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第二章:伝説の姫君と舞踏会
第18話 披露式典(1)
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バルコニーでの国民への披露が終わった後、わたしは素早くパレード用の衣装に着替えさせられた。
ドレスは象牙色で、細目のシンプルなデザイン。
髪はサイドを残して結い上げて、下の方だけ巻いて両側から前に垂らしている。
そして、ダイアのティアラを飾って、髪型は完成。ティアラとお揃いの首飾りもつけた。
「こちらも素敵ですわ~」
シェリーとユーニスがうっとりしたように言う。
しばらくしてキースがやってきて、この支度の出来映えを褒めてくれた。
「さて、準備はいいかな?」
「うん」
これからわたしはガルディア国の首都ルディア市内を馬車でパレードする。
パレードの配列は、近衛騎士団、紅薔薇騎士団、私達の馬車、白百合騎士団、魔術師団。今回のパレードはかなり大がかりなものになりそうだ。
キースに馬車の乗り口まで移動してもらったら、カディスはもうそこで待っていた。
「それも似合うな」
「ありがとう、カディス」
「普段でも充分なのに、こんなに綺麗になられると困るね」
「そ、そう?」
それはキース、褒めすぎだと思うんだけど。
「キース、こんな時にイルーシャを口説くな」
カディスがキースに文句を言いつつ、わたしの手を取る。
護衛役のマーティンもそこにいて、わたしは彼に笑いかけた。
「マーティン、今日はよろしくね」
だけど、彼の返事がなくて、わたしは首を傾げた。
「……マーティン?」
「あっ、申し訳ありませんっ。本日は僭越ながら護衛を務めさせていただきます」
「うん、よろしく」
どうしたんだろ? ちょっとぼーっとしてるみたいだ。
馬車に乗るのはわたしとカディスと護衛であるキースと、マーティン。
ダリルさんは近衛団の団長としてパレードを先導する係だ。
キースはパレードの列に出なくていいのかと聞いたら、魔術師団は他の騎士団と違って馬に乗れる人数も少ないので、馬車で移動している。だから、師団長のキースが無理に魔術師団の馬車に乗る必要もないから、わたしの警護に回っているということだった。
実際のところ、キースに直接守ってもらえたら、かなり心強い。
馬車の乗り込む際にはリイナさん達にも手伝って貰って、ようやく開始の段になった。
パレードの出発点は城門から。そこからルディア市内をぐるりと回るコースだ。
このパレード、緊張もするけれど、ちょっとわくわくもしている。
なんと言っても、今まで見たことのない首都をみることができるんだもの。
気楽に市井に下りられたらいいんだけど、そういうわけにはいかないと何度も言い含められているので、これがルディア市内を見る初めてのチャンスなんだよね。
そして、流麗な音楽が流れて、パレードがついに始まった。
わたしはここでも市民の熱狂的な歓迎を受けた。「イルーシャ様ー」という呼び声、拍手、歓声。花が特産の国らしく花吹雪も舞っていた。
それにしても、首都だからルディア市内は結構豊かだ。郊外に行ったらどうなんだろう、とわたしはこの国にますます興味が湧いてきた。落ち着いたら、城の図書館で本を借りて勉強しよう。
わたしは笑顔で観衆に手を振って応えながら、半刻(一時間)強ほどのパレードを終えて、無事に城まで戻ってきた。
「うー、なんかまだ、笑顔が張り付いてる気がするー」
わたしは新しく作った予備分のドレスにまた着替えさせられて、会議とかする陽の間で、用意された食事を取っていた。
「頑張ったね、イルーシャ。ご苦労様」
キースが空になった私のグラスを交換してくれるように侍女さんに頼みながら言った。
すぐに運ばれてきた果実水を手に取りながら、わたしは笑った。
「うん、ありがと。確かに疲れたけど、楽しかったよ。市内も見れたし、すごく歓迎されたし、嬉しかったな」
「イルーシャ、よくやったな。あとは舞踏会だけだ」
「その舞踏会が一番問題なんだけどね。……でもわたし頑張るよ」
「そうだな、まあ今は休め。舞踏会が始まってしまったら、主役のおまえはなかなか休めないからな」
「うん、そうする」
おいしい料理を食べながら、来たるべき舞踏会に備えて、わたしは英気を養った。
