「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな

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【第三部 異世界転移奇譚 RENJI 3 - PINOA - 】「やったね!魔法少女ピノアちゃん大活躍!!編」

外伝「ピノアとミカナ」⑥ー1

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 ミカナとピノアは、その日も相も変わらず、クーラーがガンガンに効いたミカナの部屋で、人を本当に心底駄目にするソファーに身を預けていた。

 なぜかその日も昨日に引き続き、ふたりとも魔法少女風のコスプレをしていたのだが、ミカナは昨日のように無理矢理着させられたわけではなかった。
 彼女は、ピノアが瞬間移動してくるときには、おそらくまた魔法少女になっているだろうと考え、午前中から魔法少女の格好で待ち構えていたのだ。

 だが、午前中からというのは、やりすぎだったかもしれない。
 久しぶりにコスプレしている自分を自撮りしたりするのは楽しかったし、我ながらかわいかったりもしたのだが、いつピノアがやってくるかわからなかったため、昼食の際もダイニングで三つ編みメガネ魔法少女のコスプレをしたままだった。
 そんなミカナを目の前にした兄タカミとその妻マヨリが必死に笑いをこらえていたからだ。

 その後、午後2時すぎに瞬間移動してきたピノアが、

「あれ? なんでミカナ、部屋でひとりでそんな恥ずかしいカッコしてるの? またエロい自撮りでもしてたの?」

「お前が着てくると思ったからだよチクショー!!」

 キャミソールにパンツという、いつも通りの格好だったからだ。

 その日はミカナの方が逆に、ピノアの身ぐるみをはぎ、

「もうお嫁にいけない……」

 無理矢理魔法少女のコスプレをさせたのである。

「大丈夫。あんた、キャミソールにパンツだけでオリンピックに出てたから。あのときからもう、お嫁にいけないのは確定してるから」

「いいもん! いざとなったら、タカミの髪の毛から魔法でクローン作れるからいいもん!」

「うちのお兄ちゃんのクローンを勝手に作んな。レンジくんかサトシさんの髪の毛使え」

「髪の毛から一気に今のタカミと同い年にもできるし、わたしのことが大好きでたまらなくなるように洗の……大好きにすることもできるんだからね!」

「おいこら、今、洗脳って言おうとしただろ。まじでやべー魔法使いだな、マッドウィザードか」

 というやりとりがあった後、ふたりはソファーに身をゆだね、そのまま動けなくなってしまったのである。


 テレビではその日もオリンピック中継が続いており、

「まーだオリンピックってやつやってるんだね~」

 と、ピノアは興味なさそうに言った。

「もう二度と参加したらだめだからね」

 一応釘を刺しておくことにしたが、

「なんかさ、毎日テレビがこんなだと、オリンピック期間中の3週間をもう何万回も繰り返してるんじゃないかって思うよね」

 ピノアが急に怖いことを言い出した。

「わたしたちが出てる2クールのアニメのうちの8話分が、ほぼほぼ同じ内容になってそう」

「いい? ピノア。エンドレスエイトなんてなかったの。消失の映画と長門有希ちゃんのアニメがよかったからいいの」

「あれ、いつになったら消失の続き観れるの?」

「知らんし。わたしも観たいけど」

 ピノアは本当にすっかりオタク女子になっており、1クールや2クールアニメならサブスクで毎日1作くらいのペースで観たりしていた。最近はひぐらしに夢中のようだった。
 異世界人にとって、日本のアニメは本当にヤックデカルチャーだったんだろうなと思う。

「そういえば、ピノアがこっちの世界に来て、驚いたりハマったりしたことって他に何があった?」

 ミカナは、アニメや特撮の他にピノアが驚いたことがふと気になったので訊いてみることにした。

「うーん、やっぱり物価かなー。レンジがわたしやステラに初めて会ったときにも、とんでもない大金持っててびっくりしたけど。こっちの物価はあっちの世界の100倍だから、最初はほんとドン引きした」

 この世界でプレステ5やソフトを2~3本買うお金で、異世界では城下町の一等地に庭付きの一軒家が買えてしまうらしい。
 異世界にいたときはずっとジパングの城に住まわせてもらっていたから、ミカナはそのことを知らなかったのだ。
 それは確かにドン引きするな、とミカナは思った。


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