最後に報われるのは誰でしょう?

ごろごろみかん。

文字の大きさ
5 / 22
第一章

取り替えっこ

しおりを挟む


「な、何よ………十年も前の話をして………!!本当に嫌な娘ね!それにお母様と呼ばないでって言ってるでしょう!」

名前で呼びたくないほどに嫌いなのよ。それくらい気づいて欲しいわ。アホシュア様は、それこそ化け物でも見るような顔をしていたがやがておすおずと聞いてきた。

「提案って何だ?」

「簡単なことです。ーーこの婚約は王命。簡単に覆すことはできません。ですが、この婚約はそもそも五貴族の間を取り持つための婚約です。であれば、五貴族であれば相手は誰でも構わないのではありませんか?」

「………つまり、何!?何が言いたい訳!!」

お母様は立場を理解されているのだろうか。今、提案しているのは私で、私がこの提案を引き下げれば後は王家からの通達待ちとなるだけなのに。
【虹】を司る家の娘、ケイト様は【雨】を司る家の令息と婚約を結んでいる。仲は最悪だそうだけれど。
【虹】の令嬢がよりによって【星】の令嬢の婚約者である【空】の令息に手を出すのは不味い。五貴族は、特別な家柄だからこそ五貴族と呼ばれているわけで、その仲で諍いを起こすような真似をするのは得策ではない。これが公になればホシュア様の家もケイト様の家もただでは済まないだろう。
ケイト様はお喋りだが、その内容はとことん卑猥なものが多いので、それを聞いた令嬢は表立ってその話を広めたりはしない。だけど基本的に箱入り娘など好奇心旺盛で、未知なものは気になるもの。貞淑でいることを求められるが故に自分ではその経験こそしないものの、ケイト様の話を聞くのを好むものは多い。だからこそ、ケイト様とホシュア様が関係を持っていることは多くの令嬢が知っているとはいえそれが公にされることはない。だけどそれも、時間の問題だ。
中には権力欲しさに五貴族になろうとするものもいる。そんな人間からすれば、五貴族同士の不祥事は格好のえさ。

つまり、早いところ何とかしないと大問題になる。

私にとっては彼らが提案を呑もうが蹴ろうがどっちでも構わない。どちらにせよ、私は痛くも痒くもない。

「五貴族の中で婚約を結んでいるのは、私とホシュア様。そして、ケイト様とレスト様の二組のみ。その中で、ホシュア様とケイト様は関係を結んでいるのです。………私が何を言いたいかお分かりですか?」

「僕にケイトとも婚約を結べと言うのか!?」

アホシュア様が的はずれなことを口にする。この国では重婚はできないでしょう。そんなこともご存知ないとか、本当に29歳なのかしら………?スクールに通う幼子でも分かることなのに。私はため息をつきたい気持ちを抑えて、一言言った。

「交換するのです」

婚約者を。
一息に言うと、お母様は目をこれ以上ないほどに大きく開いていた。あのままでは目が乾燥しそうだわ。大丈夫かしら。アホシュア様は頭が追いついていないのか、人差し指をこちらに向けてくる。失礼にも程があるわ。最低限のマナーというものを身につけていただきたいわね。本当、どう教育されたらアホシュア様みたいに育つのかしら………。むしろ何も教えていないのではなくて?

「お、お前とケイトを!?そ、それでえぇと、僕と…………レストをか!?」

「はい」

「そんなの無理に決まってるでしょう!?この婚約は王命なのです!!一貴族がどうこうしようなんて………!!」

「その婚約を破棄されようとしたのは、ア………ホシュア様だと思いますわ。私は、譲歩して提案しているのです。今までのこと、現状の報告を王家にしても、私としましては問題ございませんのよ?」

しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

出来損ないの私がお姉様の婚約者だった王子の呪いを解いてみた結果→

AK
恋愛
「ねえミディア。王子様と結婚してみたくはないかしら?」 ある日、意地の悪い笑顔を浮かべながらお姉様は言った。 お姉様は地味な私と違って公爵家の優秀な長女として、次期国王の最有力候補であった第一王子様と婚約を結んでいた。 しかしその王子様はある日突然不治の病に倒れ、それ以降彼に触れた人は石化して死んでしまう呪いに身を侵されてしまう。 そんは王子様を押し付けるように婚約させられた私だけど、私は光の魔力を有して生まれた聖女だったので、彼のことを救うことができるかもしれないと思った。 お姉様は厄介者と化した王子を押し付けたいだけかもしれないけれど、残念ながらお姉様の思い通りの展開にはさせない。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜

AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。 そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。 さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。 しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。 それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。 だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。 そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。 ※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。

陛下を捨てた理由

甘糖むい
恋愛
美しく才能あふれる侯爵令嬢ジェニエルは、幼い頃から王子セオドールの婚約者として約束され、完璧な王妃教育を受けてきた。20歳で結婚した二人だったが、3年経っても子供に恵まれず、彼女には「問題がある」という噂が広がりはじめる始末。 そんな中、セオドールが「オリヴィア」という女性を王宮に連れてきたことで、夫婦の関係は一変し始める。 ※改定、追加や修正を予告なくする場合がございます。ご了承ください。

愛想を尽かした女と尽かされた男

火野村志紀
恋愛
※全16話となります。 「そうですか。今まであなたに尽くしていた私は側妃扱いで、急に湧いて出てきた彼女が正妃だと? どうぞ、お好きになさって。その代わり私も好きにしますので」

【完結】薔薇の花をあなたに贈ります

彩華(あやはな)
恋愛
レティシアは階段から落ちた。 目を覚ますと、何かがおかしかった。それは婚約者である殿下を覚えていなかったのだ。 ロベルトは、レティシアとの婚約解消になり、聖女ミランダとの婚約することになる。 たが、それに違和感を抱くようになる。 ロベルト殿下視点がおもになります。 前作を多少引きずってはいますが、今回は暗くはないです!! 11話完結です。 この度改編した(ストーリーは変わらず)をなろうさんに投稿しました。

契約破棄された聖女は帰りますけど

基本二度寝
恋愛
「聖女エルディーナ!あなたとの婚約を破棄する」 「…かしこまりました」 王太子から婚約破棄を宣言され、聖女は自身の従者と目を合わせ、頷く。 では、と身を翻す聖女を訝しげに王太子は見つめた。 「…何故理由を聞かない」 ※短編(勢い)

冤罪で殺された聖女、生まれ変わって自由に生きる

みおな
恋愛
聖女。 女神から選ばれし、世界にたった一人の存在。 本来なら、誰からも尊ばれ大切に扱われる存在である聖女ルディアは、婚約者である王太子から冤罪をかけられ処刑されてしまう。 愛し子の死に、女神はルディアの時間を巻き戻す。 記憶を持ったまま聖女認定の前に戻ったルディアは、聖女にならず自由に生きる道を選択する。

処理中です...