その後、わたしは自分の部屋に戻ると、支度の時間までゆっくりした。
ああ、やっぱり自分の部屋は落ち着くわー。
「お疲れさまでした、イルーシャ様」
長椅子に座ってくつろいでいると、シェリーがミルクティーを持ってきてくれた。
「ありがとう」
「あとは舞踏会ですわね」
「うん、国内外の賓客が来るから、応対には注意しないとね。なんでも、隣国のハーメイからは国王がいらっしゃるみたいだし」
わたしがそう言うと、シェリーは眉をひそめた。
「わたくしから申し上げるのもなんですが……、イルーシャ様、ハーメイの国王には気をつけたほうがよいと思いますわ」
「……なんで?」
「あちらの国王には良くない噂が立っております。なんでも異国風に後宮を作って妾妃を何十人も囲っているとか」
うええ、それって好き者ってこと? そんな人と会わなきゃいけないなんて、ちょっと、いや、かなり嫌だ。
「侍女長に聞いた話なんですけど、こういった催しには通常でしたら、宰相、大臣クラスの方、良くて王族の方が来られるそうなんです。でも、国王自らがいらしたとなると、イルーシャ様を直接見られにきたんですわ」
「ええー、ちょっと勘弁してほしいな。……その国王って若いの?」
「五十代と聞きましたが。イルーシャ様はお綺麗ですから、本当に注意してくださいね。もしかしたら、妃に据えようと思ってるのかもしれませんもの」
「うわあ……」
それはかなり嫌すぎる。はっきり言って会いたくない。
……国内外の賓客の他に、好き者の他国の国王にも注意しなきゃならないのか。
「とりあえず、護衛の人から離れないようにするよ」
わたしがそう言うと、シェリーが神妙な顔で頷いた。
「そうですね、それがいいと思いますわ」
ミルクティーを飲みながら、わたしは外交デビューであるこの舞踏会が成功してくれることを心から祈った。
そんなわけで、今わたしは舞踏会の支度中。侍女さん達に薄紅色のドレスを着せて貰うと、編み込んだサイドの髪にはわたしの好きな桜をかたどった髪飾りをつけた。ゆらゆら揺れる桜が可愛い。
いつもは私の瞳の色に合わせた淡い青色のドレスが多いんだけど、こういう色もたまにはいいよね。
「まあ、さすがイルーシャ様ですわ。どのドレスもお似合いですわね」
「薄紅色も素敵ですわね。エーメの髪飾りがイルーシャ様の可憐さをより引き立てていて素晴らしいですわ」
うん、ありがとう。……中身が可憐かどうかに関しては突っ込まないで。
その後、近衛騎士さん達に護衛されて、わたしは舞踏会の会場である広間の控え室まで行く。
「ああ、その衣装も良く似合ってるね」
「似合うぞ、イルーシャ」
キースとカディスに褒められて、わたしはにっこり笑った。
「ありがとう」
「あまりおまえを他人の目に触れさせたくはないが、これも仕方ないな」
「まったくだね」
カディスが苦笑して言うと、キースも頷いた。
「あ……、そういえば、シェリーにハーメイの国王には気をつけろって言われたよ。良くない噂があるからって」
「ああ、俺もそれを今注意しようとしていたところだ。あの王は今回おまえを物色しに来たんだろうからな」
「物色って……、わたし物じゃないんだけど」
「ハーメイ国王ギリングにとって、女は戦利品だ。……だから気をつけろ」
うわあ、マジですか。なんか冷や汗が出てきた。
「分かった、気をつけるよ」
わたしが頷くと、キースがわたしの肩を叩いた。
「僕もなるべく君のそばにいるよ。もし、僕が傍にいない時になにかあったら、この間渡した腕輪を使うこと。分かったね?」
「うん、分かった」
わたしは左腕にはめた腕輪の感触を確かめて頷いた。
「もっとも、気をつけるのはギリングだけではないからな。諸国の大使や、自国の貴族にも気をつけろ」
「うん、本当に気をつけるよ。二人ともありがとうね」
少し微笑むと、なぜか二人は溜息をついた。
「おまえがこれほどの美貌でなければ、こんなに神経をすり減らすこともなかったのだがな」
「まったくだね」
うーん、それはどうにもならないと思うんだけど。……あ、それだったら。
「……ねえ、二人ともわたしがこの姿でなくても好きになってた?」
「それは愚問だな。それでもおまえに変わりはないだろう」
「どんな姿でも好きだよ。君が君である限りね」
そして、わたしは二人に手を取られて、そこに口づけられる。
二人の殺し文句にわたしは真っ赤になるしかない。
「可愛いね。イルーシャのそういうところが好きだな」
