40 / 52
ルビーのブローチを渡すまで逃しません
20.カーラの心
しおりを挟む
様子がおかしいリアム様を看病しようとしたら、いきなり頬にキスされそうになった。嬉しいけど……なんでこんなにリアム様は苦しそうなの?
「すいません……! カーラさん、トムさん……今のは……忘れて下さい……!」
「忘れるなんて無理っすよ。なんでこんな事したんですか」
トムが怒ってるように見える。いやでも、これ違うよね?
だって、トムは私がリアム様を好きだと知ってるもの。そりゃ、あんなの見たら気まずいかもしれないけど、怒る理由はないわよね。
リアム様は、めちゃくちゃ謝ってくれるんだけど……嫌だったのかな?
えっと、体調が悪くてムラムラしたとか?
そんな事を考えていたら、リアム様が苦しそうに呟いた。
「……私は……私は……カーラさんが……好きなんです……」
ん?
リアム様……今、なんて言った?
も、もう一回!
そう言いたかったけど、トムがニヤニヤしながらリアム様を問い詰めるからなにも言えなかった。
「へぇ、好きならカーラの同意なしにこんな事して良いんっすか?」
ほっぺただよ?!
口じゃないんだよ?!
しかも未遂だよ?!
けど、リアム様は見た事がないくらい落ち込んでおられる。本当に意味が分からない。
「……駄目に決まってます……本当に申し訳ありません……」
駄目じゃありませんよ?!
むしろラッキーですよ! ってか、いつの間に私はリアム様に好かれてたの?!
なんでリアム様は、そんなにトムに謝るの?!
理由は、次のリアム様の一言で分かった。
「……おふたりは……恋人なのに……」
ん?
おふたり?
誰の事?
その瞬間、トムが笑い出した。
「やっぱ勘違いしてたんですね。オレの恋人はカーラじゃありませんよ。カーラの妹です」
「……へ?」
リアム様が、固まった。ポカンとしておられるわ。うわぁ、そんな姿もかっこいい。トムはケラケラ笑いながら、話を続ける。
「いやー、この間からリアム様の様子がおかしいなとは思ってたんですよ。カーラが去った方角ばっか見てるし。昨日はずーっとオレを睨んでるし。んで、思い返してみたらカーラと顔合わせの話をしてましたからね。あ、コレ勘違いされてんなって気が付きました。なんで、ちょこっとイアン様に相談して、カーラを連れて来てもらったんですけど……さすがリアム様。手が早いっすね」
「ちちち……違うんです!」
「違うんですか? あーあ、カーラはずっと前からリアム様が好きなのに。女性をもて遊ぶなんてよくないっすよ」
「トム! 余計な事言わないでよ! それに、リアム様はそんな事しないわよっ!」
「知ってるよ。今だってオレが来なくてもなんもしなかったと思うぜ。ほらカーラ、チャンスだぞ。あ、コレやるわ。頑張れよ」
ちょっと!
手に持っていた洗面器とタオルを渡してトムは笑いながら去って行った。
「……その、突然申し訳ありません……」
真っ赤な顔のリアム様が近寄って来る。どうして良いか分からない。パニックになった私は、トムから渡された洗面器を落としてしまった。
「すいません……! カーラさん、トムさん……今のは……忘れて下さい……!」
「忘れるなんて無理っすよ。なんでこんな事したんですか」
トムが怒ってるように見える。いやでも、これ違うよね?
だって、トムは私がリアム様を好きだと知ってるもの。そりゃ、あんなの見たら気まずいかもしれないけど、怒る理由はないわよね。
リアム様は、めちゃくちゃ謝ってくれるんだけど……嫌だったのかな?
えっと、体調が悪くてムラムラしたとか?
そんな事を考えていたら、リアム様が苦しそうに呟いた。
「……私は……私は……カーラさんが……好きなんです……」
ん?
リアム様……今、なんて言った?
も、もう一回!
そう言いたかったけど、トムがニヤニヤしながらリアム様を問い詰めるからなにも言えなかった。
「へぇ、好きならカーラの同意なしにこんな事して良いんっすか?」
ほっぺただよ?!
口じゃないんだよ?!
しかも未遂だよ?!
けど、リアム様は見た事がないくらい落ち込んでおられる。本当に意味が分からない。
「……駄目に決まってます……本当に申し訳ありません……」
駄目じゃありませんよ?!
むしろラッキーですよ! ってか、いつの間に私はリアム様に好かれてたの?!
なんでリアム様は、そんなにトムに謝るの?!
理由は、次のリアム様の一言で分かった。
「……おふたりは……恋人なのに……」
ん?
おふたり?
誰の事?
