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第二章
16.マイス ハ ニブイ
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「世界って……別の大陸出身って事ですか?」
それなら、前から聞いてたから驚く事じゃないけど……?
「違うの、私達はね、魔法も、魔物も居ない世界に住んでたの。見た目も違った。私はエルフじゃなかったし、レナは獣人じゃなかった。カナだけはあまり変わらない見た目だけど、こんなに筋肉……なかったよね」
「ありませんでしたね。鍛えてはいましたけど、こんな大剣、持つ事すら無理です」
「……魔法も、魔物も居ないんですか?」
イマイチ分からない。どうしよう。みんなものすごく真剣な顔してるから大事な事なんだろうけど、どう大事なのか理解できない。
「あんまり分かってないよね?」
「そうですねぇ。どう説明したものでしょうか」
「んー……あたしたち、死んだんだよね」
はい?! 死んだ?! みなさん生きてるよね?!
僕は思わず、近くに居たレナさんの手を握って脈を取る。
「マイス?! どした?」
「生きて……ますよね?」
「ああ、心配してくれたんだ。ありがと。今は生きてるから大丈夫だよ。あたしら、一回死んで生まれ変わったんだよね」
「今は生きてるんですよね?! 良かった!!! ああ! すいません! レナさん男嫌いなのに!」
慌ててレナさんから離れる。けど、レナさんは平気そうだ。良かった。レナさんが男嫌いだから、あまり近づかないようにしてたのに申し訳ない事をした。
「マイスは大丈夫だから平気。けど、さっきはヤバかったよ」
「さっきって、真っ青になってた時ですよね?」
「うん、あたしらクラス……えっと、40人くらいの団体で事故に遭ったの。馬車よりもっと大人数が乗せられるバスって乗り物で、崖から落ちちゃってさぁ。多分、みんな死んだかなって思う」
「なんだかよく分からないのですが、神様らしき方が事故の原因は自分のペットだから、私達を別の世界に転生させてやると言い出しまして……」
「嫌ならそのまま消滅するだけだとか言われたよね」
なんだそれ。脅してるじゃないか。
「理不尽過ぎません?」
「そーなの! でも、どうしようもなくてさぁ……さすがに消滅するのは怖いじゃん? だからみんな、転生を選んだの」
「まぁ、そうなりますよね」
「怖かったけど、仕方ない。いっそ楽しもう。そう思わないとやってけなくてさ」
「そうなんですね。怖かったですね……」
死ぬのは、怖い。その恐怖を味わった後に、更に自分が消滅するかもしれないなんてどれだけの恐怖だろう。今は明るい3人だけど、そんな秘密を抱えてたんだね。だから、僕の知る常識と少し違ったり不思議な道具を知っていたりするのか。
「今はもう平気だけどね。でも、やっぱり親とか泣いただろうなって思うよ」
「それは……そうでしょうね。家族を失うのはつらいです」
「そっか、マイスもご両親を事故で亡くしたんだもんね」
アオイさんが、悲しそうに俯いてしまった。しまった! そうだよ! アオイさん達は死んだ側なんだから僕と逆だ! みんな優しいんだから、自分のせいで親が悲しむって思うに決まってるじゃないか!
「大丈夫です! 事故は仕方ないんですから! 別の世界とはいえ、自分の家族が生きているなら嬉しいに決まってます!」
「ありがとう、そう言われると救われるよ。それでね、私達の知り合いが40人位一気にこの世界に転生したんだけど、みんな同じ場所に転生した訳じゃなかったの。私は、レナとカナと一緒が良いって願ったから3人一緒に居られた。赤ん坊から一気に今くらいの年齢まで成長したの」
「あれ、びっくりしたよね。森の中に赤ん坊3人。あ、これ死んだわって思ったもん」
「思いました。ぐんぐん身体が成長するのは面白かったですけど」
「気持ち悪かったよ! ご丁寧に服まで大きくなるから余計気味が悪かったよっ!」
「確かにそうなんですけど、レナの尻尾と耳が段々大きくなるのが可愛かったです」
「分かる! 耳もフカフカで赤ん坊の獣人、可愛すぎたよね。幼稚園児くらいが一番可愛かった!」
「分かります! すぐ成長したのが勿体なくて……」
「2人共耳とか尻尾を触りたがって大変だったんだよ!」
「獣人さんの子どもは可愛いですからね。分かります」
「ほんっと可愛かった……」
「もう! 私の事は良いから! んで、転生する時に色々種族とか選べたの。私やアオイは獣人やエルフにしたからかなり見た目も変わった。けど、カナは人間にしたからあまり見た目が変わらなかった。それは、私達以外も同じなんだ」
「つまり、カナさんは転生する前からこんなに美人さんだったんですね」
「……は?! いや、ちょっと待って下さい!」
あれ?
カナさんの顔が真っ赤なんだけど?
レナさんとアオイさんが冷たい目をしてるんだけど?
「マイスってさ、たまに天然で褒め殺すから困るよね」
レナさんの毛が逆立ってるんだけど?!
「そうね。確かにカナは可愛いし、美人だわ」
アオイさんの声が冷たいんだけど?!
「オンナゴコロ ワカッテナイ」
キュビさんまで?!
あ、そうか! カナさんだけ褒めたらダメなのか! そうだよね、アオイさんもレナさんも美人さんだもの!
「アオイさんもレナさんもカナさんもとっても美人さんだと思います!」
そう言った瞬間、3人は真っ赤な顔で僕を睨んできた。おかしいなぁ? しょっちゅう色んな人に褒められてるんだし、美人さんだって言われてもにこやかにありがとうって言ってるのに……。
「マイス ハ ニブイ」
キュビさんに呆れられてしまった。
それなら、前から聞いてたから驚く事じゃないけど……?