「他にもいろいろあるがな。……聞きたいか?」
ごめん、聞いたわたしが馬鹿でした。……だから、二人とももう許してください。
ドレスは象牙色で、細目のシンプルなデザイン。
髪はサイドを残して結い上げて、下の方だけ巻いて両側から前に垂らしている。
そして、ダイアのティアラを飾って、髪型は完成。ティアラとお揃いの首飾りもつけた。
「こちらも素敵ですわ~」
シェリーとユーニスがうっとりしたように言う。
しばらくしてキースがやってきて、この支度の出来映えを褒めてくれた。
「さて、準備はいいかな?」
「うん」
これからわたしはガルディア国の首都ルディア市内を馬車でパレードする。
パレードの配列は、近衛騎士団、紅薔薇騎士団、私達の馬車、白百合騎士団、魔術師団。今回のパレードはかなり大がかりなものになりそうだ。
キースに馬車の乗り口まで移動してもらったら、カディスはもうそこで待っていた。
「それも似合うな」
「ありがとう、カディス」
「普段でも充分なのに、こんなに綺麗になられると困るね」
「そ、そう?」
それはキース、褒めすぎだと思うんだけど。
「キース、こんな時にイルーシャを口説くな」
カディスがキースに文句を言いつつ、わたしの手を取る。
護衛役のマーティンもそこにいて、わたしは彼に笑いかけた。
「マーティン、今日はよろしくね」
だけど、彼の返事がなくて、わたしは首を傾げた。
「……マーティン?」
「あっ、申し訳ありませんっ。本日は僭越ながら護衛を務めさせていただきます」
「うん、よろしく」
どうしたんだろ? ちょっとぼーっとしてるみたいだ。
馬車に乗るのはわたしとカディスと護衛であるキースと、マーティン。
ダリルさんは近衛団の団長としてパレードを先導する係だ。
キースはパレードの列に出なくていいのかと聞いたら、魔術師団は他の騎士団と違って馬に乗れる人数も少ないので、馬車で移動している。だから、師団長のキースが無理に魔術師団の馬車に乗る必要もないから、わたしの警護に回っているということだった。
実際のところ、キースに直接守ってもらえたら、かなり心強い。
馬車の乗り込む際にはリイナさん達にも手伝って貰って、ようやく開始の段になった。
パレードの出発点は城門から。そこからルディア市内をぐるりと回るコースだ。
このパレード、緊張もするけれど、ちょっとわくわくもしている。
なんと言っても、今まで見たことのない首都をみることができるんだもの。
気楽に市井に下りられたらいいんだけど、そういうわけにはいかないと何度も言い含められているので、これがルディア市内を見る初めてのチャンスなんだよね。
そして、流麗な音楽が流れて、パレードがついに始まった。
わたしはここでも市民の熱狂的な歓迎を受けた。「イルーシャ様ー」という呼び声、拍手、歓声。花が特産の国らしく花吹雪も舞っていた。
それにしても、首都だからルディア市内は結構豊かだ。郊外に行ったらどうなんだろう、とわたしはこの国にますます興味が湧いてきた。落ち着いたら、城の図書館で本を借りて勉強しよう。
わたしは笑顔で観衆に手を振って応えながら、半刻(一時間)強ほどのパレードを終えて、無事に城まで戻ってきた。
「うー、なんかまだ、笑顔が張り付いてる気がするー」
わたしは新しく作った予備分のドレスにまた着替えさせられて、会議とかする陽の間で、用意された食事を取っていた。
「頑張ったね、イルーシャ。ご苦労様」
キースが空になった私のグラスを交換してくれるように侍女さんに頼みながら言った。
すぐに運ばれてきた果実水を手に取りながら、わたしは笑った。
「うん、ありがと。確かに疲れたけど、楽しかったよ。市内も見れたし、すごく歓迎されたし、嬉しかったな」
「イルーシャ、よくやったな。あとは舞踏会だけだ」
「その舞踏会が一番問題なんだけどね。……でもわたし頑張るよ」
「そうだな、まあ今は休め。舞踏会が始まってしまったら、主役のおまえはなかなか休めないからな」
「うん、そうする」
おいしい料理を食べながら、来たるべき舞踏会に備えて、わたしは英気を養った。
その後、わたしは自分の部屋に戻ると、支度の時間までゆっくりした。
ああ、やっぱり自分の部屋は落ち着くわー。
「お疲れさまでした、イルーシャ様」
長椅子に座ってくつろいでいると、シェリーがミルクティーを持ってきてくれた。
「ありがとう」
「あとは舞踏会ですわね」
「うん、国内外の賓客が来るから、応対には注意しないとね。なんでも、隣国のハーメイからは国王がいらっしゃるみたいだし」
わたしがそう言うと、シェリーは眉をひそめた。
「わたくしから申し上げるのもなんですが……、イルーシャ様、ハーメイの国王には気をつけたほうがよいと思いますわ」
「……なんで?」
「あちらの国王には良くない噂が立っております。なんでも異国風に後宮を作って妾妃を何十人も囲っているとか」
うええ、それって好き者ってこと? そんな人と会わなきゃいけないなんて、ちょっと、いや、かなり嫌だ。
「侍女長に聞いた話なんですけど、こういった催しには通常でしたら、宰相、大臣クラスの方、良くて王族の方が来られるそうなんです。でも、国王自らがいらしたとなると、イルーシャ様を直接見られにきたんですわ」
「ええー、ちょっと勘弁してほしいな。……その国王って若いの?」
「五十代と聞きましたが。イルーシャ様はお綺麗ですから、本当に注意してくださいね。もしかしたら、妃に据えようと思ってるのかもしれませんもの」
「うわあ……」
それはかなり嫌すぎる。はっきり言って会いたくない。
……国内外の賓客の他に、好き者の他国の国王にも注意しなきゃならないのか。
「とりあえず、護衛の人から離れないようにするよ」
わたしがそう言うと、シェリーが神妙な顔で頷いた。
「そうですね、それがいいと思いますわ」
ミルクティーを飲みながら、わたしは外交デビューであるこの舞踏会が成功してくれることを心から祈った。
そんなわけで、今わたしは舞踏会の支度中。侍女さん達に薄紅色のドレスを着せて貰うと、編み込んだサイドの髪にはわたしの好きな桜をかたどった髪飾りをつけた。ゆらゆら揺れる桜が可愛い。
いつもは私の瞳の色に合わせた淡い青色のドレスが多いんだけど、こういう色もたまにはいいよね。
「まあ、さすがイルーシャ様ですわ。どのドレスもお似合いですわね」
「薄紅色も素敵ですわね。エーメの髪飾りがイルーシャ様の可憐さをより引き立てていて素晴らしいですわ」
うん、ありがとう。……中身が可憐かどうかに関しては突っ込まないで。
その後、近衛騎士さん達に護衛されて、わたしは舞踏会の会場である広間の控え室まで行く。
「ああ、その衣装も良く似合ってるね」
「似合うぞ、イルーシャ」
キースとカディスに褒められて、わたしはにっこり笑った。
「ありがとう」
「あまりおまえを他人の目に触れさせたくはないが、これも仕方ないな」
「まったくだね」
カディスが苦笑して言うと、キースも頷いた。
「あ……、そういえば、シェリーにハーメイの国王には気をつけろって言われたよ。良くない噂があるからって」
「ああ、俺もそれを今注意しようとしていたところだ。あの王は今回おまえを物色しに来たんだろうからな」
「物色って……、わたし物じゃないんだけど」
「ハーメイ国王ギリングにとって、女は戦利品だ。……だから気をつけろ」
うわあ、マジですか。なんか冷や汗が出てきた。
「分かった、気をつけるよ」
わたしが頷くと、キースがわたしの肩を叩いた。
「僕もなるべく君のそばにいるよ。もし、僕が傍にいない時になにかあったら、この間渡した腕輪を使うこと。分かったね?」
「うん、分かった」
わたしは左腕にはめた腕輪の感触を確かめて頷いた。
「もっとも、気をつけるのはギリングだけではないからな。諸国の大使や、自国の貴族にも気をつけろ」
「うん、本当に気をつけるよ。二人ともありがとうね」
少し微笑むと、なぜか二人は溜息をついた。
「おまえがこれほどの美貌でなければ、こんなに神経をすり減らすこともなかったのだがな」
「まったくだね」
うーん、それはどうにもならないと思うんだけど。……あ、それだったら。
「……ねえ、二人ともわたしがこの姿でなくても好きになってた?」
「それは愚問だな。それでもおまえに変わりはないだろう」
「どんな姿でも好きだよ。君が君である限りね」
そして、わたしは二人に手を取られて、そこに口づけられる。
二人の殺し文句にわたしは真っ赤になるしかない。
「可愛いね。イルーシャのそういうところが好きだな」
「他にもいろいろあるがな。……聞きたいか?」
ごめん、聞いたわたしが馬鹿でした。……だから、二人とももう許してください。
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