像してしまって、つい高価なオヤツをあげたくなってしまう。

両手でスマホを持つと、受話口にキスするように唇を寄せる。

「あんまり待たせたら挿れさせてあげないからな」

浄が私の後を尾けて家を特定しているのは知っている。
彼の肉厚な耳がピンと立つのを電話越しに感じ取って、少し電話を遠ざける。

「すぐに向かいます!」

大爆音で叫んだ愛しの後輩は、すぐに部署の部屋へ荷物を取ろうと走り出した。
通話したままで電車に乗る気だろうか。

「待ってる」

スマホを耳から離し、通話を切る。
本当はずっと側で感じていたいけれど、服や物、ローションや体液が散らばっている部屋を片付けなければいけない。

後孔を刺激し続ける玩具を抜き、大急ぎでベッドサイドの服を両手に抱える。
床を埋め尽くすほどの雑貨やら本やらぬいぐるみやらを慎重に避けて、洗濯機へと向かった。
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