「違うの、私達はね、魔法も、魔物も居ない世界に住んでたの。見た目も違った。私はエルフじゃなかったし、レナは獣人じゃなかった。カナだけはあまり変わらない見た目だけど、こんなに筋肉……なかったよね」
「ありませんでしたね。鍛えてはいましたけど、こんな大剣、持つ事すら無理です」
「……魔法も、魔物も居ないんですか?」
イマイチ分からない。どうしよう。みんなものすごく真剣な顔してるから大事な事なんだろうけど、どう大事なのか理解できない。
「あんまり分かってないよね?」
「そうですねぇ。どう説明したものでしょうか」
「んー……あたしたち、死んだんだよね」
はい?! 死んだ?! みなさん生きてるよね?!
僕は思わず、近くに居たレナさんの手を握って脈を取る。
「マイス?! どした?」
「生きて……ますよね?」
「ああ、心配してくれたんだ。ありがと。今は生きてるから大丈夫だよ。あたしら、一回死んで生まれ変わったんだよね」
「今は生きてるんですよね?! 良かった!!! ああ! すいません! レナさん男嫌いなのに!」
慌ててレナさんから離れる。けど、レナさんは平気そうだ。良かった。レナさんが男嫌いだから、あまり近づかないようにしてたのに申し訳ない事をした。
「マイスは大丈夫だから平気。けど、さっきはヤバかったよ」
「さっきって、真っ青になってた時ですよね?」
「うん、あたしらクラス……えっと、40人くらいの団体で事故に遭ったの。馬車よりもっと大人数が乗せられるバスって乗り物で、崖から落ちちゃってさぁ。多分、みんな死んだかなって思う」
「なんだかよく分からないのですが、神様らしき方が事故の原因は自分のペットだから、私達を別の世界に転生させてやると言い出しまして……」
「嫌ならそのまま消滅するだけだとか言われたよね」
なんだそれ。脅してるじゃないか。
「理不尽過ぎません?」
「そーなの! でも、どうしようもなくてさぁ……さすがに消滅するのは怖いじゃん? だからみんな、転生を選んだの」
「まぁ、そうなりますよね」
「怖かったけど、仕方ない。いっそ楽しもう。そう思わないとやってけなくてさ」
「そうなんですね。怖かったですね……」
死ぬのは、怖い。その恐怖を味わった後に、更に自分が消滅するかもしれないなんてどれだけの恐怖だろう。今は明るい3人だけど、そんな秘密を抱えてたんだね。だから、僕の知る常識と少し違ったり不思議な道具を知っていたりするのか。
「今はもう平気だけどね。でも、やっぱり親とか泣いただろうなって思うよ」
「それは……そうでしょうね。家族を失うのはつらいです」
「そっか、マイスもご両親を事故で亡くしたんだもんね」
アオイさんが、悲しそうに俯いてしまった。しまった! そうだよ! アオイさん達は死んだ側なんだから僕と逆だ! みんな優しいんだから、自分のせいで親が悲しむって思うに決まってるじゃないか!
「大丈夫です! 事故は仕方ないんですから! 別の世界とはいえ、自分の家族が生きているなら嬉しいに決まってます!」
「ありがとう、そう言われると救われるよ。それでね、私達の知り合いが40人位一気にこの世界に転生したんだけど、みんな同じ場所に転生した訳じゃなかったの。私は、レナとカナと一緒が良いって願ったから3人一緒に居られた。赤ん坊から一気に今くらいの年齢まで成長したの」
「あれ、びっくりしたよね。森の中に赤ん坊3人。あ、これ死んだわって思ったもん」
「思いました。ぐんぐん身体が成長するのは面白かったですけど」
「気持ち悪かったよ! ご丁寧に服まで大きくなるから余計気味が悪かったよっ!」
「確かにそうなんですけど、レナの尻尾と耳が段々大きくなるのが可愛かったです」
「分かる! 耳もフカフカで赤ん坊の獣人、可愛すぎたよね。幼稚園児くらいが一番可愛かった!」
「分かります! すぐ成長したのが勿体なくて……」
「2人共耳とか尻尾を触りたがって大変だったんだよ!」
「獣人さんの子どもは可愛いですからね。分かります」
「ほんっと可愛かった……」
「もう! 私の事は良いから! んで、転生する時に色々種族とか選べたの。私やアオイは獣人やエルフにしたからかなり見た目も変わった。けど、カナは人間にしたからあまり見た目が変わらなかった。それは、私達以外も同じなんだ」
「つまり、カナさんは転生する前からこんなに美人さんだったんですね」
「……は?! いや、ちょっと待って下さい!」
あれ?
カナさんの顔が真っ赤なんだけど?
レナさんとアオイさんが冷たい目をしてるんだけど?
「マイスってさ、たまに天然で褒め殺すから困るよね」
レナさんの毛が逆立ってるんだけど?!
「そうね。確かにカナは可愛いし、美人だわ」
アオイさんの声が冷たいんだけど?!
「オンナゴコロ ワカッテナイ」
キュビさんまで?!
あ、そうか! カナさんだけ褒めたらダメなのか! そうだよね、アオイさんもレナさんも美人さんだもの!
「アオイさんもレナさんもカナさんもとっても美人さんだと思います!」
そう言った瞬間、3人は真っ赤な顔で僕を睨んできた。おかしいなぁ? しょっちゅう色んな人に褒められてるんだし、美人さんだって言われてもにこやかにありがとうって言ってるのに……。
「マイス ハ ニブイ」
キュビさんに呆れられてしまった。
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