4 / 22
第一章
提案
しおりを挟むアホシュア様の顔に、先程までのしおらしい様子はない。完全に狼狽えている。そして、うっかり事実だと認めるような発言をしたことで、場はますます凍った。
お母様の目が唸るように低くなる。
「ホシュア、どういうこと?あれだけ女とは関わるなと言ったでしょう!」
「し、仕方ないじゃないですか!あんなに誘われたら………!!」
「なんてこと!汚らわしい!!!!」
どうやら、アホシュア様のお母様好きよりお母様の息子好きの方が凄いらしい。アホシュア様はまるで浮気がバレた亭主のような反応をされている。もしかしてあなたのお母様、お母様ではなく婚約者だったのかしら………。
私はしらーっとした思いでふたりを見ていたが、そのまま口を開いた。ふたりの親子会議は後でまとめてやってほしい。私は早く帰りたいのよ。
こんな、歓迎されてないお茶会なんて二度とゴメンだもの。
「それに、ケイト様との事ですが」
「なっ、なんの事だ!?」
「…………アホ……じゃなかった、ホシュア様。ケイト様は社交がお好きな方ですよ。関係を持った方のお話など、次の日のお昼には話題に上がっていますわ」
要するに、ケイト様はお口が羽よりも軽いのだ。
ケイト様は名をケイト・ブラウニーと言い、【虹】を司る家の人間だ。彼女も五貴族。だけど彼女は貴族というものに縛られるのをとても嫌がっている。
(ケイト様はとても自由奔放……。身持ちが悪いのよね)
関係を持ったことをひとつのステータスと思っているタイプの人間だ。五貴族として何回か話したことがあるけれど、水と油かと言うほど彼女とは合わなかったのを覚えている。
彼女は私と同じく、婚約中の身だ。しかしそれにも関わらず彼女は浮名を流している。もしかしたら五貴族に対する反発もあるのかもしれない。悪手だとは思うけれど。
私はケイト様の虹色の虹彩と、くるくるの栗毛を思い出しながら、ホシュア様を見た。
「ホシュア様。………お母様も。ひとつ、提案があるのです。こちらを呑んでいただければ、我が家に不義理をしたこと。今まで私に暴虐を振舞ったことは王家に告発致しません。……いかがでしょうか?」
「ぼ、暴虐なんて………なんて言い様なの…………!あれはちょっとした子供の悪ふざけで……!!」
「18歳が子供とは面白いですわね。我が国では男性は16歳から成人とみなされますけれど?それに、お母様。子供のしたことだと仰るなら。その責任を取るのが親の役目なのではないですか?」
21
あなたにおすすめの小説
出来損ないの私がお姉様の婚約者だった王子の呪いを解いてみた結果→
AK
恋愛
「ねえミディア。王子様と結婚してみたくはないかしら?」
ある日、意地の悪い笑顔を浮かべながらお姉様は言った。
お姉様は地味な私と違って公爵家の優秀な長女として、次期国王の最有力候補であった第一王子様と婚約を結んでいた。
しかしその王子様はある日突然不治の病に倒れ、それ以降彼に触れた人は石化して死んでしまう呪いに身を侵されてしまう。
そんは王子様を押し付けるように婚約させられた私だけど、私は光の魔力を有して生まれた聖女だったので、彼のことを救うことができるかもしれないと思った。
お姉様は厄介者と化した王子を押し付けたいだけかもしれないけれど、残念ながらお姉様の思い通りの展開にはさせない。
私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜
AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。
そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。
さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。
しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。
それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。
だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。
そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。
素顔を知らない
基本二度寝
恋愛
王太子はたいして美しくもない聖女に婚約破棄を突きつけた。
聖女より多少力の劣る、聖女補佐の貴族令嬢の方が、見目もよく気もきく。
ならば、美しくもない聖女より、美しい聖女補佐のほうが良い。
王太子は考え、国王夫妻の居ぬ間に聖女との婚約破棄を企て、国外に放り出した。
王太子はすぐ様、聖女補佐の令嬢を部屋に呼び、新たな婚約者だと皆に紹介して回った。
国王たちが戻った頃には、地鳴りと水害で、国が半壊していた。
陛下を捨てた理由
甘糖むい
恋愛
美しく才能あふれる侯爵令嬢ジェニエルは、幼い頃から王子セオドールの婚約者として約束され、完璧な王妃教育を受けてきた。20歳で結婚した二人だったが、3年経っても子供に恵まれず、彼女には「問題がある」という噂が広がりはじめる始末。
そんな中、セオドールが「オリヴィア」という女性を王宮に連れてきたことで、夫婦の関係は一変し始める。
※改定、追加や修正を予告なくする場合がございます。ご了承ください。
結婚するので姉様は出ていってもらえますか?
基本二度寝
恋愛
聖女の誕生に国全体が沸き立った。
気を良くした国王は貴族に前祝いと様々な物を与えた。
そして底辺貴族の我が男爵家にも贈り物を下さった。
家族で仲良く住むようにと賜ったのは古い神殿を改装した石造りの屋敷は小さな城のようでもあった。
そして妹の婚約まで決まった。
特別仲が悪いと思っていなかった妹から向けられた言葉は。
※番外編追加するかもしれません。しないかもしれません。
※えろが追加される場合はr−18に変更します。
はっきり言ってカケラも興味はございません
みおな
恋愛
私の婚約者様は、王女殿下の騎士をしている。
病弱でお美しい王女殿下に常に付き従い、婚約者としての交流も、マトモにしたことがない。
まぁ、好きになさればよろしいわ。
私には関係ないことですから。
【完結】薔薇の花をあなたに贈ります
彩華(あやはな)
恋愛
レティシアは階段から落ちた。
目を覚ますと、何かがおかしかった。それは婚約者である殿下を覚えていなかったのだ。
ロベルトは、レティシアとの婚約解消になり、聖女ミランダとの婚約することになる。
たが、それに違和感を抱くようになる。
ロベルト殿下視点がおもになります。
前作を多少引きずってはいますが、今回は暗くはないです!!
11話完結です。
この度改編した(ストーリーは変わらず)をなろうさんに投稿しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる