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110話 お義兄様
しおりを挟む「あらあらまぁまぁ。ルーフェス公爵の爵位をシャインに譲るなんて、初耳だけど……シャインが嫌がるんじゃないかしらー?」
のほほんとそう告げるお義姉様。
当のシャインの母親であるお義姉様が、全く乗り気ではなさそう…。
「なっーー嫌がる?シャインが?」
「メト君は、亡くなった私の夫を思って、シャインに爵位を譲ろうとしているんだろうけどーそもそも、シャインにそんな責任のある立場は無理よーあの子は、私にも夫にも似て、のんびり屋だしー想像出来るかしらー?シャインがメト君に代わってルーフェス公爵家を引っ張っていく未来ー?」
……無理。かも?いや、そもそも比べる対象が有能過ぎてーーー
「そんなもの、教え込めば誰でもーー」
「本人もやりたがらないと思うわよーーシャインー?」
お義姉様は、少し離れた場所で遊んでいたシャインを呼び寄せた。
「なーに、ママ?話終わった?もう、メトお兄ちゃん達と遊んでいーい?」
「んーもうちょっと待ってねー。そうそう、シャイン、シャインは、大きくなったら何になりたいー?」
「僕?僕ね!ママと同じ、情報屋さんになりたいんだぁー!」
キラキラした目で、ハッキリと断言するシャイン。
「そうよねー?」
「うん!パパにかわって、僕がママを助けてあげるの!」
亡くなったメトのお兄様はーーー病気になる前は、フィーリン様のご実家である情報屋の仕事を手伝い、メトの力になっていた。そんな父親の姿を、幼いながら、シャインは覚えているのかもしれない。
「……兄さんの……そうか……」
きっとーーー心から優しい、弟思いのお兄様だったのでしょうね。私も、出来ることなら、メトのお兄様にお会いしてみたかった。
「私達は、今のままで十分幸せよ。だからーーーメト君も、いーっぱい、幸せになるのよー……それが、モネの……私の夫の、願いなんだから」
フィーリン様とシャインは、二人、手を取り合いながら、互いに笑顔を浮かべた。
その姿は、本当に幸せそうに見えるーー。
天国にいるお義兄様……。
どうか、メトと私のことも、見守っていて下さいね。お義兄様の弟のメトと、産まれてくる子供と、幸せな家庭を築けるように、ずっとずっと、どんな困難があっても、二人で乗り越えていきます。
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