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25.策を巡らす辺境伯夫人
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「ロバート様はお見合いを何度も断られているんですって。でも、真面目で誠実なお方らしいわ。キャダール王国の貴族女性は贅沢よ。わたくしなら、ロバート様に誠心誠意尽くすのに。でも、だからこそ付け入る隙があるわよね。今度ね、お父様に頼んでロバート様と会う機会を作って頂くの。うちは薔薇を輸出していてね。最近取引が増えたから会えるんじゃないかって」
その薔薇はわたくしの為にロバート様が集めて下さったものよ! フローレンス様の婚活に利用するためではないわっ!!!
落ち着いて、怒ってはダメ。わたくしの正体がバレたらリリアン様やレイモンド公爵にご迷惑がかかる。
ああでも! これだけは言わないとっ!
「残念ですが、ロバート様はご結婚なさったそうですわよ」
「そうなの?! 聞いてないわ!」
「ガルシア殿下から伺いましたので、間違いありませんわ。とても奥様を大事にしておられて、他の人が入り込む隙間はないそうですよ」
「第二夫人でも良いから嫁ぎたいのに……!」
「ロバート様は正妻一筋だそうですわ」
だから諦めて! 諦めてよっ!
「正妻を大事にしてるなんてやっぱり他国の男性が良いわ。なんとかならないかしら。ガルシア殿下もマチルダ王女をとても大事にしておられるし」
探ろうとする目にゾクリとする。フローレンス様は知ってるんだ。ガルシア殿下と、マチルダ王女が婚約していることを。
「そうなんですか? なにぶん寝たきりだったもので世情に疎くて……」
イラっとしたけど、悟られるわけにいかない。
ロバート様から頂いたブレスレットに触れると不思議と落ち着いた。そうだ! これは利用できるかもしれない。
「なら今の話は忘れて下さいな。わたくしも確証はないの。なんだか夜会で親しそうにしている気がしたものだから。いつも王女様は他国に嫁いでしまわれるし。もしそうなら羨ましいなと思ってしまったのよ。はぁー……わたくしはやっぱり徳がないのかしら」
「徳、ですか」
「そうよ。あの子達も、あんな男に引っかかっちゃって徳がないんだわ」
徳、徳、徳って……。
イライラしてきたわ。
落ち着いて、国が違えば考えも変わる。
彼女の積み上げた人生を、否定なんてできない。でも、理解する気はないわ。目的を見失ってはダメ。
「フローレンス様は徳がおありになりますわ。わたくし実は……キャダール王国に嫁ぐかもしれませんの。ロバート様ではありませんわ。まだお名前はお伝えできないのですけど、わたくしは身体が弱いので遠くに行くのは駄目だと父が反対していて……」
「その話、詳しく聞かせて頂けませんか?」
「喜んで。父と話をして、使いを送りますわ」
聖帝国は国境の警備が厳しい。入国した時のようにこっそり森を移動して味方を連れて帰るつもりだったけど、堂々と国を出られるならその方が良い。
公爵令嬢の見合いなら、外交として王や王妃が付き添っても不自然ではない。味方が誰かまだ分からない。でも、なんとなく予想はできている。あの方を密かに連れ出すのは難しい。それなら、領地にご招待する理由を作れば良い。
急いで王太子殿下にフローレンス様と合いそうな方を探して頂きましょう。フローレンス様はロバート様じゃなくても構わない。誠実で妻一筋な貴族は我が国にたくさんいる。
でもわたくしは、ロバート様じゃなきゃ駄目なの。
その薔薇はわたくしの為にロバート様が集めて下さったものよ! フローレンス様の婚活に利用するためではないわっ!!!
落ち着いて、怒ってはダメ。わたくしの正体がバレたらリリアン様やレイモンド公爵にご迷惑がかかる。
ああでも! これだけは言わないとっ!
「残念ですが、ロバート様はご結婚なさったそうですわよ」
「そうなの?! 聞いてないわ!」
「ガルシア殿下から伺いましたので、間違いありませんわ。とても奥様を大事にしておられて、他の人が入り込む隙間はないそうですよ」
「第二夫人でも良いから嫁ぎたいのに……!」
「ロバート様は正妻一筋だそうですわ」
だから諦めて! 諦めてよっ!
「正妻を大事にしてるなんてやっぱり他国の男性が良いわ。なんとかならないかしら。ガルシア殿下もマチルダ王女をとても大事にしておられるし」
探ろうとする目にゾクリとする。フローレンス様は知ってるんだ。ガルシア殿下と、マチルダ王女が婚約していることを。
「そうなんですか? なにぶん寝たきりだったもので世情に疎くて……」
イラっとしたけど、悟られるわけにいかない。
ロバート様から頂いたブレスレットに触れると不思議と落ち着いた。そうだ! これは利用できるかもしれない。
「なら今の話は忘れて下さいな。わたくしも確証はないの。なんだか夜会で親しそうにしている気がしたものだから。いつも王女様は他国に嫁いでしまわれるし。もしそうなら羨ましいなと思ってしまったのよ。はぁー……わたくしはやっぱり徳がないのかしら」
「徳、ですか」
「そうよ。あの子達も、あんな男に引っかかっちゃって徳がないんだわ」
徳、徳、徳って……。
イライラしてきたわ。
落ち着いて、国が違えば考えも変わる。
彼女の積み上げた人生を、否定なんてできない。でも、理解する気はないわ。目的を見失ってはダメ。
「フローレンス様は徳がおありになりますわ。わたくし実は……キャダール王国に嫁ぐかもしれませんの。ロバート様ではありませんわ。まだお名前はお伝えできないのですけど、わたくしは身体が弱いので遠くに行くのは駄目だと父が反対していて……」
「その話、詳しく聞かせて頂けませんか?」
「喜んで。父と話をして、使いを送りますわ」
聖帝国は国境の警備が厳しい。入国した時のようにこっそり森を移動して味方を連れて帰るつもりだったけど、堂々と国を出られるならその方が良い。
公爵令嬢の見合いなら、外交として王や王妃が付き添っても不自然ではない。味方が誰かまだ分からない。でも、なんとなく予想はできている。あの方を密かに連れ出すのは難しい。それなら、領地にご招待する理由を作れば良い。
急いで王太子殿下にフローレンス様と合いそうな方を探して頂きましょう。フローレンス様はロバート様じゃなくても構わない。誠実で妻一筋な貴族は我が国にたくさんいる。
でもわたくしは、ロバート様じゃなきゃ駄目なの。
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