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第二章

12.ナンパスポットは無いですよ

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「あれ? マイス、レナは?」

街をぶらぶらしていたらアオイさんと会った。
そういえば魔道具の事伝えてなかったな。

アオイさんに説明して、ついでにカナさんにも通信で連絡をしておいた。2人とも、凄く喜んでくれた。

「ありがとね。レナはマイスが来るまではほとんど街歩きしなかったんだ。でも、昔はひとりでぶらぶらするのが好きだったんだよね。私達の用事がある所は、他の冒険者も多いから嫌みたいでさ。マイスの用事はロッドさんの所かリタさんの所だから、安心してついていけるみたい。冒険者ギルドも、マリカさんが居ないと行けないくらいだからね。私のポーションも、マイスが居なかったら素早いレナが買いに行ったんだろうけど、多分キツかったと思うのよね」

「そうだったんですね。それなら、レナさんに喜んで頂けて良かったです」

「助かるよ。こっちっていつでもどこでもナンパして来るよね。普通ナンパスポットみたいなとこあるでしょ! 前はそこだけ避ければレナも気楽に街歩き出来てたのに」

「そうなんですか?」

可愛い女性がひとりでいたらいつでもどこでも声を掛ける男は居る。ってか、ナンパスポットって何だろう?

「あー……こっちはそんな事ないのか……繁華街なんてないもんね。なんて言うか、お店が集まってるような所って人が集まるじゃない? だからナンパする人はそういう所に行くんだけど」

「お店がそんなにたくさんあるなんて、王都くらいですよ」

「だよねー。服屋さんは2軒しかないし、装備のお店もバラバラに数軒あるだけ。食べ物の屋台は結構集まってるけど、あそこでのんびりしたりしないもんね」

「そうですね。その場で食べるか、家に持ち帰って食べますから」

「人が集まる所って無いんだよね。だから面倒なのがいつでもどこでも沸くのよ。ねぇ、その魔道具、私とカナのも作ってよ! もちろんお金は払うから!」

そっか、レナさん程じゃなくてもアオイさんもカナさんも嫌な思いをしてたんだね。やっぱり早く思いつけば良かった。

「分かりました。材料がちょっと高いので来週お金が入ってからでも良いですか?」

「何言ってんの! 昨日作った共通財布から出してよ!」

「あ、忘れてました! じゃあ早速ロッドさんの所に行って来ます!」

「急がなくても大丈夫だよ」

「いえ、早く作りたいですし!」

そんなに困ってたのに気がつかなかった。女性には、色々悩みがあるよね。それにしても、レナさんはどうしてあんなに男性が嫌いなんだろう? ダン親方とは普通に笑い合ってたし、何か基準があるのかな? 僕も親方もドワーフで背が低いから、警戒心が薄れるのかな? 背が高い男性が苦手? 分からないけど、魔道具で安心して街歩き出来るならそれがいちばんた。

僕は急いでロッドさんの店に行こうとしたんだけど、それは出来なかった。

「やだ……何であいつらがいるのよ……」

街中でうずくまりながら、涙を流しているレナさんを見つけてしまったから。
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