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24.イライラする辺境伯
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「お嬢様、お怪我は?」
「ないわ。お父様はどちら?」
「こちらです」
やぁん! 怒ってるロバート様もかっこいいわ!
今すぐ抱きつきたいくらいだけど、今はダメね。我慢、我慢よ!
レイモンド公爵の元に行くと、驚いた顔をなさっていた。やっぱり、男性に囲まれたわたくしを心配してロバート様が来て下さったのね。
もう、わたくしの旦那様、優しくて素敵!
っと、いけない。レイモンド公爵を困らせるわけにいかないわ。
「お父様、お呼びですか?」
そう言うだけで察して下さる。さすが、公爵家の御当主ね。
「……あ、ああ。紹介したい人がいてな。こっちだ。みなさん、良ければ娘をお仲間に入れてやってください」
さっき、男達に囲まれた時心配そうに見ていたご令嬢達だわ。
「はじめまして。リリアン・オブ・レイモンドと申します」
「ご丁寧にありがとうございます。フローレンス・ジェイド・グレイヴです」
グレイヴ公爵のお嬢様だ。顔が広く、王女様とも親しいと聞いている。なにか情報をお持ちかもしれないわ。
ほかにも何名かのご令嬢と挨拶をする。たわいもない話をした。しばらくすると、婚約者に呼ばれて1人、また1人と去っていく。
……やっぱり、この国の貴族男性は態度が悪い人が多いわね。婚約者を大事にしている様子がない。
フローレンス様は婚約者がいないので、飲み物でも飲みましょうと飲食スペースに誘って頂いた。飲食スペースには、誰もいなかった。
今なら内緒話ができるだろう。
「フローレンス様、先ほどはご心配頂きありがとうございます」
「わたくし達が見ていた事に、気が付いておられたのですか?」
「はい。慣れておらず見苦しいところをお見せして申し訳ございません」
「とんでもない。ご立派でしたわ。デビュタントの子は悪い男に狙われやすいのです。でも、男性が話している時に女性が割り込んで声をかけてはいけないから何もできなくて……申し訳ありません。あの子達はデビュタントで失敗してしまったのです。踊らなくて正解ですわ」
「まさか、彼女達の婚約者は……」
「踊ってしまうと、婚約の打診を断れないんです。ここだけの話よ。わたくし、あの男達が大嫌いなの」
「……わたくしも嫌いですわ。エスコートも下手で貴族とは思えませんもの」
「そうよね。きっと、徳がないのよ」
「徳……ですか?」
「そう、徳。ねぇリリアン様。貴族女性にとって最高の嫁ぎ先はどこだと思いますか?」
「……王家でしょうか?」
「ふふ、まだまだ夢見ていらっしゃるわね。王家は最低の嫁ぎ先よ。今のところ年頃の男性はいないから大丈夫だけど、お告げがあれば急に王族が増える事もあるわ。リリアン様はしっかりなさってるし、身分も高いから狙われるかもしれないわ。目を付けられないよう気を付けて。正解はね、他国に嫁ぐ事よ」
「……他国……」
「そう。特に貴女みたいにしっかりしている方は、この国では生きづらいわ。レイモンド公爵ならオキ共和国に伝があるのではなくて? ここだけの話よ。わたくしはキャダール王国の辺境伯、ロバート・ウィリアム・ミッチェル様を狙っているの」
「……え」
「ないわ。お父様はどちら?」
「こちらです」
やぁん! 怒ってるロバート様もかっこいいわ!
今すぐ抱きつきたいくらいだけど、今はダメね。我慢、我慢よ!
レイモンド公爵の元に行くと、驚いた顔をなさっていた。やっぱり、男性に囲まれたわたくしを心配してロバート様が来て下さったのね。
もう、わたくしの旦那様、優しくて素敵!
っと、いけない。レイモンド公爵を困らせるわけにいかないわ。
「お父様、お呼びですか?」
そう言うだけで察して下さる。さすが、公爵家の御当主ね。
「……あ、ああ。紹介したい人がいてな。こっちだ。みなさん、良ければ娘をお仲間に入れてやってください」
さっき、男達に囲まれた時心配そうに見ていたご令嬢達だわ。
「はじめまして。リリアン・オブ・レイモンドと申します」
「ご丁寧にありがとうございます。フローレンス・ジェイド・グレイヴです」
グレイヴ公爵のお嬢様だ。顔が広く、王女様とも親しいと聞いている。なにか情報をお持ちかもしれないわ。
ほかにも何名かのご令嬢と挨拶をする。たわいもない話をした。しばらくすると、婚約者に呼ばれて1人、また1人と去っていく。
……やっぱり、この国の貴族男性は態度が悪い人が多いわね。婚約者を大事にしている様子がない。
フローレンス様は婚約者がいないので、飲み物でも飲みましょうと飲食スペースに誘って頂いた。飲食スペースには、誰もいなかった。
今なら内緒話ができるだろう。
「フローレンス様、先ほどはご心配頂きありがとうございます」
「わたくし達が見ていた事に、気が付いておられたのですか?」
「はい。慣れておらず見苦しいところをお見せして申し訳ございません」
「とんでもない。ご立派でしたわ。デビュタントの子は悪い男に狙われやすいのです。でも、男性が話している時に女性が割り込んで声をかけてはいけないから何もできなくて……申し訳ありません。あの子達はデビュタントで失敗してしまったのです。踊らなくて正解ですわ」
「まさか、彼女達の婚約者は……」
「踊ってしまうと、婚約の打診を断れないんです。ここだけの話よ。わたくし、あの男達が大嫌いなの」
「……わたくしも嫌いですわ。エスコートも下手で貴族とは思えませんもの」
「そうよね。きっと、徳がないのよ」
「徳……ですか?」
「そう、徳。ねぇリリアン様。貴族女性にとって最高の嫁ぎ先はどこだと思いますか?」
「……王家でしょうか?」
「ふふ、まだまだ夢見ていらっしゃるわね。王家は最低の嫁ぎ先よ。今のところ年頃の男性はいないから大丈夫だけど、お告げがあれば急に王族が増える事もあるわ。リリアン様はしっかりなさってるし、身分も高いから狙われるかもしれないわ。目を付けられないよう気を付けて。正解はね、他国に嫁ぐ事よ」
「……他国……」
「そう。特に貴女みたいにしっかりしている方は、この国では生きづらいわ。レイモンド公爵ならオキ共和国に伝があるのではなくて? ここだけの話よ。わたくしはキャダール王国の辺境伯、ロバート・ウィリアム・ミッチェル様を狙っているの」
「……え」
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