その瞬間、トムが笑い出した。
「やっぱ勘違いしてたんですね。オレの恋人はカーラじゃありませんよ。カーラの妹です」
「……へ?」
リアム様が、固まった。ポカンとしておられるわ。うわぁ、そんな姿もかっこいい。トムはケラケラ笑いながら、話を続ける。
「いやー、この間からリアム様の様子がおかしいなとは思ってたんですよ。カーラが去った方角ばっか見てるし。昨日はずーっとオレを睨んでるし。んで、思い返してみたらカーラと顔合わせの話をしてましたからね。あ、コレ勘違いされてんなって気が付きました。なんで、ちょこっとイアン様に相談して、カーラを連れて来てもらったんですけど……さすがリアム様。手が早いっすね」
「ちちち……違うんです!」
「違うんですか? あーあ、カーラはずっと前からリアム様が好きなのに。女性をもて遊ぶなんてよくないっすよ」
「トム! 余計な事言わないでよ! それに、リアム様はそんな事しないわよっ!」
「知ってるよ。今だってオレが来なくてもなんもしなかったと思うぜ。ほらカーラ、チャンスだぞ。あ、コレやるわ。頑張れよ」
ちょっと!
手に持っていた洗面器とタオルを渡してトムは笑いながら去って行った。
「……その、突然申し訳ありません……」
真っ赤な顔のリアム様が近寄って来る。どうして良いか分からない。パニックになった私は、トムから渡された洗面器を落としてしまった。
10
お気に入りに追加
6,559
あなたにおすすめの小説
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
あなたの事はもういりませんからどうぞお好きになさって?
高瀬船
恋愛
婚約を交わして5年。
伯爵令嬢のミリアベル・フィオネスタは優しい婚約者を好きになり、優しい婚約者である侯爵家の嫡男ベスタ・アランドワと良い関係を築いていた。
二人は貴族学院を卒業したら結婚が決まっていたが、貴族学院に通い始めて2年目。
学院に「奇跡の乙女」と呼ばれる女性が入学した。
とても希少な治癒魔法の力を持った子爵令嬢である奇跡の乙女、ティアラ・フローラモはとても可愛らしい顔立ちで学院の男子生徒の好意を一身に受けている。
奇跡の乙女が入学してから、婚約者であるベスタとのお茶の時間も、デートの約束も、学院での二人きりで過ごす時間も無くなって来たある日、自分の婚約者と奇跡の乙女が肩を寄せ合い、校舎裏へと姿を消したのを見てしまったミリアベルは行儀が悪い、と分かってはいても二人の姿を追ってしまったのだった。
運命の番?棄てたのは貴方です
ひよこ1号
恋愛
竜人族の侯爵令嬢エデュラには愛する番が居た。二人は幼い頃に出会い、婚約していたが、番である第一王子エリンギルは、新たに番と名乗り出たリリアーデと婚約する。邪魔になったエデュラとの婚約を解消し、番を引き裂いた大罪人として追放するが……。一方で幼い頃に出会った侯爵令嬢を忘れられない帝国の皇子は、男爵令息と身分を偽り竜人国へと留学していた。
番との運命の出会いと別離の物語。番でない人々の貫く愛。
※自己設定満載ですので気を付けてください。
※性描写はないですが、一線を越える個所もあります
※多少の残酷表現あります。
以上2点からセルフレイティング
側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります。
とうや
恋愛
「私はシャーロットを妻にしようと思う。君は側妃になってくれ」
成婚の儀を迎える半年前。王太子セオドアは、15年も婚約者だったエマにそう言った。微笑んだままのエマ・シーグローブ公爵令嬢と、驚きの余り硬直する近衛騎士ケイレブ・シェパード。幼馴染だった3人の関係は、シャーロットという少女によって崩れた。
「側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります」
********************************************
ATTENTION
********************************************
*世界軸は『側近候補を外されて覚醒したら〜』あたりの、なんちゃってヨーロッパ風。魔法はあるけれど魔王もいないし神様も遠い存在。そんなご都合主義で設定うすうすの世界です。
*いつものような残酷な表現はありませんが、倫理観に難ありで軽い胸糞です。タグを良くご覧ください。
*R-15は保険です。
夫の不貞現場を目撃してしまいました
秋月乃衣
恋愛
伯爵夫人ミレーユは、夫との間に子供が授からないまま、閨を共にしなくなって一年。
何故か夫から閨を拒否されてしまっているが、理由が分からない。
そんな時に夜会中の庭園で、夫と未亡人のマデリーンが、情事に耽っている場面を目撃してしまう。
なろう様でも掲載しております。
政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~
つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。
政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。
他サイトにも公開中。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。